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ヴェスパラスト大陸記  作者: 揚惇命
三章 仲間集めの旅

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スパーダの案内

 スパーダによりサイクロプスたちの脅威は去った。

「おぅ。無事で良かったぜ。マイハニーのアラクミーに頼まれてよ。助けに来たぜ」

「助かった。敵としては脅威だが味方としてだとほんと心強い」

「よせやい。男に惚れられても嬉しくねぇぜ」

「惚れてねぇわ」

「それにしても助かったわ」

「えぇ、まさか得意の状態異常が全く効かないなんて」

「おいおい、四天王の色欲のリリスと怠惰のミャーラとあろうもんが情けねぇなおい」

「うっさいわね。要が済んだんなら帰りなさいよ。私はダーリンとデートなんだから」

「むさ苦しいオッサンは要らないのよ」

「こっちだって、そうしたいのは山々なんだがよ。もう一つマイハニーに頼まれててな。お前らを蜘蛛の里に案内してくれってな」

「蜘蛛の里って、諜報活動を専門としている者たちの里よね」

「おぅ。元はといえばアラクミーもそこ出身だ。潜入捜査でシープマンの経営するキャバクラに潜入したらあの不思議な能力で捕まっちまったって感じだ」

「で、アンタはそれをつい最近知って、それまではシープマンたちに金貢いでたわけだ」

「ウッセェな。知らなかったんだから仕方ねぇだろ。蜘蛛の里のアイドルがキャバクラにいるんだぜ。通うだろ普通」

「知らないわよ。でもなんで、蜘蛛の里が私たちに接触してきたの」

「なんでも、敵の戦力が大体わかったらしくて情報交換したいとのことみたいなんだが」

「チッ流石、四天王が1人強欲のマモーネね。もう情報を掴んでるなんて」

「お前ら、本当に仲悪いよな。だから不思議だわ。色欲のリリスと怠惰のミューラが一緒に冒険してるなんてよ」

「そんなことどうでも良いのよ。よりによってマモーネが私たちを呼んだことに不気味さを感じるのよね。まさか、ダーリンを狙ってる!?」

「あり得るかも。ほらマモーネって昔から人のもの欲しがるじゃない」

「情報が得られるなら俺は行く。案内してくれスパーダ」

「おっおぅ(すげぇなコイツ。蜘蛛の里では何があるかわかんなぁってのに。今の人間は案外肝が据わってんだな)」

 スパーダの案内で蜘蛛の里の長の元に通される。

「スパーダ、よく連れてきてくれましたね。大義です」

「俺は、アンタの部下ではないがな」

「まぁ、良いではありませんか。うちの者と結婚するのでしょう。魔王様から聞いていますよ」

「ケッ、だとしてもアンタの部下はごめんだ」

「挨拶は良い。とっとと本題に入ってくれ。敵の戦力がわかったって本当か?」

「せっかちな人ね。本当にイーリスの子かしら?まぁ、良いわ。先ず、彼らを率いているのは、ゴブリンのゴーブです。その背後に人間の男は居ません。これは断言しておきましょう」

「馬鹿な!?そんなのあり得ない。ならゴーブが言っていたあの御方とは誰なのだ!」

「さぁ、ですが人間ではなく魔物であることは確かでしょう」

「そこは掴んでないのか?諜報活動を専門としていると言っておきながらその程度とはな」

「あら辛辣ですわね。では、敵の戦力について語りましょうか。オークのオックス・シープマンのシープス・サイクロプスのサイプス・コボルトのコルト」

「情報が古いなシープスは魔王が殺したぞ」

「そうでしたか失礼しました」

「お前、誰だ?情報が古すぎるし、こちらが掴んでる話と違う話をする。上手く化けてるつもりのようだが正体を表したらどうだ」

「完璧な変装だと思ってたんだが。見破られようとは、我が名はコボルトのコルト」

「だろうな、お前はミスを犯してたんだよ。こっちが知らない情報を1つだけ入れた。お前自身の名前をな。おおよそ、お前のもらった特殊能力ってのはコピー能力だろ」

「察しの通り、しかし、お前はどうしても俺らの背後に人間の王が居ると思い込みたいようだな」

「居ないと?」

「魔物が人間に従うわけがないだろう。我らが王に推してる者もまた魔物ということだ」

「へぇ。まぁあんなことができる人間だ。魔物と言われても不思議ではないな」

「まぁ、良い。今日は挨拶のつもりだった。これで帰らせてもらうとしよう。安心しろ。流石四天王の一角、逃げられたからな。マモーネは無事だ」

「おい待ちやがれ。敵の幹部の1人を目の前にして帰すと思うか。相手してくれや」

「賞金狩りが魔王の従順な下僕に成り下がるとはな。お前の大振りの攻撃に、我がやられるわけが無かろう」

「うぐっ。貴様、剣に毒を」

「スパーダ!」

「俺は、暗殺者だぜ。挨拶だけと言っただろう。今度来る時は忍び寄ってザクリとさせてもらう」

 コルトは素早い動きでその場から立ち去った。

「はぁ、助かりましたわ。カイル様ですね。お初にお目にかかります。四天王が1人強欲のマモーネと申します」

「アンタが、やけに小さいんだな?」

「フフフ。姿を変幻自在に変えられるから諜報活動ができるのですよ」

「まぁ、無事なら良い。俺は、真実が知れればそれで良い。そのために相手の戦力を把握しておきたい」

「えぇ、私が知り得た情報をお話ししましょう」

「この年増女、ダーリンに色目使ってんじゃ無いわよ」

「何がカイル様よ。坊やから離れなさい」

「あらあら、雌豚ちゃんたちが何か言ってるわね。私はカイル様とお話ししてるのよ。少し黙ってて貰おうかしら」

 口を布で塞がれ宙吊りとなる2人。そしてカイルに語るのだった。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

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