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ヴェスパラスト大陸記  作者: 揚惇命
三章 仲間集めの旅

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土蜘蛛による襲撃

 ゴーレムの村を出て、道なりを進み次の村に行く道中蜘蛛の魔物の襲撃を受ける。

「へぇ、今のをかわすとはな中々やるじゃねぇか坊主」

「お前は賞金稼ぎの土蜘蛛!」

「こりゃついてるねぇ色欲のリリス様と怠惰のミューラ様が一緒とは、羨ましいってわけじゃねぇぜ。賞金を全部まるまるいただけるってことが良い」

 3人がかりで全く相手にできない圧倒的な力で捉えられるカイル。地面に伏しているリリスとミューラ。この状況でカイルは即座に判断する。

「リリス・ミューラ、このままだと全滅は免れないお前達だけなら逃げられるだろう。一旦体勢を立て直せ」

「御主人様を見捨てて行けるわけないでしょ」

「そうよ坊やをおいていけないわ」

「これは命令だ。さっさと行け」

「わかったわよ」

「必ず助けに戻るから」

「おぅおぅ、俺は構わねぇぜ。お前達の3倍の値がコイツについてるからよ。生け取りでな」

 リリスとミューラがその場を後にする。

「そんなに強いのにゴブリンの言いなりか?」

「煽っても無駄だぞ。俺は賞金稼ぎのスパーダ様よ。まぁこれから引き渡して殺されるお前に覚えてもらう必要もねぇか」

「賞金稼ぎ?魔物が?」

「おぅよ。魔物が賞金稼ぎしてたらおかしいか。お前の賞金は有り難く俺の通う高級キャバクラ『アラックネ』のNo. 1アラクミーちゃんに貢がせてもらうぜ」

 スパーダに連れられてやってきたところに案の定待っていたのは右腕を無くしたオークの王オックスだった。

「コイツで良かったか?」

「あぁ、確かに流石仕事の早いスパーダだ。また宜しく頼む」

「おぅ。賞金のためなら何だってやってやる。あばよ坊主。あの状況で女達を逃すなんてやるじゃねぇか。こんな形じゃなければともだちになれたかもな」

 スパーダは金を受け取り立ち去っていった。

「女達?お前も人のことが言えないのではないか?我らに人間の女を攫って苗床にしやがってと言っておきながらお前は魔物の女とお楽しみだったわけだ。これは傑作だな」

「お前と一緒にするな。俺には愛がある」

「ククク。この恍惚の笑みを浮かべる女を見て、俺には愛がないとはよく言えたものだな」

「あぁんオックス様〜私はずっとお慕いしております〜」

「あぁ、俺もだ」

「で、俺を連れてきていったいどうするつもりだ?」

「知れたこと。お前を処刑しお前の首を届けるのだ我らが王にな」

「いい加減オズモンドだと言えば良いではないか。そっちのが楽になるぞ」

「ククク。まぁ良いではないか。死に行くお前に冥土の土産にでもと考えたが話してやる義理はねぇしな。この手のお礼もしてやらねぇとな」

 こんなところで俺の人生終わんのかよ。バッドエンド4。賞金稼ぎに攫われてオークの王にトドメを刺されるか。んなわけあるかぁ。人生は一度きり、最後まで諦めるわけにはいかねぇんだよ。だが身体はぐるぐる巻きで身動きが取れない。この状態で奴の槍で貫かれれば間違い無く即死だ。前みたいに逸らすこともできないだろう。ならどうする?この詰んでる状態でいったいどうする?どうすればこの危機を脱せる?考えろ考えろ考えろ。転がされている俺に槍が迫る。待て転がされている?そうか、とにかく転がるんだ。

「えぇい、この状態でまだ足掻くか。コイツめ。大人しく串刺しになれってんだ」

 その頃、リリスたちはあの土蜘蛛が賞金稼ぎであること。そしてアラックネに通い詰めていることを調べ上げ、アラクミーに協力を仰いでいた。

「まぁ、スパーダが迷惑をかけてしまったようですわね。申し訳ありません」

「えぇ、あの人は魔王様の大事な客人なのです。このままだとアラクミーの言うスパーダという人は」

「もう、あの人ったら。しょうのない人ね全く」

 2人は来店しているわけではないのでオーナーが来て隠れた。

「アラクミー様、スパーダ様から御指名が」

「良いわ、ここに通して頂戴な」

「かしこまりました」

「アラクミー、会いたかったぜ」

「スパーダ、座りなさい。話があります。貴方が捕らえた人間の男を救出したら貴方の妻になって差し上げます。ですから魔王様に協力なさい。良いですわね」

「本当に俺なんかと結婚してくれるのか?わかった。俺、すぐにあの坊主を助けてくるぜ」

 スパーダは意気揚々と出ていった。

「勝手にあのような約束をされては困りますアラクミー様」

「この店を辞めるとは言ってないわよ。それなら貴方の損にはならないでしょ?」

「成程、そういうことでしたらもう何も申しません」

 この店のオーナーが立ち去る。

「もう良いわよ」

「感謝するわアラクミー」

「何言ってるのよリリス・ミューラ。友人の頼みを断るわけないでしょ。魔王様にも宜しく言っといてくださいまし。私たちアラクネは魔王様のために戦うと」

「えぇ、必ず伝えるわ」

 スパーダが到着することカイルは壁際に追い込まれていた。

「ふぅやっと追い詰めたぜ。これで終いだ。!?何俺の槍が」

「間に合ったみてぇだな坊主」

「お前はスパーダ?何故、俺を捕らえたお前が助けに来る」

「ちょいとよ変わったのさ。お前を助けた方が俺に得になる」

「貴様ーーーーーーーーふざけるな。賞金稼ぎの分際でお前は俺に渡して契約は終わっている邪魔をするな」

「そうだな。だからよ。今度は依頼されちまったんだよ。愛しのアラクミーに、この男を助けてくれってな。だからお前はなーんも悪くない。だけどコイツを殺すってなら死ぬのはテメェってことになる。見逃してくれるんなら俺は追わねぇぜ。そういう契約ではないからな」

「クソッタレがお前は神にでも愛されてるのか悪運の強い奴め。此度はこれで引いてやる。貴様を相手するのに戦力不足だからな」

「おぅおぅ、とっとと帰ってせっせこせっせことガキを仕込むんだな」

「クソが」

 状況不利と判断したオックスはその場から立ち去った。

「生きててくれて良かったぜ。死んでたら俺がアラクミーに嫌われてしまうとこだったぜ。じゃあなと言いたいところだがお前を連れて行く。もう暫く我慢しろよ。俺のことは嫌いだろうからな」

「あぁ、全くだな」

 スパーダに連れられてアラックネのNo. 1アラクミーの元に案内される。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

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