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ヴェスパラスト大陸記  作者: 揚惇命
二章 いざ魔王国へ

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更なる絶望

 カイルが奴隷となって10年の月日が流れた。5歳の幼くて力のなかった身体は、この10年の奴隷としての生活で、筋肉質な身体となっていた。世話してくれたルーカスと名乗っていたランダスが5年前に亡くなり、10年という月日の中で亡くなった人も数知れず。20代の新米兵士だったものは30代に、40代のベテラン兵士は50代にと歳を重ねる。しかし、人員が新たに補充されることはない。即ち、亡くなったら亡くなった分、仕事量が増えるのだ。しかも、歳を重ねて、身体の言うことが聞かなくなっても働かされる。病気で寝込んでも働かされる。奴隷に休みなど与えられないのだ。そして、ランダスという人物が語ってくれた内容を思い出すカイル。自分が本当はレインクラウズクリア王国という国の王子で、ルイスという名は偽名であること。本当の名前はカイルというがその名前は人前では決して名乗ってはならないこと。そうなると時折放送で映る、あの綺麗な女性は、僕の母ということになるのだろうか?レインクラウズクリア王国の元王妃って、ここで監視員をしている民衆が言ってた。あの人が国を売ったから僕たちは奴隷にされている?それが本当なら僕の父を裏切った張本人でもあるわけだ。許せない。だが、それらは人の噂だ。自分で確かめたことではない。何が真実か取捨選択することが重要だ。そのためにも、早く魔物壁を完成させて自由な身にならなければ、、、どうして、魔物壁が完成すれば自由の身になれると思っている?逆に用無しとなって処分される恐れもあるのでは?そんなことを考えながら今日のノルマを完遂する。

「おぅ、ここに来た時は、ガキで仕事もできなかったオメェが中々頑張るようになったじゃねぇの」

「早く魔物壁を完成させて自由の身になりたいですから」

「魔物壁が完成したらなぁ」

 不敵な笑みを浮かべるこの鎧甲冑を着た兵士は、オズマリア帝国がレインクラウズクリア地区の監視に送り込んだ兵士である。そんな中久々に映像放送があった。そこには綺麗な女性の首に鎖をつけ、まるでペットのように扱うオズモンド皇帝の姿が映っていた。

「レインクラウズクリア地区の民たちよ。今日も御苦労だったな。大事な報告があるので聞くが良い。レインクラウズクリア地区以外の魔物壁は、既に完成した。そこでだ誰もいなくなったツリー地区への移住とそこの魔物壁の完成よりもレインクラウズクリア地区の魔物壁の完成が遅かった場合、非常に残念だが奴隷たちには、責任を取ってもらうことになる。責任の取り方などわかっていよう。死あるのみだ。この元王妃がワシの子を産めば、無条件で許されたものをここまでやってもできぬとは卵無しだったのであろうな。よって、側妃からワシの愛玩奴隷に都落ちさせた。お前たちは、このクズのせいで死ぬのだ。ワシにばっかり言わせず貴様からも謝らぬか」

 オズモンド皇帝は、イーリス元王妃に付けた鎖を引っ張り、その拍子で倒れたイーリスの全身が映る。首の鎖と腕の鎖以外付けることは、禁止にされたのだろう。産まれたままの姿で、見せたくはないところを手で隠そうとすると、腕についた鎖を引っ張られ叶わない。

「レインクラウズクリア地区の皆様、私のせいで本当にごめんなさい。私が当たらないばかり苦労をかけて。うぐっ」

「違うなぁ違う違う。こうだろう。言わなければ、ゴニョゴニョ」

「!?話が違う」

「さぁ、何のことかなぁ?」

「ぐっ。レインクラウズクリア地区の奴隷ども、ご主人様の有難い言葉を聞いたのならとっとと働きなさい。夜も働かないとツリー地区の魔物壁よりも早く完成させることなんてできないわよ。まぁ別に私には関係ないけどね。私はこうやって愛しいご主人様に今日も愛してもらうから。早くくださいませご主人様〜〜〜〜」

「ククク。そこまでせがまれては仕方あるまい。本来側妃でもない愛玩奴隷に出してやるものなどないのだがなぁ。ほらコレが欲しかったのであろう。頬張って大きくするが良い」

「あぁん。嬉しいですぅ。チュパチュパ。ジュボボボ」

「良い良い。では、ケツをこっちに向けんか。牝豚」

「はぃ。コレでよろしいでしょうか御主人様〜」

「全く、こんなに相性が良いのに子どもを産まんとは、牝豚として飼ってやってるだけ感謝するのだな」

「はい御主人様〜。キモチイイ。キモチイイですぅ」

 そこには涙を流しながらオズモンドを受け入れるイーリスの姿が映っていた。少なくともカイルには、そう見えた。だが周りの兵士たちにはそう見えなかったようだ。

「そこまで堕ちたか売女め」

「ファイン王よ。あれが貴方が愛した女なのですか?あんな売女が」

「そこまで堕ちて、尚も子どもが産めない。この売女が」

 民衆たちもイーリス元王妃の映る映像放送に卵や石を投げつけていた。

「アンタのせいでワシらの暮らしぶりが良くならんのじゃ」

「お隣のデザート地区は、永久帝国市民権を発行されて、税が半分になったそうよ。オズモンド皇帝陛下様との子を成したから。アンタも子を成せば、私たちの暮らしが楽になんのよ」

 やがて映像が切れるとその怒りは奴隷たちへと向かられる。

「アンタたちがオズマリアなんかに負けなければ、こんなことになってないのよ。何が国民を守る兵士よ。守れてないのに一丁前に言ってんじゃないわよ」

 ヒステリックになった女による鞭の一撃が50代の老兵に当たる。

「うぐっ」

「やめてください、そんなことをして、労働力が減ったらそれこそ魔物壁の完成なんて程遠いと思いませんか?」

「ガキが意見してんじゃないわよ。私、明日から監視員になります。コイツらをバシバシ働かせてやる」

「おぅ。俺も」

「俺も俺も」

 ストレスの発散の捌け口を元兵士たちにぶつけるそれがレインクラウズクリア地区の国民なのだ。

ここまでお読みくださりありがとうございます。

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