第二十一話 ねえトントン
「”KID A”とうなじに書かれている。意味としては”名無しの子供”
あるいは”有象無象の中の一人の子供”といった意味だろうか」
「有象無象……名無しの子供?」
「つまりキダと読むのではなく、キッド・エーと読むのが正解だ」
「君は何者なんだよ。この文字の意味まで知っているなんて」
「俺も知りたい。なんせ記憶喪失なもんで」
「君はこの大穴の下でがれきに埋もれていたんだよ。
私が見つけて直してやったが……見ろこの橋を。これもいつ建造されたものかわからない。
この大穴が開いた後に橋が建設されたんだ。何百年放置されていたのかな……」
「俺はこんな大穴に落ちて……それで一体、どこへ向かうつもりだったんだろうか」
「さあね。確かなのは君はN極から数百年かけてやってきた私がようやく出会った初めての人。
ここはそれほど人が住む場所から遠いってこと。なんで人が住んでないんだろう」
「さあな。人が住んでる場所に行けばそれがわかるかもしれない」
「よし、出発!」
先生と呼ばれているエースと男が歩き出したところで記憶の再生は突然プツンと途切れた。
一瞬視界が暗転して、次に目を開けてみると、目の前に女の顔があった。
さっきの記憶の再生では本人視点の記憶だったので顔は見えなかったが、これがエースと呼ばれる女の顔だった。
意外にも丸眼鏡をかけている。どこから持ってきたものか知らないが。
そして髪は肩まである長い金髪で無造作にベッドへ垂らしていて、俺の目を茶色い目で見つめている。
視線は暖かく、口元には優しい表情をたたえていて、俺は一瞬びっくりしたがすぐに落ち着きを取り戻した。
ふと、俺たちはベッドで上半身を横たえながら無言で何分も見つめ合っていることに気が付いた俺。
体を起こして手を差し伸べ、エースも起こしてこう言った。
「記憶はこれで全部か、エース?」
「私もあなたが何を見たのかは知らないけど、たぶんそれで全部だと思う。
記憶はおぼろげ……でも覚えているのはあの人との会話。
私が助けてあげた謎多き人。まるでこの世のすべてに通じているような……」
「そいつも記憶喪失だったみたいだな。厄介だ。二人とも機械の体か」
「そうよ。今どこで何しているのか。生きているのか。それはわからない。
でもきっとここへ来てくれる。ここへきて、人々を”神”から解放してくれる。
その時のためにあなたは彼を迎え入れる準備をするのよトーマ」
「妙なことになってきたな……世界の果てを見たという父さんたちはそのことを?」
「知らないはずよ。私の存在を知る機会はもしかしたらあったかも。
でもあの人がここへ来たことは多分ないと思うから、あの人の存在は私の心にしかなかったはず」
「そいつ、強いか?」
「多分ね。でもあなたのほうが強いかも」
「エースも強いか?」
「さあね。飛行機に乗れれば強いかも。ところでそろそろほら、触れなさいよ」
「え? 顔が元通りになってるってことか」
「そう、元通りに戻ったわ」
「び、美人だね……?」
と言ってほしかったのかと思い恐る恐る言ってみた。
エースは思った通り、俺にそう言わせたかったらしい。面倒くさい。
「お世辞でも嬉しいわ、ありがとう。ねえトーマ。あの武器アンタにあげるわ」
「え、元々エースのものだったはずなのに……いいの?」
「私は使えないみたいだしあなたが持っていたほうが有効に使えそう。
ねえ、トーマと一緒にいると私、傷の治りが早いしエネルギーももらえるみたい」
「そうらしいな。どういたしまして」
「一緒に寝てもいい?」
「いいよ」
俺は快諾した。エースは昨日まではコンパクトだったが、下半身を手に入れ、キズを修復してからは普通に大人並みに大きくなってしまった。
これではアンリ達はただでさえ一つの部屋を四人で使っているのに人数ばかりが増えて不便だろう。
部下を思いやるのも王たる者のつとめだ。決してエースの復活した見た目が魅力的な美人だから、というわけではない。
「今日はもう寝よう。お疲れ様。おかげで私、生き返れたわ」
「ありがとうエース。最初はずいぶん生意気なガラクタだなって、第一印象最悪だったけど……」
「あの時は混乱してたしアナタたちのことも信用できなかったから……ごめんね」
「でも今はエースのために頑張ってよかったと思ってる。
どうしようかな。もうエースのためにできることがなくなってしまった」
「革命軍に身を任せていたらいいの。あなたは何も心配しなくていいから、今はおやすみ」
エースは俺の頭をなでてくれた。この年齢差と体格差ではまるで親子のようだった。
俺は再度ベッドに入って布団をかぶり、エースも入ってきた。
まるで暖かくない。エースの肌には血が通っていないのだ。
ああ、本当に俺は桁外れな未来の世界の住人と一緒に寝ているのだなと実感し、何故か感動すら覚えた。
それからのことはよく覚えてないが、たぶん結構すぐ眠りにつけたのだろう。
エースに起こされて朝食を一階へ食べに行った。その時の仲間たちの顔と言ったら傑作だった。
辛うじて大事なところを隠している以外はほとんど裸の、今まで誰も見たことのない眼鏡をかけた女が俺と一緒に起きてきたのだ。
まあ、エースの眼鏡は多分目が悪いからかけてるんじゃなくて伊達だろうと思うが。
これにはさすがにいつも冷静沈着なメイドですら初めて見たときは数秒の間、目を見開いて硬直し、階段を下りてくるエースを凝視していた。
「お、おはようございます。あなたは……エースさんですか?」
「そうよ。おはよう。朝ごはん頂くわね」
「は、はい……」
俺が昨日晩御飯を食べていた窓際付近の席に座り、その一個となりの一番テーブルの端の席にエースが着席。
これにはエースを見て、まだ十三歳とか十四歳ぐらいなのに女好きのセシルが苦情を入れてきた。
「ちょっと待ってくれトーマ。この人がこんな美女になるってわかってたのか!?」
「初めて会った時も本人がそう言ってただろ?」
「そ……確かに」
言っていたことは言っていた。エースは復活しさえすれば俺たちガキが腰を抜かすような美女だと言っていた。
もちろん俺もセシルと同じで全然信じてなかったが。
「僕は別に疑ってませんでしたよ。おめでとうございますエースさん」
とアンリは十五歳か十六歳くらいの年のわりに大人なところを見せた。
やはり隊長とやらをやっていると大人にならざるを得ない部分もあるのだろうか。
「ありがとうね。今日はジュリアン・アンドレアスとかいう人がトーマとセシルを迎えに来るのかしら?」
「いや。道は教えてもらった。セシル行くぞ。朝ごはん食べたら行く」
「でも僕ね、経験上知ってるんだよね」
「なんだ?」
「革命軍の男は朝に弱い」
「……」
俺はセシルの言葉に絶句した。確かにそれは絶妙にありそうなラインなので言い返せなかったのである。
特に俺の親父なんてヒモの才能がありそうだから、寝起きが悪いけど女に無理やり起こしてもらうみたいな光景が目に浮かぶ。
「まあ俺はどうでもいいんだがな。セシル見ただろ。エースはこの通り元通りだ。
もはや古代兵器の爆弾なぞに興味はないね。勝手にやってろって感じだ」
「ダメだよトーマ。君は船に乗ったんだ。途中で降りることは出来ない。
僕も行くよ。連中が酔っ払って寝ていようが起こしに行く」
「セシル。お前に初めて会ってからずいぶん経ったけどまだ聞いてなかったな。
お前の故郷が滅ぼされたとき、詳しくは聞いてないけどどういう状態だったんだ?」
空気が凍ったが、それは予想していたし、別にどうでもよかった。
「どうしてそんなことを聞くのかな?」
「関係ならあるぜ。お前には革命軍にしか居場所はない……そう思い込んでいるだけだ。
その理由が故郷を滅ぼされたことにあるのなら、聞いておきたい」
「……天使だよ」
「天使?」
「ノイトラだよ。神の使い、”天使”が現れて僕の住んでいた故郷を焼き払い、一族を殺したんだ。
女・子供も容赦なく。それがのちに革命軍のせいだとわかった。
僕の祖父さんが革命軍に協力したせいらしい。もちろん誰のことも恨んではいないよ」
「本当に、ノイトラに対して恨んでいないのか?」
「当たり前だろ。ノイトラを解放しようとしている革命軍に、僕はいるしかないんだ。
自分で辛いほうへ向かっていくなんて辛いだけだ。ねえトーマ」
「な、なんだよ」
「君に初めて会った時、もちろんボスの息子だなんて知らなかった。
でもゲットーのノイトラだったから、優しく接したよ。
橋の下で月明かりに照らされながら水面を見ている君が、僕には自分よりも弱くて、守ってあげなきゃいけない存在に思えたから」
「セシル、その、ごめん」
「心配しなくてもエースのことはボス達には言わないよ。
君が父親以上の器があって、そして僕の居場所になってくれると約束してくれるなら、僕は君についていきたい」
ダメだ、それは約束できなかった。公然とみんなの前で、セシルの要求する通りの言葉を俺が言った場合。
それはもうプロポーズみたいなもんだ。俺がお前の居場所になる、なんてな。
俺はもちろんそんなこと言うつもりはなく、普通に本音を言った。
「確かめたかっただけなんだ。お前のことは胡散臭い奴だと思ってたから」
「ひどいなぁ……」
「薄々知ってたよ、”天使”がお前の故郷を襲ったことは。
なのにノイトラに分け隔てなく接するのが胡散臭いと思って」
「僕はすべてのご婦人の味方だよ。何より革命軍の一員だ。
ノイトラ差別なんてするわけないだろ。祖父は祖父、故郷は故郷、僕は僕だ。
さあトーマ、そろそろ行こう。おじさんたちを起こしにね」
「わかった」
「行ってらっしゃいませ」
メイドさんに見送られながら俺たちはすぐに席を立って廊下を歩き、家を出た。
家を出て一分と経たないうちにセシルがさっきのことでのわだかまりなど感じさせない親しげな態度で俺に話しかけてきた。
「あのさ、トーマ。ノイトラは君の言うなりなんだろう」
「そうだな。でも人間の言うことには逆らえないようになっているとも聞いた」
「そうなんだよね。ノイトラに対して不満があるとすれば、僕の女になれと言えばなってしまうところなんだ。
まあ要するに、彼女らを落とすとしたら向こうから告白するように仕向けることだと思うんだよね」
「何を言ってるお前?」
「とはいえ、君に協力を求めても一緒だよね。王の命令に彼女らは逆らえない」
「もしかしてアレかセシル。お前が言いたいのはつまり……」
「ああ、ミシェルって子が気になってる。ちょうど同い年くらいだし。
何より重要なのはだね、彼女は僕のことが好きに違いないと思うんだよ」
「そ、そうか? でもあいつ何故か昨日も今日もお前の横に座ってたよな」
「だろ? まあ僕は自分で言うのもなんだが結構美男子だと思うし、彼女の気持ちも共感は出来ないけど理解できるよ」
「共感したらキモいだろ……まあ後でそれとなく聞いといてやるよ」
「助かるよ。持つべきものは友達だね。トーマは気になってる子とかいないの?」
「俺の態度見てりゃわかるだろ。お前モテるんだから」
「僕は超能力者じゃないんだよ。まあでも、エースにご執心なのはわかるよ?」
「あの女は絶対に重要だ。もしかすると”神”とかいうやつにとっても危険な存在かもしれない。
何より似ている。どこか俺とあの女は。どこが、というとその、まだ言語化はしてないんだけど……」
「そうか。まあ彼女の場合、向こうも君のことが好きなのは見ていたらわかる。
二人が恋愛関係になるかはともかく応援してるよ。約束する、君たちのことはボスには内緒だ」
「恩に着るよ。ところでセシル。お前は男なわけだよな?」
「そうだね。僕らの目がおかしくない限りは」
「お前は俺のこと女として見れる?」
「自分に自信がないのかい? 安心してくれトーマ。男みたいな態度をとってても僕は気にしないよ。
今も可愛くてしょうがない。小さくて、抱きしめたくなる。初めて会った時からそれは変わらないよ」
セシルは今まで何人も女を落としてきたのであろう笑みを俺に見せた。
しかし俺は冷静そのものだ。可愛いと言われても動じはしない。
むしろ頭が冷静になり、こいつは一体、さっきまでほかの子に対する恋愛相談していたやつによくこんなこと言えるなと感心した。
「しかし何でそんなこと聞いたんだトーマ。あれ、もしかして僕のこと……」
「それはない。正直自分でも驚いてる。セシルがミシェル達と仲良くしてるところを昨日見た。
そしたらなんか嫉妬しちゃってた。セシルは友達だけど俺のことだけ見てくれなきゃ嫌だ!」
「トーマはわがままだな。王というよりお姫様だ。大丈夫、今日だけは君だけを見てるよ」
俺の頭をからかって撫でてくるセシルの手を俺は振り払った。
「もういい……お前に言った俺が間違ってた」
「嘘じゃないって。怒ってる?」
「怒ってない。ほら行くぞ。おっさんを起こしに行くんだろ」
「そうだね。ボスはアンドレアスの部屋にいたんだって?」
「ああ。ところでセシル。ボス……というのは俺の親父の話だけど、もう一人いるだろ」
「表向きはアラン=ミシェル・ロランがボスなのに、もう一人扱いなのはちょっと可哀そうだね」
「ああ。その人が俺と同じノイトラだと知ってたか?」
「そう親父さんから聞いたのかい? 確かに驚きだが、言われてみれば納得だね」
「そうなんだ。親父はその人が表に出てこない理由について言葉を濁していた。
会わせてもらえるだろうか。いつなら会える?」
「さあ。君が勝手なことを昨日して盗みを働いたらしいが、そのせいで遅れないといいね」
「それは悪かったよ。でもおかげで能力が覚醒してきたのは確かだ。
今ならあの町へ戻って飛行機を修復して動かすことも、たぶんできる」
「とにかくお父さんに会ってみよう」
「言われなくても」
俺たちは朝の街を歩き、昨日と同じ道順で裏町を進んでいき、住宅街の奥まったところにある酒場に到着した。
すぐにドアを開け、夜の間に飲んでいた酔っ払いが撤収した後の静けさを取り戻した酒場に二人で足を踏み入れる。
マスターと俺は目が合った。このおっさんはどこまで革命軍のことを知ってるか知らないが、一応挨拶しておいた。
「どーも。あいつ二回にいる?」
「どうした。横のはボーイフレンドか嬢ちゃん?」
「もうそれでいいよ」
「あ、どうも。ボーイフレンドです」
と二ヤつきながらセシルは言った。
「悪ふざけすんな。ついてこい」
俺たちは遠慮なく店の奥の階段を上がって二階の貸し出してるお店へ。
そしてギシギシと足音を立てて寝室へ近づいてこっそりとドアを開ける。
すると驚いたことに親父は妙な男と一緒にソファに座って何か食べていた。
見てみるとサカナだ。焼き魚や刺身のようなものをを食っている。
刺身と言ってもしょうゆをつけて食っているのではなくカルパッチョのような感じで調理済の皿がテーブルに乗っている。
俺が何か言いかけたとき、突然もう一人の男が振り返ってきたので俺はたちまち閉口した。
そいつは親父と同じソファに座り、親し気で距離も近い。どこか中性的な雰囲気がある。
だがこの人がもしノイトラだとすると、今まで見たノイトラの中でも最も男っぽい感じだ。
男型のノイトラ、とされている俺ですらよく女に間違われるのだが、こいつは違う。
髪は少し長めだが、顔は精悍な感じで、この空間にはセシル、親父、そしてこの男と三人もイケメンがいて俺は逆ハーレム状態だ。
全然うれしくないが。
「君……トーマか?」
「そ、そうです」
「よく来たね。セシルもそこへ座りなさい」
「あ、はい……」
俺たち子供組は言われたままに親父と謎の若い男が座るソファの反対側のソファに横並びで座った。
謎の男は俺のほうを何とも言えない薄味の微妙な表情でひたすら見据えてくる。
足を組んでその足の上に肘を置き、頬杖をついて上目遣いで睨んできた。
俺は無言では耐えきれないので話しかけた。
「あの。トーマス・ドラクスラーとサシで飯食ってるだなんてただものじゃなさそうっすね」
「聞いたよトーマ。研究施設から妙な箱を盗み出したんだってね。例の女の下半身かね?」
「な、何でそれを」
「あまり我々を見くびらないほうがいい。そのくらいの情報力はある。
何か企んでたんだろうがあてが外れたね。まあそんなことより、本題に入ろうか」
「本題?」
「私の名はアラン=ミシェル・ロラン。革命軍の幹部をしているものだ」
「謙遜を……あなたこそがボスでしょう」
セシルに言われたボスは首を横に振った。
「組織にトップは必要ない。特に革命軍はこの世に夜明けをもたらす組織だ。
その火を消してはならない。特定の優秀なトップに依存していてはそれがなくなったとき困るだろ。
ところで、君とも会うのは初めてだったね。君のおじいさんには大変助けられた……礼を言う」
「初めまして。まさかお二人が一か所に揃うとは、豪華ですね」
「ふふ。こいつはとにかく魚に目がなくてね。何でも子供の頃から釣った魚だけで生きていたとか」
「これしか食うもんなかったんだからしょうがないだろ。
この街はいい。新鮮な魚が手に入るからな」
どうも親父はペンギンのような生態をもっているらしい。
これほど魚ばっかりの食卓ということは、普段からそうなんだろう。
「それでアラン=ミシェル・ロラン。アンタの噂は色々聞いてるけど……本題って?」
さっきセシルと話してるとき、話がそれてしまったので俺は話を戻した。
ボスは奇妙なほど打ち解けた態度である。俺に対し目尻を下げて、すごくニコニコして話してくれる。
いっそのこと胡散臭くて怖いほどだ。
「そうそう。そのことを君に話したくて私はうずうずしてたんだよ、トーマ」
「えっと……なんですかボス?」
「私のことは気軽にトントンと呼んでくれ。でもまあそれは私の個人的な話。
組織人としてはちゃんと本題を話さないとね。君の隠している女についてだ」
「はい、トントン」
「あ、もう一回言って?」
「だからトントン」
「ふふふ」
「おいアラン、話が進まねーだろ」
「ごめんごめん」
親父に急かされてボス、いやトントンは緩んでいた顔を引き締めて咳ばらいを一つ。
場が静まり返ったところで話が再開された。
「えっとね。君の隠している女のことだ。名はエース。そうだね」
「メイドから話を聞いたんですか?」
「彼女は我々の重要な構成員だ。仕事もまじめにやってくれているようで何より。
彼女の言うことはしっかり聞くようにね、子供たち」
「わかってますよ。それで古代兵器とともに隠されていたあの女が……何か?」
「うむ。我々も知らなかった存在だ。そして政府が女を研究対象にしていたのは興味深い。
一応聞くが、この街の研究所から女の下半身を回収して彼女を修理した、そうだね?」
「そうです。ですがトントン、どうしても納得できない。
メイドにそこまで説明はしてません。ほかの者が説明したとも考えにくい。
一体あなた方はどこでそんな情報を仕入れてるんですか?」
「我々の協力者は意外なところに潜んでいるということさ。
さて、その女のことなんだが、ぜひ会ってみたい。
ほら、コイツは顔が知れているが私は謎に包まれた男だからね……街へ出るにはそのほうが都合がいい」
トントンは親父を指さして笑った。この人、秘密結社・革命軍の長なんて全く柄にない人らしい。
その人柄は少し会って話をしただけでも、明るくて優しく、人を笑顔にさせてくれる人だということがわかる。
「バレているならしょうがない。案内しますよトントン」
そんな人いるかはわかりませんが、「ボーイとガールがミートして」という作品でもトントンという単語が出てくるんで、読んで覚えててくれてる人がいたらうれしいです




