3-13 『見習い錬金術士ミミリの冒険の記録 6錬成目』
【シャボン石鹸 主婦の友 特殊効果:シミ、黄ばみ汚れに抜群の効果を発揮する。新品のような輝きと毛並みを取り戻させ、一定期間汚れを弾く効果も付与する】
白シャツにコーヒーをこぼしちゃって落ち込んでいるお客さんに元気を出してもらいたくて、その場で汚れを落としてみたら大変なことになっちゃった錬成アイテムだよ。
あの場でもたくさんの注文依頼をいただいたのに、次の日もその次の日もたくさんの注文が直接工房に入ったの。
うさみは、笑いが止まらないわ〜って言ってるけど、私は腕が止まらないわ〜ってなってるよ。あれからずーっと、石鹸作りしてるの。後で泡立ちの実の採集に行かないと。アザレアの森にもあるといいんだけど。
・泡立ちの実 ×3
・メシュメルの実の絞り汁 ×1
・【ミール液】 ×1
●特等依頼
コブシさんが武器屋さんに行くって言ってたから、こっそりお願いしてゼラくんを連れて行ってもらったの。
その間にね、うさみと一緒に冒険者ギルドに行ってゼラくんの両親の仇について書かれた特等依頼を見てきたんだ。しっかり、メモもとってきたの。
『【目撃依頼(特等)】
パーティーの平均冒険者等級:不問
《対象モンスター》
蛇頭のメデューサ 1体
《モンスターの特徴》
全身石のような色をしている、女性のような見た目のモンスター。長く太い髪はうねうねと動く生きた蛇。
見た者を石にするという言い伝えのほか、男性を魅了し意のままに操るのではないかという分析報告も多数挙がっている。
《今までに確認された出現エリア》
アザレアの森、瞑想の湖
《依頼達成報酬》
300,000エニー
《補足・注意事項》
このモンスターは非常に危険です。出会った場合は絶対に立ち向かわず、速やかに退避してください。目撃情報をもとに当ギルドで討伐メンバーを集い、責任を持って討伐いたします。』
特等依頼の手配書を書き写しながら、ゼラくんがどんな思いで過ごしてきたか想像を巡らせて、私もうさみも、自然と涙があふれてきて……。文字が涙で滲んじゃった。
泣く私たちを見て、冒険者ギルドの人たちに声をかけてもらったんだけど、心配をかけてしまうのが申し訳なくてそのまま工房に帰ってきたんだ。
工房に帰ってきて、2人で改めて顔を見合わせてみたらお互いに目が真っ赤になっちゃってて、ゼラくんたちが帰ってくるまでに何とかしなきゃ〜! って気合いを入れたんだけど、
「今まで泣いてただろ? どうしたんだ?」
……って、何故だかゼラくんにはバレちゃったんだ。
なんでもないよって、誤魔化したらそれ以上深く聞かないでいてくれて。
優しく微笑んでキッチンへ向かって、美味しいはちみつパンケーキを焼いてくれたの。
そしたらまた涙がぽろぽろあふれてきて、結局泣いちゃったんだ。
ゼラくんは困ったように笑ってから、何も言わないで私たちの頭をずっと撫でていてくれたんだよ。
☆これまでの冒険の感想☆
審判の関所を抜けた先にあったのは、優しい人たちであふれるアザレア。
来たばかりだというのに、たくさんの人に出会って、前から知り合いだったみたいに優しくしてくれたよ。
チョコレートクッキーをくれた優しい女の人。大きな盾がかっこいいガウラさん。心優しいバルディさんに、親しみやすいコブシさん。笑顔が可愛いデイジーさん。
そして、そして……。
凛とした立ち振る舞いが素敵なローデさん!
たくさんの出会いがあって、助けがあって、工房をもつことができて、カフェの店員さんも経験できたよ。
見知らぬ土地へ行くことの不安もあったけれど、それ以上に期待感もあったけれど。
期待していた以上に、素敵なことであふれていたよ。勇気を出して、冒険を始めてよかったなって、心から思うの。
もちろん、冒険の目的は忘れていないよ。
スズツリー=ソウタさんを探すこと。
【アンティーク・オイル】を探すこと。
私のママとパパを探すこと。
そして、もう1つ。
私の冒険に新たに加わった目的もある。
ーーゼラくんの両親の仇、特等依頼のモンスター、蛇頭のメデューサを私たちで探しだすこと。
……探しだした後は、どうするかまだわからないけれど。
ゼラくんを苦しめている元凶を取り除く手助けをしたいって、心から思うの。
……ゼラくん。
ご両親を亡くして、これまでどうやって生きてきたの?
出会った時に教えてくれた、小さい家族のために悪いことしようとしたって言っていた、その小さい家族はその後どうなったの?
暗くて狭いところが苦手な原因は、あのモンスターのせいなの?
心優しいゼラくんだからこそ、余計に苦しかったこと、たくさんあったでしょ?
ゼラくん。
ゼラくん。
ゼラくん……。
私とうさみがついてるからね。
アルヒもポチも、それにアユムもライちゃんも。
みんながついてるから。
くまゴロー先生も、ピロンちゃんも。
バルディさんやガウラさん。
コブシさんたちだって、きっと力になってくれるから。
冒険の目的を達成するためには、たくさん依頼を受けて、工房も有名にして、いっぱい情報を集めなきゃいけないね。
絶対1人で頑張らせないから。
みんなで頑張っていこうね。
私たちの冒険の目的を、叶えるために。
私の冒険の記録が、貴方のお役に立てますように。
著者:見習い錬金術士 ミミリ
アザレアの街で新しい錬金素材アイテムを拾ったり、新しいアイテムを錬成したり、
依頼を受けたり、
街おこししてみたり!
そんな第3章はまだまだ続きます。
よろしくお願いします〜!
次話は明日の投稿を予定しています。
よろしくお願いいたします。
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うさみち




