4-14(回想)名探偵うさみの弟子、ゼラの事件簿 4推理目
こんにちは! 俺の名前はゼラ。
見習い錬金術士のミミリたちと一緒に冒険している、見習い冒険者だ。
今回は(一応)師匠のうさみの指示で、いつもうさみがやっている『名探偵うさみの事件簿』を綴ることになったんだ……。
俺に務まるだろうか……。
ホラ、いつもうさみは表紙にも背表紙にもイラストとか、本編中にも挿絵描いてるだろ?
ゴメン! 最初に謝っておくけど俺にはイラストは描けない。……描けないくせに、うさみの絵には口出ししたくなっちゃうんだよなぁ。
なんていうかさ、前向きに考えれば、うさみの絵は伸び代しかないってことだろ? 本人もあんなに真面目に取り組んでいることだし、俺としては伸ばしてあげたいって思うわけ。
両手両足の長さとか、目の大きさとか顔のバランス……そういうのはアドバイスできるかなって思ってさ。ん〜。直さなくてもうさみの個性かもしれないんだけど、さすがに凶器っぽいもので串刺しにされている絵を見るのはちょっと……
――!
やべ……! うさみが俺を睨んでる。
えー。コホン。
それでは、師匠に倣って始めてみたいと思います。
うさみの著書、『名探偵うさみの事件簿』の4冊目! 『名探偵うさみの弟子、ゼラの事件簿 4推理目』ッ。
不慣れだけど、勘弁してな。
一応、この本を説明しないといけないよな。
……えーっと……。
この本の使い道は、これまでの流れを引き続いで、俺が冒険を振り返ったものを記していくぞ。記録を残すことで、冒険を振り返りやすくしたり、冒険で得た気付き、疑問点なんかも残していけたらいいなっていう、うさみのアイディアなんだ。
あ、そうそう。
うさみから何故か黒縁眼鏡をかけながら本を執筆するように言われたから、素直に従って眼鏡をかけているぞ。似合うかどうかはわからないけどさ、反抗すると……ゴニョゴニョ……と、濁しておく。
それじゃあ、早速、主に俺の過去の冒険を振り返ってみるな。
――あー決めゼリフ、言わなきゃダメか。
見た目はうさぎ、中身は乙女な名探偵うさみの弟子のゼラの推理力、とくとご覧あれ〜!
……あああああああああ恥ずかしいッ!
《登場人物》
◎ゼラ(過去編)
川上の街に住んでいたんだ。5歳の誕生日。冒険者の父さんと、母さんとの買い物中に、蛇頭のメデューサに襲われ……。父さんと母さんを失って、教会のお世話になることになったんだ。
護衛騎士さんに手解きを受けて、少し剣術を学ぶことができたんだ。武器は父さんの形見の騎士の短剣を使っているぞ。
◎父さん、母さん
冒険者の父さんと、優しく料理上手な母さん。俺を木のウロに隠し、蛇頭のメデューサから僕を守って……。2人のお墓は川上の街付近の森に作ってきたんだ。蛇頭のメデューサを倒すことができたら、絶対にお墓参りに行きたいと思ってる。
◎シスター
孤児が暮らす教会の保護者的存在。とっても優しいんだ。女神フロレンス様の加護を受けていて、人々を癒す力を持っている。実はこれって、稀有ですごいことらしいんだ。
◎サラ
子どもたちのお姉さん的存在。初登場時に、もう少しで4歳と言っていたな。家事が得意で下の子たちの面倒見もいい。俺もサラにたくさん救ってもらったよ。
◎ジン、シン
3歳になったばかりの双子の男の子。黒髪で活発な子がジン。銀髪でおっとりした子がシンだ。俺が旅立つ時には、デュランと一緒に剣術の稽古をしていたな。シスターたちを守るんだって、言ってくれていた。本当に心強いよ。
◎ユウリ
一歳だった赤ちゃん。アイドル的存在なのは旅立ちの時も変わらなかったけれど、一番のおませさんに成長したよ。でも妹っていいよな。とっても可愛いんだ。
◎デュラン=アザレア、トレニア=アザレア
バルディさんの実の弟妹だと判明した2人。2人が幼かった時攫われてしまったから、どのような経緯でアザレアの街から行方不明になったのかはわからない。デュランは、失語症になってしまったトレニアにずうっと付き添っている。早くバルディさんに会わせてあげたいよ。
◎女神フロレンス様、護衛騎士さん
俺たちを救ってくれた女神様のような存在の女性と、旦那さんの護衛騎士さん。ミミリの両親だったんだな。今はミミリが左耳につけているエメラルドグリーンのイヤリングの片割れを右耳につけている女神様。いつか、ミミリたちを会わせてあげたい。俺のもう一つの旅の目標だ。
《これまでにわかった事柄の時系列》
※わかりやすく前回分とまとめているぞ!
●【アルヒの住む地】
・スズツリー=ソウタ200歳。アルヒを作る。
↓
・心無い者に、錬金術の本や【アンティーク・オイル】を含む錬成アイテムを盗まれる。(犯人はアルヒたちの友人だったみたいだ)
↓
・スズツリー=ソウタ、家の周りの川に「大賢者の涙」の成分を付与する。
・スズツリー=ソウタ、審判の関所を作る。(おそらく大賢者の涙と同時期じゃないかなぁ)
↓
・スズツリー=ソウタ、雷竜にアルヒたちを託し、行方不明に。(この時から現在までに100年経過しているぞ)
↓
・スズツリー=ソウタを探すため、アルヒとポチはしばしの別れ。(しばしと言っても100年間。すごいなぁ)
↓
・ミミリの両親、この地にやってくる。この時点でミミリは母親のお腹の中にいたらしい。
↓
・幼いミミリをアルヒに託し、ミミリの両親が旅に出る。
・うさみの生命活動開始‼︎(拍手シテアゲテクダサイ)
↓
●【川上の街(廃墟の街)、川下の街、教会】
・ゼラ、蛇頭のメデューサによって孤児になる。
・ミミリの両親、ゼラや、デュランとトレニアの窮地を救う。3人は教会に住むことに。
・ゼラの宿敵、蛇頭のメデューサは致命傷を負う。(10年間くらいは動けないだろうとの推測)
↓
●【アルヒの住む地】
・ミミリ13歳、ゼラ15歳の時、ゼラはミミリたちの地へやって来た。
↓
・ポチとアルヒの再会。
↓
・ミミうさ探検隊、プレ冒険をする。
↓
・旅立ち。
↓
●【審判の関所】
・審判の関所クリア!
↓
●【アザレアの街】
・人と人とが行き交う街アザレアへ到着
↓
・右も左もわからないから、いい情報を得るために名声を集め工房を有名にする!
(難易度が高い依頼の対価として、質のよい情報を代わりにいただきましょうっていう算段だと言いながら、うさみの目がエニー(お金)マークになっていたよ)
↓
・マールを助け、蛇頭のメデューサを倒す!←今ココ!
自分の過去を打ち明けるのって、恥ずかしいものだな……。
俺の両親の仇、蛇頭のメデューサ。
やっと……やっと……討つ時が来た。
……差し違えてもいいって言ったら、ミミリたちは怒るだろうな。泣くかもしれない。
けど、俺はそれくらいの覚悟を持っている。
父さんや、護衛騎士さんのような力は、俺にはまだ……ない。
足捌きで動きを推測することも、蛇頭の無数の蛇を捌き切ることもできないかもしれない。
でも、やるしかないんだ。
せめて、ミミリたちに迷惑はかけないように。
いくら自分が傷ついてもいいから……目隠しして、戦うつもりだ。操られでもして、ミミリたちを傷つけたくない。
蛇頭のメデューサの右目も潰れている。それだけでも、すごく大きい。
俺は両目を隠して、心眼で戦ってやる。
川上の街のみんな。
父さん、母さん……。
仇は、俺が……必ず、討つよ。
俺のこの冒険の記録が、後世の冒険者の、なんらかの助けになることを願って。
見習い冒険者 ゼラ
これでゼラの過去編が終了となります。
第4話までお付き合いくださりありがとうございました。
第5章は、いよいよゼラと蛇頭のメデューサの決戦を描きます。
次章でも皆さまとお会いできますように。
次章まで1週間程度お休みの予定です。
次章の再開は活動報告やツイッターでお知らせいたします。よろしくお願いします。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー☆★☆ーー
最後までお読みくださりありがとうございました。
続きを読みたいな、今日の話なかなか面白かったよ!と思ってくださった方がいらっしゃいましたら、是非、ブックマークと下記の☆☆☆☆☆にてご評価をお願いいたします。
ブクマや、ご評価、感想をいただくたびに、作者はうさみのようにピョーンと跳び上がって喜びます!
とってもとっても、励みになります。
どうぞよろしくお願いいたします。
うさみち




