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王道展開……なのかもしれない

 ある日の1日。外は天気に恵まれている。

 いつもの如く朝食を食べ、姫子さんに検温された伊吹は病院の屋上へ向かった。病院内なら出歩きは許可が下りれば可能だ。まぁ、拒絶されることは滅多にない。


 伊吹は病室を出て屋上へと向かった。この病院は5階層もある大病院だ。学校などよりも比べ物にならないほどデカい建物だ。

 この屋上は一体どんな景色何だろうか。そんな軽い気持ちで、屋上の扉を開ける。

 少し扉を開けただけで強い陽射しが差し掛かる。扉を開くと、辺りは白い光で包まれていた。まだ目が慣れていないからだ。

 伊吹は1度目を閉じ、1呼吸置いた後再度目を開けた。するとそこには、輝かしいほどに美しい景色が広がっていた。しかし、それを気にも止めずに1点を見つめていた。そこには、学校の屋上で見かけた少女の姿があった。少女は伊吹を視線に気づくと不思議そうなに首を傾げた。そこでハッとなった伊吹は慌てて視線を背ける。すると彼女は笑顔で語りかけてきた。


「あなたもここの患者さん?」

 そう言う彼女の声はまるで感動するほどの優しい声だった。

 無言になってしまう伊吹を綺麗な瞳で見つめる。その目を見ていると、いつの間にか虜になってしまいそうだ。伊吹は頬が赤くなるのを隠すように、

「うん、先週から入院してる。」

「そうなのね!私もね、最近この病院で入院することになったの。あ、えっとね、」

 ──私の名前は、小野寺六花。よろしくね!

 そう言うと彼女は右手を差し伸べてきた。綺麗な肌に小さな手が写っている、伊吹は水が流れるが如く自然に手を握った。

 実際に手と手を触れ合ってみると、視覚だけでは絶対に感じることの出来ない温もりを感じた。その瞬間、伊吹の心は何かに乗っ取られたような、まるで凍り付いたかのように固まった。

「……?」

 彼女が首を傾げると、伊吹は慌てて話す。

「あ、うん、よろしく。俺は伊吹。佐藤伊吹だよ。」

 昔から、リアクションが低かったため、多少の動揺では緊張を悟われることは無い。そんな伊吹の様子を愉しそうに眺めていた。伊吹の照れ隠しが彼女には通じなかったらしい。

 照れながら伊吹は顔を隠すように、後ろを向いて話した。

「六花……さん、六花さんは──」

「六花でいいですよ。」

「…じゃあ、六花。六花は今何歳(いくつ)?」

 そんなまるで初対面同士の質問をした。いや、初対面なのだが。それに他にも聞きたいことは沢山ある。

 ──どうして学校の屋上へ現れたのか。

 ──一体どんな病気を患っているのか。

 ──そもそもどうして、────。

 伊吹は彼女の学校の時の事も病気の事も知りたいことが沢山あった。


「伊吹君なら、分かると思うんだけどな」

 冗談っぽく笑った顔には何処か悲しげな雰囲気があった。その姿を一言で表すならば“美”その物だった。

考えが甘かったようです。物語を大切に思っていたのに、自分の作品のキャラクターを深く考えていなかった。考えるべきことを忘れていた。早く具体的に決めなければいけない。いや、彼らのことを知らなければいけない。

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