余命宣告
もしも、突然難病を患い医者に余命宣告をされた時、残された時間をどう生きる? 歌が好きならカラオケに行くのもいい、運動が好きなら近くの市民体育館か公園で好きなスポーツをしてもいい。誰にだって趣味の1つくらいはある。
出来ることなら好きなこと・やりたいことのみをして生きていたいだろう。
本来過ごすはずだった未来が無いのだから、残された時間くらいはやりたいことだけをして過ごしたい。
──しかし、そうならないことは知っていた。伊吹は悲愴な表情で病室のベットの上で月明かりを眺めていた。
伊吹には、趣味がなかった。暇な時間があっても、特に何かする訳でもなくただぼーっといているだけの日々を送っていた。
別にわざとそうしている訳ではなかった。ただ、何がしたいのか、何をしたらいいのかが伊吹には分からなかったのだ。
やりたいことが何かを問われても、何がしたいのかが分からないので答えることは出来ない。
伊吹には、自分がどうして居るのかが理解できなかった。自分自身の存在意義を見出していない。
生きることを手放している。今まで待ち望んでいたかのように、伊吹はゆっくりと眠りについた。
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「えー、息子さんの病気は“筋ジストロフィー”といわれる難病です。現段階で分かっていることは、息子さんの症状は脚部辺りから拡がっています。あと、一年もしないうちに足が動かせなくなると思います。この病気にかかった患者は、次第に全身の筋肉が衰え、終いには」
──心臓を動かす筋肉が完全に機能を停止する危険性があります。
冷酷な表情で医者は言った。それを聞いた母はこれ迄見た事のないを形相を浮かべた。
西の空に日が沈みかかっている頃、ある親子が病院から出てきた。母親の名前は“佐藤静絵”。隣を歩く息子は“佐藤伊吹”。
二人は沈黙の中ただ家までの道のりを歩いていた。空気を変えようとしたのか、伊吹の方から話しかけた。
「母さん、今日の晩御飯は何?」
と、さり気なく聞く。
「えっ、あ、晩御飯ね……うーん何にしようかなぁ。何が食べたい?」
母は晩御飯を考えていなかった時はいつも「何か食べたいものある?」と聞いてくる。でもそう言わなかったのは、息子が食べたいものを食べさせたいからだろう。
──そんな気を遣わなくていいのに……
いつもはそんな事言う素振りも見せない母も、流石に戸惑っているようだ。当然である。
実の息子が余命三年を言い渡されたのだから。
「今食べるとしたら、ピザ……かな。」
取り敢えず、大好物であるピザをお願いした。
ピザなら、何時でも何処でも朝昼晩食べていられる気がする。
「ピザね、わかったわ。」
母は、急いでスマホを出しピザ屋に電話をかけようとして、「なんのピザがいい?」と聞いてきた。
「それよりも母さん、歩きスマホはダメだよ。」
伊吹はいつも通りの覚束無い母に優しく中止した。きっと、優しさのつもりなんだろう。いや、正真正銘の優しさなんだ。きっと。
だからこそ、そんな母に危険行為はして欲しくない。
「でも、今頼めば早くピザが食べられるわよ?それにその方が、時間を効率よく使うことが出来るわ。」
母はそう言うと、止める間もなく電話をかけてしまった。
まず、この話を読もうとしてくださり、誠に感謝申し上げます。誤字脱字等多いと思いますが、素人の書いたもの、と思って頂けたら幸いです。
しかし、好きなことだけで生きると言うのは、憧れますよね。好きな仕事に就いて好きな場所に遊びに行って。そんなことが出来たら、どんなに幸せでしょうか。そんな方々は、とても羨ましいものですね。
(何も無い限り)毎日1000文字程度を基準に書きたいだけ書く。というスタイルで行きたいと思います。
もし、応援頂けたら凄く嬉しいです。