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3/3

同級生の女子が楽しみすぎてヤバい。

よければ評価お願いします。


「ショッピングモールかよ…」


 放課後、鵜久森の買い物に付き合わされる俺はショッピングモールにやって来ていた。


「やっぱ放課後に出かけるってなったらショッピングモールだろ」

「いやならないから。普通帰るから」

「何言ってんだよ。三日月(みかづき)高校の生徒だったらわりとここに来てんぞ」

「マジかよ。暇人かよ」


 三日月高校とは、俺達が通う東京の公立高校である。なんでも、正門から見て校舎の壁には三日月の大きなオブジェが飾られているから、そう呼ばれているらしい。

 雷門中と同じじゃん。


「よーし、最初は何買おっかなー」

「え、決めてないのか?」

「うん。ショッピングモール行くってなってわざわざ何か買うって決めてる人いないだろ。色んなものあるんだから、片っ端から見ていくのがセオリーなんだぜ?」

「そんなセオリーあんの?」


妹と買い物に行くときじゃあらかじめ決めてたぞ。行き当たりばったりすぎてこいつ冒険者になれるぞ。


「やっぱ服だな。よし、行こう!」


 鵜久森は俺の手を引いて、服屋に連れて行く。周りには、様々な店が並んでいる。


「じゃあ俺外で待ってるから」

「何言ってんだ一也。一也も一緒に来るんだよ」

「いや、別に俺は……」


 俺の有無を言わさず、遠慮なく引っ張る鵜久森。大体、俺みたいなやつと一緒にいたら周りからなんて思われるか……。

 しばらく、鵜久森は服を見定めていた。するとピンときたやつがあったのか。


「なぁなぁ。ちょっと試着するからさ、試着室の前で待っててくれよ!」

「いや、別に俺待たんでも……」

「いいから待てって言ってんだ」


 怖い。怖いよ。こいつの前世極悪人かってくらい怖い。俺は仕方なく、鵜久森の試着が終えるのを待つとした。

 そしてしばらくすると、試着室のカーテンが開く。そこには、


「まだ5月だぞ……早くね?」

「もう5月なんだよ。それよりどうよ?」


 白の半袖へそ出しトップスに、青のショートパンツ。制服でいるより、彼女の二つのメロンが主張して……ゲフンゲフン。

 なんだろう。なんかエロい。


「…ま、まぁいいんじゃないか。ただ、あんまり露出し過ぎるのはやめてね?俺ならまだともかく、その姿は他の男子からのレーザーポインター当てられても仕方ないやつだから」

「へっ?あ、う、うん……。わ、分かったよ…」


 え、なんで顔赤らめるの?まさか今更気付いたの?

 大体へそ出しとかエロすぎるから。目に毒だからやめて。


 彼女は自分が恥ずい格好をしたことに耐えられなかったのか、慌ただしく試着室に戻っていく。彼女は制服に着替え、試着室から出てきた。


「決めた。これ買う」

「ん?」


 あれさっきの赤面はなんだったの?自分の肌が露出し過ぎて恥ずかしかったからじゃないの?


「あの、さっきも言ったけど、周りの視線がだな…」

「そんなの気にしないって。言ったじゃん?周りからどう思われてもどうでもいいってさ」

「それはそうだけども……」

「とにかく、買うったら買うんだよっ」


 彼女は試着した服をカゴに入れてレジに向かっていく。会計を済ませた鵜久森は、俺に服が詰まった袋を押し付ける。


「アタシの荷物持ちなんだからな。ちゃんと持っとけよ」

「……へいへい」


 それから、鵜久森と二人でショッピングモールを回った。また服屋に寄ったり、ランジェリーショップに寄ったり、ゲーセンに寄ったり。

 一体何時間過ごしていたのか分からないほど、ショッピングモール内を(まわ)っていた。

 

 一通り周ると、俺達は外に出る。もう日の光は完全に消え、夜空が広がっていた。


「今日は楽しかったーっ!な、一也も楽しかったよな!」

「いや、疲れたよ。ずっと歩いて疲れたから」


 休憩なしで歩き周る彼女の足の強さは一体どうなっているのかが不思議で仕方がない。


「またそんなこと言うんだから……。じゃ、帰ろっか」

「あぁ」


 俺達はショッピングモールをあとにして、帰途に着く。


「なぁなぁ、一也」

「なんだ」

「アタシ、一也にとって鬱陶(うっとう)しかったりするかな」


 鵜久森らしからぬ、ネガティブな問いかけであった。


「いつもアタシだけ楽しんでさ……。いやまぁ一也がネガティブ過ぎるのはいつもそうなんだけど……。アタシ、一也が嫌になることしてんじゃないかって……」


 彼女は俯きながら、心中を吐露する。


「……まぁ面倒ではあるよな。いつも俺をパシるし宿題やってこないし」

「…そっか」

「けど」


 今まで数えられないくらい彼女に苦労をかけられた。そこを伏せる必要も理由もない。だが、これだけは言える。


「けど、鵜久森と一緒にいて、嫌だってことは思ったことはないぞ。これだけは言い切れる自信がある。いつも自信がない俺が自信持って言えることだ。だから、別に気に病むことはない」


 むしろ、彼女に迷惑をかけてるのは俺だ。鵜久森はいつも俺を気遣っており、周りの評価を気にせずに接してくれている。

 感謝と謝罪しか出てこない。


「……そっか。良かった……そう思ってくれてさ」

「…しかしあれだな。お前がネガティブになるとはな。いつも考えなしの猪だと思ってたけど」

「なんだと!?アタシだってネガティブになることくらいあるわ!」


 鵜久森は頬を膨らます。何それ可愛い。


「ここでいいぞ」

「お、いいのか?別に家の前までは…」

「いや、大丈夫だよ。そんなに重くないだろうし。それに……」


 彼女は何かを言いかけたが、それを止めた。俺は鵜久森の呟きの続きが気になり、聞き返す。


「それに?なんだ?」

「うんにゃ。なんでもないよ。今日はあんがとな」


 鵜久森は俺が持ってる袋を次々と取っていく。


「ばいばい、一也」

「……あぁ、またな」


 俺はそのまま、我が家へと帰ることにする。俺の姿が暗闇で見えなくなったとき、彼女は。


「……これ以上一緒にいると、一也を襲っちゃいそうだからな…」


 そう呟き、暗闇の中へと紛れ込んでいく。



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