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18話

「――俺たちの探索で分かった事も伝える」


 状況が落ち着き始めた所で、どうにも、ゴリからの施設の情報の共有が影響したようで、他の探索班がそんな事を言い出した。

 有益な情報等は、隠しそうなクラスメイトが多い気がしていたから、少し驚かないでも無い。

 ゴリの影響力は、僕が思っているよりも、強いのかも知れない……。

 まぁ、ともあれ、それから各班が収穫を順々に語ってくれたので、それを纏めよう。おおよそ、次の三点だ。


 ①宝箱の存在。

 ②階段の存在。

 ③出てくる魔物の種類。



 まず、①の宝箱だけれど、見つける事が出来たのは、茶メン(気がついたら戻って来ていた)の班と、モジャ男の班の二班のみだ。

 宝箱がどのような場所にあったかについては、モジャ男の班が、人一人がどうにか入れそうな穴道の先の小部屋で見つけ、茶メンの班が、行き止まりだった所の壁に土を被せた扉があり、その中の祭壇の上で見つけたらしい。


 この話を聞いて、僕的には、茶メンの短剣の出所が少し怖いなと思いました。

 祭壇、しかも隠し扉って……怪しさが満点過ぎるよ。


「祭壇だから、恐らくこれは神聖なものだと思って、だからこそ天使勇気にあげようと思ったんだけどな……」


 茶メンに、「なんでそんな怪しい所から持ってきたの?」と聞いてみたら、そんな返答が返ってきた。

 隠し扉の向こうの祭壇を神聖とは、少し前向き過ぎる。

 どちらかというと、邪教の祭壇では?

 短剣に呪いとか掛かっていてもおかしくない気がするけれど――まぁその場合、呪われるのは僕じゃなくて茶メンだから、どうでも良いけどさ。


 で、次に②の階段の存在について。

 これは、宝箱を見つけられなかった班が発見したものだった。

 当て所もなく、進める所をとにかく進んだ結果、下に降りる階段を見つけたそうだ。

 ただ、あまり考えずに進んだせいで、場所は覚えていないらしいけど。


「マッピングとかはしなかったの?」

「うちの班にそんなスキル持ちもいねぇし、紙も無いんだからしょうがねぇだろ」

「そっか……」


 まぁ、階段がある、という事が分かっただけでも、有益な情報ではある。


「……とにかく、俺らの班が見つけたのはそれだけだ」

「ちなみに、見つけた階段って下に降りるのだけ? 上に行くのとかは無かったの?」

「少なくとも俺らは見つけていない」


 上に行く階段はあるのか、それとも、下に行く階段しかないのか……。

 どちらなんだろう?

 ただ、もしも仮に、上に行く階段が無いのだとすれば、僕らは、ずっと下を目指していく事になる。

 その場合、ゲーム的な価値観で考えると、最終階まで辿り着ければクリア――という事になるのだろうか。

 クリアする事が出来れば……えっと……ええっと……クリアしたら、どうなるんだろう?


 元の世界に戻れたり、とか?

 ……。

 もし戻れるのだとすれば――


 ――その時、僕の体はどうなるんだろう?


 男に戻れるのかな?

 いや……その可能性は低いか。

 他のクラスメイト達が、転移後も普通に男のままと言う事を考えると、僕が女の体になったのは偶然に近いハズ。

 その偶然が戻る時にまた発生するとは限らない。

 つまり、戻れたとしても、僕は女の体のままであると考えるのが順当だ。


「ぅぅ……」


 あまり考えたくはない未来であったので、僕は、それから逃れるように、最後の情報である③、つまり、魔物の種類について思考を始めた。

 これについては、現在出て来る魔物はスライムのみ、と言う事が判明した形となっていた。

 どこの班も、スライム以外を見かけなかったらしいのだ。

 ただ、スライムのみとは言え、どうやら個体ごとに特徴や種類があるようで。

 僕らA班は炎を吐くスライムと出会っているし、別の班も、氷や風を射出するスライムと出会っていたりしたようだ。

 特別な能力を持たない普通のも居るようだけれど、それなりに多種多様な魔物ではあるようで、スライムだからって馬鹿には出来ないのかも知れない。

 セクハラしてくるスライムも居るし、そういった点でも、気をつけないとね。



■□■□



 情報の共有が終わった所で、待機班と探索班の入れ替わりを行う事となった。

 僕らA班も今は待機になり、小休憩中である。

 周りを見ると、寝そべっているクラスメイト達もいれば、未だに元気に喋くりまわしてるクラスメイトもいる。

 基本的に、待つだけなので、やる事が無いのだ。

 暇と言えば暇であり……こうして、ただジッとしているのも、それはそれで疲れるものである。

 そこで僕は、エキドナをこっそり解き放ち、魔物を倒して貰いレベル上げに勤しむ事にした。

 エキドナの体に、モジャ男から貰ったポーチを魔石回収用の袋として取り付け、


「このポーチがパンパンになったら戻って来てね」


 と伝え、後はステータスを眺めて時間を潰すのみである。

 で、経験値が入った瞬間を見ては、「やった!」と心の中でガッツポーズである。


 ――――――――――

 氏名:小桜 勇気 

 性別:女 レベル:0.2 

 次のレベルまで:66/120


 動体視力1.01

 基礎筋力0.75

 身体操作0.87

 持続体力0.86

 魔力操作2.18

 魔力許容1.98

 成長水準3.65


 固有スキル 召喚士2.45

 ――――――――――


 次のレベルに上がるには、もう少し時間が掛かりそうだけど、着実に前に進んでいる。

 そんな気がした。

絶対に男には戻りません。断言します。

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