塩にぎり
彼女と付き合った記念日は昨日だった。
僕はすっぽかしてしまった。
彼女はずっと部屋で待ち続けていてくれたらしい。
酔っぱらって僕は友達の部屋で寝てしまった。
気が付いたら記念日は過ぎ、次の日になっていた。
このことを彼女に話すと、彼女は大量の美しい涙を流していた。
僕は必死に、一生懸命謝った。
そして、なんとか彼女は僕を許してくれた。
その後、僕たちはまたラブラブな関係に戻った。
仲直りした記念に、彼女が僕たちの思い出の塩にぎりを作ってくれることになった。
仲直りすることが出来て、本当に本当に嬉しかった。
彼女が塩にぎりを作っている間に、僕は彼女の写真を見ていた。
彼女と築き上げてきた今までの思い出たちは、とても美しいものだった。
すると、彼女がキッチンからお皿を持ってやってきた。
お皿を覗くと、そこには見慣れないものが乗っていた。
「これはなに?」
「塩にぎりだよ」
「これが塩にぎり?」
「そうよ。塩を力込めて握り固めたもの。だから塩にぎりでしょ?」
「そ、そうだね」