プロローグ 1話 朝
初投稿ですが完結までマイペースに頑張ります。
ーーそれは突然鳴り響いたーー
ーーどうやら七回目のそれは、なんの前触れも無くやってきた滅亡の宣告ーー
ーー大昔に予言されていた物語は、一部確かな現実となったーー
ーー空から聞こえる音は全ての生物に対しての宣戦布告の角笛であり、そして夢の終わりを告げる様なラッパの音色だったーー。
……どうやら俺は夢を見ている様だ。
十二月二三日 朝 七時十五分
(遥斗……!遥斗…!!)
「遥斗!起きて!」
「んぁ?」
そう言いながら気の強そうな顔を向け、長い黒髪を揺らしながら起こしてくるのは姉の一ノ瀬由香里だ。
「うっ、もう朝か…」
「もういい加減自分で起きてよね?いちいち起こすの面倒臭いんだから」
「目覚ましはちゃんと設定してあるはずなんだけど…」
姉の声で目覚めた一ノ瀬遥斗は朝がとても弱く、ほぼ毎日1つ上の姉に起こして貰っていた。
もちろん自分で起きる努力もしているのだが、いつも何故かケータイのアラームが解除されているせいで、変わりに姉の声で目覚めるのが日課となっていた。
「どーせ寝ぼけて解除しちゃってるの覚えて無いだけでしょ。まったく…」
こう悪態を付きながらも、毎朝欠かさず起こしに来てくれる姉には感謝していた。
「早く準備してご飯食べてきな!生徒会の仕事もあるし私は先に学校行くから!」
「行ってらっしゃ〜い」
生徒会の役員でもある彼女はこうして遥斗を起こした後一足先に学校へ向かうのだった。
毎朝の変わらぬやりとりと反省をした遥斗は、身支度を済ませ母のいるリビングへ顔をだした。
「…おはよう」
「あら?今日もお姉ちゃんに起こしてもらったのね?」
「毎朝姉が起こしてくれるなんて俺は幸せ者だなぁ…」
「もう…明後日から16歳なんだからいい加減自分で起きなさい?じゃないと将来恥ずかしいわよ?それじゃ、お母さん会議あるしもう家出るから、食器ちゃんと水につけといてね。戸締りもしっかりね!」
そう言いながら焦った様子で家を出た母。
幼い頃に父を亡くし母子家庭になった一ノ瀬家は、母が女手一つで育ててきた。
裕福では無いが決して貧乏でもない。
おまけに家族仲もそこそこ良く、そんな普通の生活が送られるのは母のお陰だ。
( 朝に弱いのは多分母さんの遺伝だよな…?)
そうして遥斗も朝食を済ませ学校へ向かうため家を出た。