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リバイバル・サーガ・オンライン  作者: Lut
続々・終章 「眠りゆく人たち」
13/22

3-2

 半端なくつらいと思う――

 そんな予想を遥かに飛び越えて、この世界の現実は厳しかった。


 あのあとアズマを去った俺たちは、三度マイホームに戻っていた。

 別荘という言葉がぴったりなログハウスでの、アリシアとの二人暮らし。それは俺にとって夢みたいなシチュエーションだったが、実際は温かさや甘酸っぱさとは無縁の、獄中のような日々が待ち受けていた。


 朝――

 何かをしていないと疲れを意識してしまうため、日が昇ると同時にエリアを一つ決めて、二人で思い出を辿る旅に出た。ここでこんな敵と戦った、あんなドラマがあったと語り合う。しかし二人だけでは盛り上がりに欠けて、会話は30分と持たなかった。話すことがなくなると、無言で景色を眺めて時間をつぶした。


 昼――

 七年間プレイしていたにもかかわらず、俺たちは〈調理〉スキルにほとんど手をつけていなかった。〈チーム〉の調理担当であるエクレアに任せっきりにしていたからだ。そのため、食事の調達は四大都市のNPCショップに頼った。

 幸いゴルドは腐るほどあった。食べ物は好みうんぬんを無視して、毎日違うものを買った。買い溜めなんて効率のいいことはしない。そんなことをすれば、昼間の時間潰しがなくなってしまうから。

 都市には、スロットやチンチロリン、競馬といった賭博施設もあったが、先述の通りゴルドは腐るほどあったため、勝っても虚しさしか感じなかった。白熱してる様子のNPCとの温度差がきつくて、すぐに通うのを辞めた。


 夕方――

 この時間になると俺たちはマイホームを出て、薄暗い森の中へと入っていった。お見舞いのように、あるいはお百度参りのようにハルバの小屋に通うアリシアに、俺も暇つぶしとして付き添っていたのだ。

 肩書きだけの大賢者は、いつ来ても椅子に座り、内容のない本を無感情にめくっていた。そしてアリシアがおやすみなさいと言うと、機械的な反応でご高説を垂れ流し始める。それを無感情に聞き届けると、俺たちは家に帰った。


 夜――

 それぞれのベッドにもぐり、ただひたすら朝日が昇るまで耐えた。


 誇張も端折りもなく、これを繰り返すだけの日々だった。

 

 スキル上げやレベル上げといった、気力が必要なものには手を出せなかった。

 めんどくさいな――なんて負の感情が起これば、うっかりログアウトしてしまう危険があったからだ。


 これが何よりもつらかった。

 この世界でのメニュー画面は、手ではなく意識で操作する。こうしようと思ったところに自動でカーソルが動くのだ。

 そして時に人は、自分の意識を自分で操作できない。

 甘いものを控えようと思っていたのに気づけばお菓子の袋を開けていたりする。

 仕事を頑張ろうと意気込んだ次の瞬間にネットサーフィンしていたりする。


 ログアウトしないと決意したはずの俺の眼前に、

【ログアウトを実行しますか?

 はい/いいえ】

 という確認ダイアログが、いつの間にか出現していたりする――。


 気が狂いそうだった。


 何度も何度も何度も現れるそいつは、目を閉じても消えてくれはしなかった。

 だからその度に【いいえ】を睨み、頭の中で何度も何度も何度も“いいえ”と唱え続けるのだ。

 俺がまだここに残ってることが不思議なくらいで、アリシアがまだ隣にいてくれることが、とてもとても心強かった。


 アリシアは強いな。いつのことだったか俺はそう呟いた。

 ミドちんにライネをよろしくって頼まれたからね。とアリシアは言い返した。

 それは俺が言われた台詞だよ。と俺は言った。

 言葉にはしなかったけど、あの時の抱きしめ方はそう言ってたの。とアリシアは笑った。

 弱々しいその笑顔がなければ、俺はとっくに弱り果て、消えていただろう。


 しかし、精神の疲労は留まることを知らなかった。

 

 この世界に来て、ひと月が経過した頃――といっても、体感としては永遠の如く終わらない一日が続いているようなものだが――

 俺の心境に、恐ろしくねじくれた変化が起こった。


 毎晩、24時を目安にサーチしていた全エリアの人数。それが前日より一人でも減っていると、たまらない喜びを感じるようになったのだ。

 俺の目的は、今や、世界を見届けるなんて格好つけたものじゃなかった。

 俺が最後の一人になれればそれで良かった。それさえ達成できれば、俺は全てに勝利した気持ちで終わることができるから。


 だから一秒でも早く、一人でも多くいなくなってくれ――

 早く、早く、早く、早く、早く、早く、早く、早く、早く、早く、早く、早く。

 俺が消えてしまう前に、早く――!!


【全エリアをサーチした結果:9人が見つかりました】


 ついにここまで来た。そう内心でほくそ笑んだ瞬間、

「ふはははははははは!!」

 どこからかおぞましい笑い声が聞こえた。

 それが自分の声だということに、遅れて気づく。だけどやめられない。


「……ライネ?」

 もう三日以上会話をしてなかったアリシアが、不安げな声で俺を呼んだ。それを無視して、俺は笑い続けながら外に出た。


「ふふふふふふふ、あはははははははは!!」


 深夜の森と湖が保っていた静けさを、歪な笑い声が台無しにしていく。笑い声が歪なのは、俺の顔がひどく歪んでいたからだろう。表情だけに限れば、泣いていると勘違いされたかもしれない。


 その笑いは唐突に、ブツリと電源が切れたように終わった。さっきの愉快な感情はどこかへ霧散していた。俺はいったい何がしたいんだ。自分がわからなかった。心は吐き気を覚えているが、もちろん吐くことはできなかった。

 笑い狂ったせいで疲れがどっと溢れてきた。まるで疲労と疲労の結婚披露宴だ。などと意味不明なことを考えながら、俺は一人、深い森の中へと歩み出す。


 道もない木々の隙間を、木にぶつかりながら、草に足を取られて転げながら、何も考えずに進み続けた。行く当てなどない。だけど、歩き続けるしかない。動きを止めれば、さらにどうにかなってしまいそうだったから。


 不意に、オオカミタイプのモンスターが襲い掛かってきた。いつの間にか、魔物の生息域まで来ていたらしい。鋭い牙で首元を噛みつかれたが、所詮、格下の雑魚の攻撃だ。フル装備の俺には痛くもかゆくもなかった。格好に頓着しなくなった俺は、鎧のままベッドに転がるのにも抵抗がなくなっていた。


 オオカミは次々と数を増していった。相手にするのも面倒で、俺はそのまま進み続けた。十を超える獣が、のろのろとさまよう鎧に向かって、ひっきりなしに飛び掛かってくる。現実ならば目を背けたくなるような恐ろしい光景だった。しかし、もう現実などどこにもないのだ。まき散らされる涎にさえ、まるで嫌悪感が湧いてこない。それどころか、土砂降りの雨の中を傘も差さずに走り回っているような、そんな清々しささえあった。


 雑魚どもに囲まれながら、俺はどのくらい歩いていたのだろう。

 ヤツらの攻撃は、まったくの素人がダーツでど真ん中に当てる程度の命中率しかなく、当たっても微々たるダメージ量だったが、俺のHPは一割を切っていた。


 俺はおぼろげな視線の先にちょっとした空間を見つけて、そこまで歩くと仰向けに倒れ込んだ。別にここを死地と決めたわけじゃない。歩くことにすら飽きてしまっただけだ。

 未だに攻撃をやめないオオカミの群れ。そして枝葉の隙間から微かに見える空は、とっくに明るかった。


 いい加減ガウガウと鬱陶しいな、と思ったところで、楽しい遊びを閃いた。

 俺は聖剣を抜き放ち、仰向けのまま一匹ずつ狙いを定めて切り捨てていく。


 死ぬ。死なない。

 死ぬ。死なない。

 死ぬ。死なない。

 死ぬ。死なない。

 死ぬ――……


 花占いならぬオオカミ占いの結果は、残念ながらわからなかった。最後の獲物を殺したことに気づかず、惰性で剣を振り続けていたから。

 

 獣の咆哮が消え失せた静かな森。そこへ、ちょろちょろという蛇口を閉め忘れたような水音が聞こえた。首を向けてみれば、苔むした岩と岩の間に、いつ枯れてもおかしくないほど細い滝があった。


(……ここは、あの日ログインした場所か――)

 そして、俺が現役最後のログアウトに選んだ場所だった。


(いよいよの時は、二人で一緒にログアウトするのもアリよ)

 僅かに取り戻した正気で、俺はふとその言葉を思い出した。


 そうだ。アリシアに連絡を取って、さっき無視したことを謝って、不甲斐ない話だけど限界だと告げて、一緒に消えてもらおう。

 最後の気力を振り絞って、フレンドリストを開く――その時だった。


「あの……」


 突如声が届いて、俺は体が震えるほど驚いた。

 頭の中に響いたんじゃない。聴覚を刺激する声だった。


 最初はアリシアだと思った。彼女が俺を心配して、あとをつけて来たのだと。

 だが、声が明らかに違った。女性には違いないが、アリシアにしては幼すぎた。

 だから俺は、天使か妖精が語りかけてきたんだと思い直した。そんな幻聴が聞こえるくらい俺が狂ってしまった。そっちのほうがまだ納得できた。


「お兄ちゃん、大丈夫ですか……?」


 果たして首を向けた先には――

 猫耳と尻尾を生やした、まるで知らない女の子が立っていた。



     *   *   *



「〈ヒール〉!」

 その女の子は、俺の返事を待たずして回復魔法を唱えた。

 体が温かい光に包まれて、HPがほんの少しだけ増加する。


「……キミは?」

 まるで状況が把握できず、俺は仰向けのままぼんやりと訊き返した。


「私はナエって言います。こんなところで倒れてる人がいて、びっくりしました。こう言うのもなんですが、無茶なレベル上げはやめたほうがいいですよ?」

 ナエと名乗った女の子は的外れなアドバイスをしつつ、俺の顔を覗き込んだ。


 言葉を理解して返事をしてくる。つまり、この少女はNPCではなくプレイヤーだとわかる。しかし、それにしても声が幼すぎた。喋り方こそ丁寧であるものの、どこか舌足らずで、良くできた小学生のように思えて仕方ない。


 俺は上体を起こし、改めて少女の姿を確認する。

 橙色の道着に巻かれた太い帯の辺りに、鉤爪のついた格闘武器――〈バグナウ〉をぶら下げていることから、クラスは〈モンク〉だとわかる。回復魔法が使えたのは、サブクラスを〈クレリック〉にしているからだろう。無造作なロングヘアーは眩しい金色で、そこからひょっこりと猫耳が出ていた。

 

 そして身長は、たぶん〈ミャウラ〉のキャラクリエイトの下限値、130センチ前後だと思われた。それがさらに小学生という印象を強くする。


「キミは……いくつ?」

 あまりにも気になって、つい口走ってしまったぶしつけな質問に、

「あの、ネトゲでリアルの質問をするのは、マナー違反なんですよね……?」

 ナエはあからさまに顔をしかめた。

「……もしかしてお兄ちゃん、危ない人ですか? 変なところで倒れてたし、名前も聞くだけで教えてくれないし……」


「…………」

 まったくの正論だった。

 俺は何やってるんだと反省し、弁明を図る。

「いや、危ない人じゃない……よ。確かに、キミの言う通りマナー違反だったね、ごめん。俺はライネ。俺もキミに突然出会って、びっくりしてたんだ」


 座ったままになったが、そう言って頭を下げると、

「ちゃんと謝れるのは偉いです。許してあげます」

 ナエは大きく頷いて、にっこり笑うのだった。


 時間が経過するにつれ、俺の頭は段々と正常さを取り戻していった。そうして心に去来したのは、さっきまでの自分に対する忌避と嫌悪感。

 あの状態の俺は、まさしく危ない人だっただろう。


 そんな自己分析と同時にもう一つ頭の中で膨らむのは、目の前のプレイヤーから感じる違和だった。

 何かが根本的に食い違っている――俺は、その正体を探ろうと試みる。


「ナエ……ちゃんは、ここで何をしていたの?」

「私は、料理の素材になるキノコを採りに来てたんです。〈調理〉のスキルを50にするのと、〈モンク〉のレベルを70にするのが最近の目標なので」

「へえ。今レベルはいくつ?」

「今は65です。ライネさんは、見たところ〈パラディン〉ですよね?」

「ああ。〈パラディン〉のレベル72だよ」

「おお! 先輩だったんですね! じゃあできたらでいいのですが、ソロで使えるオススメの狩場とかあったら、教えて欲しいです!」


 両手を胸の位置で合わせ、耳寄り情報を聞き出そうとしてくるナエ。

 ゲーム時代に幾度となく交わしたような会話を繰り広げて、俺は納得した。


(この子、純粋にゲームを楽しんでるんだ……)


 こんな状況にもかかわらずマナーを第一に気にしたり、俺がレベル上げをしてると思っていたり、スキル上げやレベル上げに勤しんでいるのは、今もゲーム時代と変わらないプレイを続けているからなのだ。


(しかしそんなことが有り得るのか? 今や地獄にも思えるこの環境で……?)


「あ……、やっぱり穴場とかは秘密ですか?」

 俺の沈黙を、情報を出し渋っているのだと勘違いしたらしく、ナエは申し訳なさそうに小首を傾げた。そこから疲労や鬱屈といったものはまったく感じられない。


「いや、違うんだ。オススメの狩場ならいくらでも教えてあげるし、なんだったらレベル上げに付き合うのも構わない。だけど、その前に俺にも教えて欲しいんだ」

「えっと、リアルのこと以外でしたら……」

 そこだけは譲れないとばかりに口を挟むナエ。俺の印象通りの年齢だとしたら、よほどしっかり躾けられたのだろう。


「うん、RSOのことだけでいい。さっきキミはソロで使える狩場を知りたいって言ったけど、ずっと一人でプレイしているの? 今まで誰かと一緒になったりしなかった?」

「いえ、ずっとソロです。その……フレンドはいなくて」

「なら、俺とフレンド登録しないか?」


 咄嗟にそんな申し出をしたのは、ここで初めてナエが寂しそうな素振りを見せたからだ。だから俺は、喜んで受けてくれると思ったのだけど、

「フレンド登録は……その、まだ早いかなと……」

 ナエは困ったような表情を浮かべながら、やんわりと断った。


「じゃあ、これから一緒にレベル上げでもしないか? 俺のフレンドが一人、近くにいるんだ。レベルも近いし、だから三人でパーティを組んでさ。どうだろう?」

 それでも俺はしつこく誘った。とにかく放っておけなかった。

 子供にしか思えず、しかもこの一か月以上をたった一人で過ごしてきたというのは、この異常な状況の中でも際立って異常だったから。


 はてさて、数秒ほど考えるような仕草を見せたナエは、

「……それでしたら、大丈夫です。喜んでお受けします。パーティ戦は慣れてないので、ご指導よろしくです」

 ぺこりと頭を下げ、パーティの誘いを受けてくれた。


 知らない人について行ってはいけないとは教わらなかったのだろうか、と誘った本人のくせに気になる俺だったが、すぐに考え直した。

 ここは現実じゃないし、何よりMMORPGの交友関係は、いつだって知らない人と旅に出るところから始まるのだ、と。


「よろしくな」

 システム的にもパーティを組み終わったあと、俺は微笑みつつ手を差し出した。思えばレベル上げに他人を誘うなんて、何年振りかの行為だった。

 若干おどおどしながらも手を握り返され、俺はひと安心する。パーティの成立で安心するなんて、まるでネトゲ初心者みたいで、少し楽しかった。


「それで提案なんだけど」

 俺は言う。

「まずは、キミを俺たちの家に招待してもいいかな? そのフレンドは、俺の帰りを待ってる……はずなんだ」


「それってマイホームってやつですか?」

 猫耳をピンと立たせたナエは、

「憧れてたので、ぜひ行ってみたいです!」

 尻尾を揺らしながら了承してくれた。


「それは良かった。それじゃあちょっと、フレンドに一言連絡するね」

「わかりました」


 ナエの返事が耳に届くより前に、俺は慌ててメニューを操作していた。

(アリシア、消えてたりしないよな……?)

 そんな思いが今さら溢れ、息が詰まった。


 フレンドリストの上部で、光を失って灰色になっているミドルファスの文字。

 その一つ下にあるアリシアの名前は、今も白く輝いていた。

 安堵のため息が漏れ出る。が、感傷に浸っている暇はない。すぐさまチャットを繋いだ。

「――アリシア、聞こえるか?」


『……ライネ?』

 一瞬、俺がログハウスを出る際に聞いたアリシアの声が、脳内でリピートされたのかと思った。しかしすぐに言葉が続いて、現在のアリシアだと確定する。

 それは変わらず不安げな声色だったが、

『もう、頭は大丈夫なの……?』

 その物言いがあまりにも直接的で、俺は思わず苦笑してしまった。


「ああ。あの時はおかしかったけど、今は大丈夫。アリシアは家だよね?」

『うん……。ライネが心配だったけど……怖くて閉じこもってた』

 アリシアは謝るように言った。


 あんな状態の俺に近づくのは、俺でも遠慮願いたいくらいなのだ。

 だから、申し訳なく思う必要なんてないのに。

「……ごめん、心配かけた。でもいろいろあって、なんとか気を持ち直せたんだ。今から戻るよ」

『……わかったわ』


「あ、それと――」

 俺は横目で件の少女を確認する。ナエは気を利かせてくれたのか、離れたところで野草を採取していた。

「――着いたらきっと驚くと思うから、覚悟しておいて」


『それは……どういうこと?』

「それは、その時までのお楽しみに」

『……よくわからないけど、わかったわ。悪い知らせではないのよね?』

「うん。それは違うって断言する」

『なら、いいわ。とりあえず声が聞けて安心した。早く帰ってきてね』

「ああ、急ぐよ。それじゃあ」


 早く帰ってきてね――その言葉一つで心が軽くなるのを感じつつ、俺はチャットを終了させた。


「連絡は終わりましたか?」

 見計らったようにナエが訊ねた。やはり意図的に距離を置いてくれてたらしい。

「うん。ただ、急ぐって約束しちゃったから、駆け足で向かってもいいかな?」

「はいです」

 

 マイホームへと走り出す直前、俺は一度だけ振り返って、自分が倒れていた地面を見遣った。その視界には猫耳少女も映る。

(もしあそこでこの子と出会わなかったら、俺は今頃どうなっていただろう)


「ナエちゃん」

「はい?」

「〈ヒール〉のお礼がまだだった。ありがとうな」

「いえいえ、どういたしましてです」

 俺の救世主は、にっこりと笑った。 

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