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雪だるま橋の女神  作者: おんぷがねと
9/9

女神の天気雪

 次の日、僕は雪の降る雪道を歩いていた、歩道の雪は相変わらず地面が見えない位に積もっていた。雲の隙間から眩しい太陽の光が顔を覗かせて、キラキラと雪を輝かせていた。


 天気雪? 何となくそう思った、吹く風は冷たいけど心地が良く、暖かい日差しが寒さを和らげてくれる。


 昨日の出来事が夢の様な時間に感じていた。とても不思議な体験だったが色々ありすぎてよく覚えていない、でもこれだけは覚えている、それはある女性と約束をした事。


 僕は雪だるま橋の入り口に着いて橋の上を歩いていた。昨日座っていた長椅子に向かった、するとその長椅子に誰かが腰かけているのが分かった。


「ひるの」


 ひるのが僕より早く来ていた、ラピスを撫でながら楽しそうにしている。

 僕はひるのに近寄った、ひるのは僕に気づき手を振って言った。


「おはよーごごる」

「おはよう、ひるの、体は大丈夫?」

「うん、元気よ」


 ひるのは両腕を上げて力こぶを作った。


「良かった」


 ラピスは尻尾を振りながら僕を見ていた。


「ラピス昨日はひるのの家に止まったんだよね」

「うん、ラピスが来てお父さんお母さんびっくりしてたよ、今はロオズちゃんのお家で飼ってるから明日返しに行くって言ったら、寂しそうにしていたわ」

「やっぱりラピスを飼いたい?」

「ううん、出来れば飼いたいけど……私はいつでも会えるから」

「そうか」


 春の陽気みたいな暖かい風が吹いた。上空に粉雪を舞い上がらせキラキラと消えていった。


「あーあ、僕がひるのより先に待ってなきゃならないのに、もう約束破ってしまった」

「ふふっ遅いぞごごるくん、私より先に来なくちゃね……って冗談よ、どっちかが先に待ってれば良いじゃない」

「それでいいの?」

「うん、それが良い」

「じゃあそうするよ、でさぁ隣、座って良い?」

「どうぞ」


 ひるのは少しお尻をずらして退いた。

 僕はひるのの隣に座った、改めてこうやって一緒にいる事が出来ると、夢じゃないんだなと感じた。何か温かい感じ、何か落ち着く、こういう触れ合いが好きなんだと思った。


「ごごるくん、何考えてるのー?」


 ひるのは僕を屈託のない笑みで見つめていた。僕は一笑して長椅子から立ち上がると、地面にある雪を丸めた。


「雪合戦しよう」

「雪合戦?」

「そう、知らないの?」

「知ってるわよ!」

「負けた方がおごりだから」

「いいわよ、絶対負けないから」


 ひるのは颯爽と立ち上がると雪を丸めた。僕たちは雪合戦をした、こんな子供っぽい遊びをひるのとするととても楽しいのだ。

 (ボスッ)僕の足元に雪玉が当たる。するとラピスが喜び駆け回る。


「当たったー相変わらずどんくさいなー」

「やったなー、それっ」


 ひるのには全く当たらない、よけるのが上手いのか、僕が下手なのか。

 雪玉を作っている時、ふと雪の女神像を見てみた、それは美しく輝いていて優しく笑っている様だった。




最後までお読みいただきありがとうございます。


ご評価を下さった方々、本当にありがとうございます。


冬の温かさというのをテーマにしています。


初投稿の作品なので、実験的なところもあります。


こういった表現はどうかとか、『遊戯への誘い』で、主人公たちの会話だけで話を進めていくところなど。


単純に冬の話を書きたかったというのが投稿の理由です。


ごごるとひるのはデートなのかデートじゃないのかという、あいまいな気持ちでお互いが接しています。


たった一日お互いが会ってカフェで食事をしたり、一緒の子供を助けたりしても、お互いが好きにはならない、でも何か会いたい。何かよく分からないけど気になる。


そういったことを感じてもらえればありがたいと思います。


ここまで読んで下さりありがとうございます。


最後に。


お読みになった皆さまが何かを感じ取ってもらえれば幸いです。


おんぷがねと。


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