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学習交流会とデジャブ

 ああ、ついに来てしまった。


 今日は学習交流会、当日。

今から緊張してきた……どうしよう。


 ちなみに学習交流会があるのは5、6時間目。

昼休み後に2時間、ずっとぶっ通しでやる。

僕と真秀は昼休みに色々準備する。スクリーン使ったりするし、そういう準備。


 あぁ、もう!

こういうのって明るい人気キャラみたいな人がやることでしょ!

なんで僕が、やらないといけないんだよ!

なんで僕が!!

(大事なことなので2回言いました)


 うん……ごめんね。

突然頭を抱えながら、なんで僕が……って言ってたら怖いよね。

なんだろう、ストレスでも溜まってるのかな。

僕、こんなキャラじゃなかったと思うんだけど。



「おはよう、透くん! 今日、学習交流会のとき前に出て解説するんですよね!」

「おはよう! 夢咲くん、今日頑張ってね!」

「あ、おはよ! ありがと、2人とも。頑張るね!!」



 今のは、優と琴音ちゃんだ。

僕のクラスで話すことが多い唯一のクラスメイトたち。


 僕のクラス女子しかいないのに僕、この2人ぐらいしか話したことないかも。


 校外学習のときにいた、真奈美ちゃんと由奈ちゃんとはあまり話さなかったし。

真奈美ちゃんと由奈ちゃんは結構、フレンドリーだし、クラスでも中心人物みたいな感じの明るい子だから話せるかなぁーって思ってたんだけど。


 飯盒炊飯(はんごうすいはん)のときは、みんな危なかっしくてそれどころじゃ無かった。

あ、食べてるときに少し話したかな?

んー、でも仲いいっていう感じにはならなかったな。


 なんか僕すごい寂しくない?

ぼっち化してる気がする。もっとなんかさ、クラスでわいわいしたい!

みんな遠巻きにコソコソしてたりするし、なんなの。挨拶はしてくれるけど。

もっとクラスに馴染みたい。


 僕は高校生ってもっと楽しくて、友達と遊んだりいろんな話で盛り上がったりして青春!って感じだと思ってたのに。


 実際は、クラスで僕1人しか男子いないから同性の友達はできてないし、クラスで話す子も2人ぐらい。

しかも遊ぶどころか家まで直帰ルートでひたすらダラダラするだけ。


 僕の青春は!? 何も無い気がするんだけど!

理想と現実があまりにも厳しすぎるよ!

挙句には委員長やら学習交流会やらされるわだし。

僕は学校に貢献したい訳じゃないんだよ。

普通に遊びたい。


 だれか、僕と同じ境遇の人とかいない?

もしくはぼっち化してる人とか。

誰か、僕と仲良くしてくれる人来てよ。

2次元と3次元、どっちでもいいから!



「ねぇねぇ、今日、夢咲くんが学習交流会で教えてくれるんでしょ?」

「そうそう!質問とかしてめっちゃ話そ!」

「だよね〜!!」

「うんうん!」

「「これを機に話そう!」」



 なんかまた話してる……。

そんな遠くで僕を見ながら話さなくてもいいじゃん。


 うぅ……僕、こういうの苦手。

なんかひそひそ話されてるのって嫌じゃない?

はぁ、なんか色々考えてる間にもう昼休みになってるし。

こんな早かったっけ。


 あ、準備に行かなきゃだった。急げ急げ!







 着いた。はぁ、はぁ……ちょっと疲れた。

それにしてもなんで僕がこんなことやんなきゃなんだよ。

さっきも言ったね。僕ずっとこれ言ってるね。うん、許して。



「もうやだあー!!」

「……っ!?  どうした透……?」

「何でもないよ?」

「いや。本当に怖いぞ。突然叫び出さないでくれ」

「このあと僕はみんなの前で!教えるんだよ!?」

「あぁ、頑張れよ」

「それだけ!?」

「他になんと言えと!?」

「俺が変わってやろうか? とか」

「言うわけねぇだろ」

「真秀のいじわるー、ブサイクー!」

「あぁ?何か言ったか?」

「……ごめん。何も言ってないよ」

「そうか。じゃ準備終わったしあとは透の出番だな」

「わかったぁ……」



 本当に怖い。めっちゃ威圧感あったし。

特に『あぁ?』の部分。

目線で人殺せるレベルの睨み方してきた。


 最近、真秀がすごい無言の圧力を放ってきたりするんだよね。

軽口叩くと『黙れよ』っていう目で見てくる。すごい怖い。


 にしてもめっちゃ展開速いんだけど、もう準備終わっちゃった。

着いた時、真秀がもう準備し始めてて半分ぐらい終わってたの。


 だから、僕がやること少なかった。

んー、僕このまま待機なんだよねぇ。

どうせ僕はずっと前で話してるし、みんながいる所に戻らないから、お前は準備終わったらそこで待機って。あの先生に言われた。あの先生、僕の扱いが雑なんだけど。

もっと優しくしてくれないかな?


 それとも僕が男だから女の子だけ贔屓してるのかな。うわ、さいてー。

あ、もうそろそろかな……?



《それでは、学習交流会を始めます》

《生徒の皆さんは、セミナー室に集まってください》



 本当に始まっちゃう。

どうしよ。すっごく緊張する。

また噛んだらやだなぁ……自己紹介の二の舞は嫌だ。


 しかも今回はもっと恥ずかしいよね。

深呼吸してから行こ。

すぅ…はぁ……、すぅ…はぁ……。



「えっと…特進クラス、1年9組夢咲透です。今日は中間テスト前の1学年、学習交流会の担当をさせていただきます」


「2時間ありますが、予定は5時間目に

国語、数学、英語。6時間目に社会、理科です。余った時間は質問などの時間となります」



 噛まずに言えた。次は、いよいよ解説だ。



「まずは机に置いてある資料の1ページ目をひらいてください」

「最初は国語で…………」

「古文の文法などから説明します

『あり、をり、はべり、いまそかり』は全て……」

「…………の見分け方から、

上一段活用、上二段活用、下一段活用、四段活用が分かります。他は……となります」



 国語は授業で習った部分を言うだけ。

例題などの問題もないから特に心配はない。

教科書とかから引用しただけだから、

難しいところもないし。


 心配なのは、次に説明する数学。

これは例題とかがあるからそれも説明しないといけない。実際にみんなで解いた後で答え合わせもする。大丈夫、大丈夫っと。



「数学は、まず二次関数のグラフ、二次方程式や二次不等式を説明します」

「………となり、………です。では資料に載っている問題を解いて見てください」


「「解けないでーす!!」」


「教えて貰っていいですか?」



 う、やっぱり来た。数学は絶対スムーズにいかないと思ってたよ。

知らない人に教えるのやだなぁ。あれっ?同じクラスの人だ。しかも……あの人たちは、真奈美ちゃんと由奈ちゃんだ!よかったぁ。

知ってる人ならまだ大丈夫だ。



「えっとね、これはXを求めるためにこれを代入して……」

「…えぇー?どういうことぉ?」

「んっと…、そのあと連立方程式で……」

「ああ!なるほどー!」

「「ありがとねー!夢咲くーん」」

「うん!またなんかあったら言ってね」


…………………。

…………。

……。






[キーンコーンカーンコーン]



 お、終わったぁ!

ようやく1時間終わったよ……。

あのあと、順調に英語も進んだし、大きな問題もなくできた。


 でもなんか、人に教えるって疲れるね。

僕、すっごい疲れた。

まだ1時間あるとか無理なんだけど。

今日は絶対甘い物たくさん食べる。

じゃないとがんばれない。




[キーンコーンカーンコーン]



 あ、もう始まる。休憩短いな。

よーし、とりあえずあと1時間頑張るぞー!



「では、6時間目をはじめましゅ。

………始めます。しゃ、社会から…」



 噛んだ。泣きたい、もう帰りたい。

穴があったら入りたいよ……?

どこかに無いかな。そしたら埋めてほしいぐらいなんだけど。



「「「がんばれー!!」」」

「……!?」

「「「かわいいよー!!」」」

「…………ええ!?」



 なんか応援された。

突然大声で言い出したからちょっとびっくりした。

あと可愛いはこういう時にいうセリフじゃないと思う。







 そんなこんなで最初にトラブルはあったけど何とか無事に終わりました。


 うん。だけど。

僕の精神は無事じゃないけどね!?

あの時みんなくすくす笑ってたし!

というよりそのあともちょっと笑ってたからね。

その度に僕赤面だよ。

5時間目、大丈夫だったから油断した。



「「「おつかれー!」」」

「お、お疲れ様、透くん!」

「お疲れ! 夢咲くん」

「おつー! 夢咲くーん!!」

「ドンマイ!! 夢咲!」

「ありがと……! みんなもお疲れ様!!」



 教室に帰ったらみんなが労ってくれた。

ちなみに、個別に声をかけてくれたのは

上から順に、優、琴音ちゃん、そして真奈美ちゃんと由奈ちゃんだ。


 なんかめっちゃ嬉しい!!

頑張っただけあるね、これ!



「じゃみんなテスト頑張ろう!」

「「「うん!」」」

「じゃ、ばいばーい!」



 こうして無事に学習交流会は終わりを告げたのだった。

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