中間テスト目前!学習交流会と僕
ふぅ、やっと帰れるーー!
今僕は学校から帰ろうとしてるところ。
校外学習終わったからね!
当然のごとく、帰りのバスでも酔ったんだけど……そんなことはもういいのだ。
さーてと、家に帰ろーっと。
そして思う存分ごろごろするんだっ!!
「おい透!何帰ろうとしてんだよ」
「……ふぇ?」
「校外学習終わって『すぐ』打ち合わせするって言っただろ!」
「いってたけど……それってテスト前にやるんでしょ?まだ先じゃん」
「はぁ?お前にとっての先がいつか知らないが、テストはもう一週間後だぞ」
「え!?そ、それほんと?」
「本当だ。それに学習交流会はもう3日後だ」
「えぇ!? 僕聞いてないよ!」
「いや、言っただろ!とりあえず今から打ち合わせするからな」
「そんなぁ……」
やっと帰れると思ったのに。
校外学習の後、すぐやるって『放課後に』すぐやるってことだったんだ……。
うぅ、早く家帰りたいよ。
もう僕は家に帰ってやることとか考えてたのに。なんかさ、帰る気だったのに呼び止められるとすごいやりたくないよね。
めっちゃ帰りたくならない?
よく、母親に早く勉強しなさい!
っていわれて、今やろうと思ってたのに。みたいになるのと一緒でさ。
僕は今まさにそんな気分だよ。
さっきの例えだと真秀がお母さんみたいになるけどね。……想像してみたら気持ち悪かった。
だって真秀は身長170ぐらいあるし、言ってなかったんだけどイケメンでもある。
僕は断固として認めていないけど。(ナンパされてる所を見かけたから恐らくイケメンなんだろう)
運動もできるし、ガタイもいい。少なくとも僕よりは確実に上だと思う。
勉強だってそれなりにいい方だ。勉強の方は僕の方が上だけどね。
そんな男が「透、早く勉強しなさい!」
って言ってきたら普通にきもいよね。
しかも僕の中ではなぜかおネエっぽく喋ってたからね。
………………吐き気がする。
「うわぁ…………真秀、きもっ……!」
「なんで俺は唐突に罵倒されてるんだ」
「あ、声に出てた?」
「思いっきりな。で、なんで俺のことをきもいとか言ってるんだ?」
「ん?真秀の顔面がかな(嘘だけど)」
「普通にひどいな。俺の顔はそんなにブサイクなのか?」
「そうだね。見たら笑っちゃうくらいひどいと思うよ」
「そうか。それ以上言ったら『あれ』してお前の体を使い物にならなくするからな」
「ごめん、真秀はかっこいいと思うよ。
だからあれだけはやめて下さい!」
「おう。わかればいいんだ」
真秀ってからかっても普通に返してくれるのが面白くてからかいすぎちゃうんだよね。
というか声に出てるとは思わなかった。
しかもさ、真秀きもっ!とかいわれて普通に返せるよね。
僕だったら動揺を隠せないんだけど。
普通にショックだよ。僕、すごい凹むよ?
はっ!もしかして真秀は自分のことをブサイクと思っているのか!?
……真秀に睨まれた。ぼくの考えてること読めるのかな。
すごい威圧感あって怖かった……。
まさか、やらないよね!?『あれ』
うぅ、あれはやられたくない。めっちゃ疲れるし、体動かなくなるし。
一応あれが何か説明すると、
家まで走らされる。しかも真秀の荷物を持って真秀の家によって、荷物を置いてから僕の家までダッシュ。
普通の罰ゲームみたいな感じなんだけど。
僕にとっては地獄だ。
知っての通り、僕は本っ当に運動ができない。そんな僕が普通の人でも辛いことをやってみろ。死ぬよ!?
ちなみに走らないと行けない理由はね。
これをやらされるときめちゃくちゃ真秀怒ってるから逃げるため。
真秀怒ると怖いんだよ……。
普段怒らない人が怒ると本当に怖い。
みんなも気を付けてね。調子に乗ってるとそういう人、ガチギレしたとき超怖いから。
なんかさっきから話逸れてばっかだね。
話を戻そっか。
そういえば僕、全然学習交流会とは関係ないこと考えてるけど今打ち合わせ中だよ。
大体は真秀がすでに決めてるんだけどね。
僕はそれを真秀から聞いてるだけ。
真秀曰く、僕に任せると進まないことが多いから俺が決めとく。だって。
実際、資料とか集めたり先生にどこをやった方がいいのか聞いたりしてまとめるのは真秀がやってくれてたみたいなんだよね。
手伝うおうか? って聞いたら邪魔だからお前は大人しく帰れ。って言われた。
多分、色んな先生に聞きに行ったりするから大変だろ?お前は俺に任せとけ!っていう真秀なりの気遣いなんだね!
……本当に邪魔だからという理由じゃないと思いたい。虚しくなる。
「えっと、とりあえずはこれでいいか?」
「うん、いいと思う」
「じゃ当日はお前が教師役やるんだからな。ちゃんと覚えとけよ」
「わかった」
「なんか分からないことあったら言えよ」
「うん」
「ところで真秀……」
「なんだ?」
「僕、勉強してない。この資料の範囲って全教科のほぼ全部なんだけど」
「これを1日でやるの?しかも僕1人で?」
「ああ、そうだな。頑張れよ」
「バカじゃないの!?
「全然絞れてないじゃん! 要点をまとめるんじゃ無かったの!?」
「仕方ないだろ?これでも減らした方なんだから」
「…………」
忘れてたけどここ一応進学校なんだった。
だから範囲も広いし、内容も結構難しいのか。
うーん……困ったな。
僕全く勉強してない。そもそもテストが一週間後だということも知らなかったしね。
教えるときに僕ができないとかすっごく恥を晒すはめになる。
だってこれ、学年全員だからね。
1学年で、ざっと……360人くらい?
結構大きめの学校だからね。僕がいた中学校の全校生徒数より多いよ。300人いなかったぐらいなのに。
流れとしてはこんな感じで、スクリーンを使って説明→問題を解くという流れで僕が分からないところの質問に答えながら、という感じでやる。
ね? ここで僕があたふたしてたらただただ恥ずかしいだけでしょ。
はぁ、今更だけど何でこんなの引き受けちゃったんだろ……。
今からでも変更できないかなぁー。
「ま、透なら大丈夫だろ。入試だって学年1位で入ったんだから」
「えぇー、だって家にずぅっといた頃だしその時はちゃんと勉強してたもん」
「あと3日あるんだから大丈夫じゃないか?つーか頭いいって自分で言ってただろ」
「うぅ……そうだけど……」
「今更変えは効かないしな、じゃあとは透に任せるから」
「えっ!ちょ、それは無責任じゃ」
「あとは教えるだけだからな。俺の仕事は終わりだろ?」
「え、本当にやるの……」
「じゃ解散ってことで。帰っていいぞ」
「ん?真秀帰らないの?」
「俺はこのあとこの資料を印刷しなきゃいけないからな、人数分」
「うわぁ、それまで僕達がやるんだ」
「おう。だから先帰ってろ」
「はぁーい、じゃまたね真秀」
「気をつけろよー、時間かかるんだから」
「僕の家すぐそこだけど」
「まあな」
こんな感じで別れた。
当然真秀のことを待ったりはしないよ。
にしても次は学習交流会終わってすぐテストだなぁ。
学習会か。
そういえば、前に誰かに勉強を教えたことがあったような気がするんだけど……。
不登校だったのにいるはずがないよね?
んー、たまたま学校行ったとき……とかかな。
女の子だったような?
まぁ、いっか。もう会わないだろうし。
同じ学校に来てる可能性なんてほとんどないだろうから。