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校外学習とバス酔いと戦う僕!

「おえっ……うぅ……気持ち悪い…………」

「だ、大丈夫ですか!?」

「うん……たぶん、だめ……」

「え!? ダメなんですか?」

「大丈夫……だといいよね……」

「願望になってますよ!?」

「あと、どれぐらいで着きそう……?」

「まだ出発して10分も経ってないですよ……? あと3時間はかかると思います」

「死んじゃう……着く前に死ぬ…………」

「死なないでください!?」



 僕は今、絶賛バス酔い中。

要するにここはバスの中だ。

校外学習の目的地に向かう、バスの中。

僕は早くも死にかけていた。


 だって僕、運動もできないんだけど……乗り物にも弱くてたいていの乗り物は酔っちゃうんだよ……。


 三半規管が弱いのかもしれない。バス独特の匂いもあるし、それも原因の1つだ。


 はぁ早く着かないかなぁ。

ドラえ〇んの世界みたいにさ、どこでもドアとかあったらいいのにね。

そしたら乗り物酔いの悩みからも解放されるのになぁ。


 あ、でも、あれって時空を移動してるんだっけ?そしたら新しく時空酔いみたいになるかもしれないね。

いきなり遠い所に行くんだし。


 まあ、移動の手間が省けるならそれぐらいは我慢するけどさ。


 はぁ……こんなことを考えながら現実逃避してるのにさ。


 時計を見てもまだ5分しか経ってないよ。

もう死にそうなんだけど。


 でも不幸中の幸いかな、隣が優で良かった。知らない子だったら本当に大変だったよ。

少しでも知ってる人なら安心だし、優だったら話してると気が紛れるかも。

さっきからずっと心配してくれてるから申し訳ない気持ちもあるけど。



「これからバスレクを始めまーす!」

「「「「「いぇーい!!」」」」」


「初めはビンゴだー! 盛り上がっていくぞー!!」

「「「「「うえーい!!」」」」」


「楽しむぞーーー!!!!」

「「「「「フウゥゥゥ!!」」」」」



 テンションたっか。そしてうるっさいな。盛り上がりすぎだろ。

乗り物酔いする人はわかってくれると思うんだけど、気持ちが悪いときってこういうレクリエーション参加できないよね。

下向いたりするからかな、余計酔っちゃったりしない?


 にしてもみんな本当にうるさい。

夏真っ盛りのセミよりうるさいよ。

さっきから



「イヤァッフウー!!」

「ビンゴだー!ビンゴーー!」

「キャッハーー!!」



とか言ってる。しかも最後のはなに?

ふなっ〇ーなの?


 一応言っとくけど、これ、みんな女の子だからね。僕以外男子いないし。


 女の子ってこんな感じなの?僕、今まで誤解してたのかな? おしとやかなイメージがあったのに…………。えっ、ということは女子高ってこんな感じなの。


 嫌だ、そんな学校。

常にこんな感じとか絶対耐えられない。

テンションについていけない。



「あ、あの大丈夫ですか?」

「うん、なんとか」



 優が心配してくれてるみたいだ。

本当にいい子だなぁ、見た目を除けば。


 ちなみにこういう時、1番心配してくれそうな副委員長の琴音ちゃんは寝てしまっている。

最初同じように酔っていたから寝てしまって、やり過ごそうとしたんだろう。


 僕も寝たいとこなんだけど……。

この状況じゃね。寝れないよ。

こんな騒がしい中で寝れたらすごいと思う。



「寝てしまえればいいんだけど……これじゃ、寝れない、よね……」



 優も同じようなことを考えているんだろう。確かにこんな中で寝れるのは極小数だろう。

……いまでもさっきみたいな声、飛び交ってるしね。


 うーん……暇つぶしに優とでも話したいとこなんだけど…

今割とやばいんだよね。

優も気を使ってあんまり話しかけてこないし。

僕って自分で動くのもダメなら動いてるのに乗るのもダメみたいだ。


 だんだん悪化してきたみたいだ。

とりあえず、目でも瞑ってればそのうち寝れるかな。



「ヒャッフゥー!!」

「よっしゃあああ!!」



 はぁ……うるさ。

全然寝れない。

ほんと、早く着かないかなぁ……。









「おーい、着いたぞー! 寝てるやついたら起こしてやれーー!」


「透くん!起きて起きて!!」

「…………」


「起きてってば!!」

「………んぅ…」

「あ、今なら寝顔撮ってもわかんないかな…?(小声)…カシャッ」



 ん?なんか呼ばれてる気がする……?



「透くん!着いたから起きて!!」

「……起きたよ」

「うわぁ!」

「…………そんなに驚かなくてもよくない?」

「ご、ごめん……」



 そんな、寝起きの顔を見て悲鳴上げなくても。

そこまで僕の顔やばいのかな。

悲しくなってくるよ……?


 でも優、なんか嬉しそうな顔してる。

そんなに楽しみだったのかな。校外学習に来るの。



「もう着いたよ?早く降りよ!」

「うん!」



 ともかく、目的地に着いたならさっさと降りよう。

……人間、意外と寝れるものなんだね。あんなにうるさかったのに。





飯盒炊飯(はんごうすいはん)


「きゃあっ!手、切っちゃった……」

「大丈夫?はい、絆創膏使って」

「あ、ありがとう!夢咲くん」


「えー、これどうやんの〜?使い方わかんないんですけどー」

「……それはピーラーだね。皮を剥くのに使うんだよ」

「サンキュー!なるほどね!」


[ダンっ!]

「わぁっ!これどうやって切るのぉ?」

「貸してみて。僕がやるよ」

「ありがとー!」




 えーと、みんな大丈夫かな。

まさかこんなに料理できないとは思ってなかった。

得意そうな副委員長まで怪我しちゃってる。


 1人はピーラーのこと知らなかったし、もう1人は危なっかしい切り方だった。

あれは野菜というより指を切りに行ってると思う。


 ちなみに優はテキパキ作業してる。

僕はこのメンバーだったら優が1番できなさそうと思ってたんだけど……副委員長の方ができて、優が助けてもらうってのを想像してた。

実際には琴音ちゃんより優の方が得意だったけど。

……料理はできるのか。


 優、失敗して髪型がギャルみたいになったって言ってたからてっきり不器用なんだと思ってたのに。なんだかんだで1番活躍してた。


 あ、いい忘れてたけど、今作ってるのカレーライスね!

飯盒炊飯では定番だよね。

今材料鍋に入れて煮込んでるからもうできるけど。


 ほんと、みんな怪我しなくてよかったよ。指切り落とす勢いで切ってたもん。

前に言ったけど、僕も料理はできる方だからね。少なくとも思いっきり手を切断するようには切らないよ。






《クラスレクリエーション》



「いーち、にーい、さーん……」

「よーし、逃げるぞー!」

「おー!」



 はぁっ、はぁっ、はぁ……。ちょ、みんな早い……。


 今、クラスでドロケイしてるんだけど……全然逃げれてない。このままだとすぐ捕まる。

数えてる間に逃げてるんだけど、みんな僕より早い。ここにはもう僕1人しかいない。

もうばらばらに散らばって逃げてるみたいだ。


 今日ずっと思ってたんだけど、みんな僕よりも歩くのがめっちゃ早い。

気づけばいつも置いていかれてる。


 優は僕がまだ体調悪いんだと思ってるみたいで気にしてくれてたみたいで申し訳なかった。

でも……優、運動神経いいもんだから今やってるドロケイではもうどこにいるかも分からないほど遠くに行ってる。



「よーし、行っくよー!!」



 あ、やば。



「夢咲くん捕まえたー!」



………開始10秒経たずに捕まった。

僕としてはいくら逃げようがすぐ捕まるのは分かりきってるけど。


 でもこれ、ドロケイだから……助けに来ちゃうかな。

どうしよう、逃げれないよ? 僕。




「しゅーりょー!!」



 終わったぁ!やっと終わったよー!

なんで僕がこんなに喜んでるのかって?

それはね、途中まで助けに来てくれてたのに僕がとてつもなく遅いことを分かったみんなが助けることを諦めてすごい暇だったからだよ!


 寂しいでしょ。うん。僕、ただ見てるだけだったもん。暇だし。


 それにもう僕バテてたから早く帰りたいんだよ。

やっと帰れるーー!






「おえっ……気持ち悪いぃ…………」



 あっ、忘れてた。今、めっちゃ酔ってる。



「だ、大丈夫ですか!?」

「大丈夫、今度はもう寝れる。疲れてるから」

「そうですか…?ならおやすみなさい」



 ふぅ。帰りも行きと同じぐらいうるさいかと思ってたけど大丈夫みたいだ。

みんな寝てる。疲れたんだろうね。

ってことで僕も………おやすみ。






 学校に着いて帰ろうとしたら真秀に捕まった。

おかしいなドロケイはもう終わったはずなのに。

とか考えてたら前に真秀が言ってたことを思い出した。



『おい透、校外学習終わったら学習交流会の打ち合わせするからな』


『校外学習終わってすぐなんだから覚えとけよ』



 まさか本当にすぐだとは思ってなかった。

校外学習後の放課後に打ち合わせとは聞いてなかったよ、真秀……。

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