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中間テスト後のハプニング

 なんとか課題の山と中間テストを乗り越えた。もう課題課題テスト課題テスト課題……の連続でやばかった。しかも国内学習の準備もこの間にあるっていうね。先生達、スケジュール調整が下手なんじゃない? なんで二学期こんな詰め込んでるの?



「んー、でもとりあえず終わったー!」



 いやー、大変だったけど終わってよかった。解放感がすごい。今なら50mも8秒で走れそうな軽さだよ。身体機能的に無理だけど。


 テスト最終日だったから今日はいつもより早いし、真秀や陽くん達と違って僕は部活もないから帰ってゲームでもしようかな。あ、新商品のコンビニスイーツ買ってきて食べるのもいいかも。最近話題になってて気になってるのもあるし。


 浮かれた気分で、このあとの予定をあれこれ考えながら下駄箱を開けた。



「……ん? なんだこれ」



 いつもなら入ってないものが入っていた。薄いピンク色の封筒。差出人の名前は書かれていないが、宛名にははっきりと僕の名前が書いてある。封筒の裏は可愛らしいシールで封をされていた。



「もしかしてこれ……ラブレター、だったり?」



 心臓がドクンと脈打つ。アニメや漫画ではありがちなやつだ。僕自身は一回も体験したことないけど、もしかして。ちょっとした期待を持ちつつ、手紙を見ることにした。


 さっと周りを見回して、一応人がいないか確認する。だらだらと帰る準備をしていたからか、辺りには僕以外に人はいなかった。そっと物陰に隠れて封を切る。中に入っていた手紙は女の子らしい文字で書かれていた。それを見て、また鼓動が少し早くなった。



『突然こんな手紙を出してごめんなさい。夢咲くんに伝えたいことがあって書きました。夢咲くんのことが好きです。一目見た時からずっと気になってて、日が経つにつれてどんどん好きになりました。直接言うのは自信がなかったので、手紙にしました。明日の放課後、お返事を聞かせて欲しいです。特進科の隣の空き教室で待っています』



 読み終えて、顔が熱くなるのを感じた。人から好意を伝えられたことなんてないんだから、仕方ない。好きって言われるのってこんな感じなんだ……。誰からかは分からなくても、嬉しいような気恥しいようなそんな気持ちになる。



「ほ、ほんとにラブレターだ……」



 ドギマギしながら手紙を鞄にしまう。なんだか変な感じがして落ち着かない。ひとまず、家に帰ろうか。帰ってから返事を考えよう。あれ、でも相手が分からないんじゃ、考えようがないような……。あの手紙をくれたのは誰なんだろう? 


 靴を履いて、歩きながらぐるぐる考えていた。


 家に着いて手紙を読み返してみるけど、読めば読むほど恥ずかしくなってきた。明日の放課後って……それまでこんな気分のままなのかな。すっごい落ち着かない……。



「というか、本当に誰なんだろう?」



 クラスメイトとは優と琴音ちゃん以外そんなに話してないし、他のクラスの人なんてもってのほかだ。好かれる要素なんてない。だって接点ないし。でも優や琴音ちゃんが僕のことを好きだとは思えない。確かに『夢咲くん』っていう呼び名は琴音ちゃんだけど……。あっちからしたらきっと、ちょっと仲良い友達くらいな気がするんだよなぁ。そもそも苗字で呼ぶ人なんて他にもいるし。でも恋愛に発展するようなこと何もなかったもんね……?



「返事……ね」



 流石に無視はできないから明日会うことになるけど、なんていえばいいかな。相手……分かんないからあれだけど。とりあえず、なるべく傷つけないような断り文句でも考えておこう。


 んー、気持ちは嬉しいけどごめんとか? 恋愛なんてしたことないからよく分からないな。だいたい好きってどんな感じなんだろう。最近、陽くんや麗華さんの惚気を聞くようになったけど、それを参考にすべきかな。あの二人がよく言ってるのは『可愛い』『かっこいい』『ドキドキする』だね。というか、ことあるごとに相手の話になるし……あ。



「なんか……気がついたら相手のことを考えてる、みたいな感じ?」



 手紙くれた人も僕に対してそういう気持ちを持ってるのかな。


 そんなことを考えていたらいつの間にか夜になっていた。今日はもうご飯食べてシャワー浴びて早めに寝よ。




「はぁ……ねむ」



 早めに寝た分、早く起きた。まだ眠いけど二度寝するとあれだから準備して学校行こう。



「あっ、おはよー!」

「琴音ちゃんおはよう。めっちゃ早いね」

「あはは、それは夢咲くんもだよー」



 教室に行ったら琴音ちゃんがいた。人影が見えたから優かと思った。優はいつも朝早くから教室にいるけど、今日は遅いのかな。



「そういえばさ、夢咲くんって彼女いる? もしくは好きな人とか」

「えっ、な、なに急に」

「んー、なんとなく?」

「なんとなくって……」

「だって夢咲くんとそういう話したことないじゃん! 女子だと恋バナ良くするよ?」

「確かにそんなイメージあるけど」

「でしょ? たまには男子の意見も聞いてみたい!」



 男子の意見って言っても僕の意見は当てにならなさそう。だって、引きこもってたわけだしね?



「いいけど、恋バナって何話すの?」

「んー、あ! 好みのタイプとか」

「好みね……琴音ちゃんはどういう人が好きなの?」

「え、私? 私は、優しい人が好きかなー」

「優しい人か……真秀とか?」

「真秀くんね、確かに皆がそう言ってるかも」

「へぇー、そうなんだ!」

「そうそう! 夢咲くんは?」

「僕も答えるのか……。うーん、僕も優しい人かなぁ」

「ふーん……あ、優ちゃん?」

「え、なっなんで優!?」

「だって優ちゃん優しくない? しかもすっごい可愛い!」

「ま、まぁそうだけどさ」

「あれあれー? 急に顔赤いよー?」

「そんなことないよっ!」



 くすくす笑って完全に僕をからかってるな。なんで朝からこんな小っ恥ずかしい話をしてるんだ。全くもう。放課後もあれがあるのに。でも、この様子じゃやっぱりあの手紙って琴音ちゃんじゃないっぽい? 



「ねね、実際さ優ちゃんのことどう思ってる?」

「ま、まだその話するの」

「夢咲くん、優ちゃんが可愛いってこと否定してなかったし。気になってたりするんじゃない?」

「べ、別に普通だよ。友達!」

「あはは、ムキになりすぎだよ。逆に怪しく見えてきちゃうよ?」

「もうこの話は終わり! そろそろ皆集まってきたしホームルーム始まるよ!」

「えー、まだ十分前だし全然人いないよー」



 不満気な声をあげていたけど、席に戻ってくれた。席が離れているとはいえ、優が来てるし聞かれたらちょっと気まずい。さっき来たばっかみたいだから大丈夫だとは思うけど。昨日今日ハラハラしてばっかだ。放課後のことも気になって仕方が無いし、忘れてたけど今日テスト返しだし。不安なことがありすぎるよ。

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