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海水浴編1

 さて電車での一件もありましたが、とうとう海に到着しました。やっと夏らしいイベントが来たよ。なんていったって海だよ、海。これぞ夏の風物詩!


 まぁ……僕は泳げないから浜辺でひたすら砂のお城を作るしかないけど、見てるだけでも解放感あるからね。現実からの解放だ!


 ちなみに電車での一件が聞きたい人は前の話を見てね。僕のキャラが崩壊してると思うけども。あ、そう言えば僕はたびたびキャラが崩壊するというかブレまくるけど気にしないで欲しいな。リア充を見たときとか体育のときとかに口調が荒くなったりするんだけど

まあまあ、そんなことどうでもいいよねっ!



 目の前に広がるのはどこまでも青く続いている海と澄んだ空、そしてイチャイチャしてるカップル!


 太陽の光が砂粒一つ一つに反射して白く輝いている穢れのひとつもない砂浜……そしてまたイチャイチャしてるカップル(同性)!!



「……ええぇぇぇぇぇぇえええ!?!?」



 イチャイチャしてるカップルは単純に腹立つし、なんか沈めてやりたい衝動に駆られるけどイチャイチャしてるカップル(同性)って何!?


 あ、そっか見間違いか。見間違いだよね!


 こんなこと公共の場であるわけっ、あるわけないよね。あはははははっ……いくら目をこすっても一向に見えるものが変わらないや。もう笑うしかない。(同性)って字が取れないよ。


 だってさ腸が煮えくり返るほどのイチャイチャしてるカップルの会話はね、こんな感じ。


『ウフフフフッ』

『おい、待てって』

『捕まえてごらーん』

『もうー、しょうがないなぁ』


とかいうキャッキャウフフを目の前でやってるんだよ、それはそれは楽しそうにね。惨めにすっ転ばないかなあいつら。


 僕なんて彼女のかの字も無いよ。恋人がいるからってなんだ、そんなに偉いのかはぁん!?


 くっそう、しかもあの男の方こっち見てドヤッてきやがった本当に腹立つわぁ。別に羨ましいとかないんだからな、ただ単純に腹立つぅぅ!!!!


 もう見ないようにするもん。バーカバーカ、恥を知れ。とっととそんな縁切れてしまえ!



 そしてもう一方のビーチで静かに寄り添っている二人はというと。


『海、綺麗だね』

『そうだね。だけど……君の方が綺麗だよ』

『も、もう……ばか』

『照れてるの? 可愛い』

『や、やめてよ……』


 ベタな奴! めちゃくちゃベタな奴だよ、それ!?


 あとみんな、忘れちゃいけないよこれ同性でやってるってことを……はっ、ぼ、僕は偏見があるわけじゃないよ。


 ただね、ああなんか微笑ましいイチャイチャしてるなぁって思って眺めた時に同性だった驚きがすごいんだよ。ま、まあね? どんな形であれ人を好きになれるのはいいことだと思うなっ、僕は。




「み、見ろ、同性でイチャイチャしてるぞ!!」

「あらぽんと同じ種族だね〜」

「オレは違うぞ!?」

「どうだかな」

「おい! 真秀までっ!?」



 なんかまた面白そうなことやってる。剛二君、相変わらずだね顔が受ける。じゃないや、剛二君はそっちの趣味がおありですか。やべぇなそれ。



「なんで透までオレをそんな目で見るんだ!?」

「ゴミを見る目だねぇ〜」

「ゴミを見る目だな」

「酷いぞ!!」

「なんで僕に言うのさ……()()何も言ってないよ」

「まだ!?」



 だって剛二君にそっちの趣味あったら陽麻君が危ないから。



「でも、剛二さ、陽麻にかわいいかわいいって……」

「あ〜、確かに言われたよ〜〜」

「え、陽麻君気をつけてね」

「うん! あらぽんに気をつけるね!!」



 危ない危ない。まさか本当に狙われてるなんて……

剛二君が犯罪者にならないようしっかり僕が見張っておかなければ……ってあれ? 陽麻君の方が剛二君より力強かったような。前に腕相撲して陽麻君が勝っていたこともあったくらいだし。



「おい、なんで気をつけるってそんな笑顔で言うんだよ……」

「陽麻、冗談だろ、な!!」

「なんで距離とるんだよォォォ……!!!」

「オレを見捨てないでくれぇぇぇ!!!」



 おおぉぉ……陽麻君に詰め寄ってる。剛二君、ガチでへこんでない?


 惚れてるの、ねえ。怖いよ。その顔っていうか……うん、執念で追いかけ回してるのが、怖い。



「わっ、あらぽんしがみつかないでよ〜……」

「陽麻が逃げようとするからだろ!!」

「だって気持ち悪いんだも〜ん」

「…………」



 あらら。涙目になっちゃった。陽麻君って容赦ないよね、今だって普通に引き剥がして地面に叩きつけるように投げ捨ててる。



「もぉ〜、しつこいっ!!」


[ドサッ]


「砂に埋めちゃえっ〜!!」

「わー!!おい、やめろっ!!!」



 あっという間に剛二君が、砂埋めに。その前に立ち上がって覆い被さろうとする剛二君の顔面に容赦なく回し蹴りして倒してたけど。やっぱり陽麻君って力あるんだ……。



「んしょ、んしょっと……」



 さらに砂乗せてる。剛二君めっちゃあたふたしてる、顔が。いや、造形の面では常にグダグダだけどそういう意味じゃなくて動けないから焦ってる顔って意味。



「できた!!」


「あらぽんの砂埋めスペシャル〜海を背中に〜」


「の、できあがり〜!!!」



 なんでそんな料理名みたいな名前に!?


 しかもそんな嬉しそうに言わなくても……ってああ、剛二君顔、すごいニヤけてる!


 陽麻君が無邪気にそんな事してるから陽麻君みてニヤニヤしちゃってるじゃん、変態だ。砂に埋められてニヤニヤしているとてつもない変態がここに!!


 陽麻君、気をつけてーー!



「なんか楽しそうだな、あいつら」

「そうだね、真秀」



『なにニヤニヤしてるの〜?』

『し、してないっ!!』

『えぇ〜、してるよぉ〜』

『してないっ!!』

『顔に砂かけちゃえっ〜!!』

『わぶっ!』



「……陽麻って割と容赦ないな」

「そう、だね……」


「そういえば優たちは?」

「まだ着替えてるんじゃないか?」

「そっか、女の子は時間かかるもんね」

「だからこうして待ってたんだが……」

「陽麻君たちが遊び始めたと」

「そういうことだ」



 僕がカップルを見て驚いてた時いなかったと思ったら着替えに行ってたのか。居たらきっと反応を返してくれるだろうし、多分僕がそっちに目を取られてるときに着替えてくるねーってなって、そのあと剛二君への疑惑が浮上し今に至るというわけだ。


 うんうん、状況を理解したぞ。あ、そうだ。どうせもう少し待つだろうし真秀と話でもしてようかな。



「ねえ、真秀」

「何だ?」

「さっき剛二君が陽麻君にかわいいかわいい言ってたってどういう状況で言ってたの?」



 内容によっては剛二君の疑惑が確かなものになる。陽麻君を犯罪者こうじくんから守るためにも詳しい話を聞いておきたい。後純粋にさっきから少し気になってたんだ。



「ああ……あれは陽麻が猫が好きって話になった時にな」

「うんうん。それで?」

「陽麻って猫っぽいよなと、剛二が言ったんだ」

「ふんふん」

「そしたら剛二に向かって陽麻が……」

「陽麻君が?」

「『にゃあっ♪』ってポーズ付きでやったんだ」

「……ふふっ、なるほど?」

「そしたら『かわいい、もう1回!』と剛二がいい続け『にゃあっ♪』の繰り返しだ」

「……うん。そっか」

「大体そんな感じだな」



 えっと……まあ、ね。色々言いたいことはあるんだけど、とりあえず先にツッコミたいところはね。


 なんで真秀、陽麻君とか剛二君のセリフの時に声真似をして喋ってたの!?


 ということを先に言いたかった。だって真秀がだよ、あのクールな真秀が!


『にゃあっ♪』


 の部分を陽麻君に似せてやるんだよ!? 爆笑ものでしょ。ギャップ萌でも狙ったのか、それとも寝不足のせいでキャラ崩壊したのかな。


 どっちでもいいけど、それで真秀かわいいとはならないよね。何気に声真似うまかったけどさぁ。別にいらないと思う、そのサービス精神。


 あ、他にも聞きたいことがあったんだった。電車で恋バナ? をしていた時に思い出したんだけど真秀に彼女がいるという噂の真偽を聞いておかないと!



「ねえ、真秀」

「なんだ?」

「彼女っているの?」

「……は?」

「彼女っているの?」

「……い、いないけどそれがどうかしたか?」

「そっか。やっぱり仲間だね、真秀っ!」

「おう、そうだな」



 いやー、よかったよかった。真秀に彼女がいないと知れてよかったよ。やっぱりあれはただの噂だったんだね。嘘をついてるって線もなさそうだ、完全に顔がキョトンとしてたからね。何故か二回目に聞いた時顔が引きつってたけどいないって言ってるからいないんだよね!


 疑問がスッキリしたところで女の子たちがこっちに歩いて来るのが遠くに見えた。



「お待たせしました……」

「ごめんね、時間かかっちゃって」

「着替えてきたです!」



 どうやら全員着替え終わったようだ。それぞれの言葉を口にしつつ僕らの方へ近寄ってくる。



「…………」



 その中に、もう1人遅れて僕たちの元へ来る人物がいた。琴音ちゃんに手招きされて気まずそうにこっちへと歩みを進めて来る。


 あれは……えっ、クルイケティっ!?


 じゃない、麗華さんだ。なんか同級生なのにちゃん付けで呼べないからさん付けしてる麗華さんだ!


 どうしてここに。というか偶然にも程があるでしょ!?



「同じクラスの鬼島ちゃんだよ!」

「あ、あの苗字で呼ばないで欲しいんだが……」

「ごめんごめん、麗華ちゃん」

「………」

「麗華おねーさんです?」

「ああ」



 ん? 麗華さんと琴音ちゃんは仲いいのかな。優は思いっきり人見知りしてるけど、真瑞ちゃんはさっそく打ち解けてるね。


 麗華さん、生徒会長の件のことでしか話してないからなんて話せばいいかよく分からないな。うーん……あっそういえば生徒会長の話、真秀に聞いたら別にやらなくてもいいみたいなことを教えてくれた。


 なんでもこの学校に来る人(主にトップの人)は今まで自己主張が激しいというか。そういう人が多かったこともあって、先生達もじゃあやりたい人とか出てこないならそいつらに任せればいいか。という雰囲気があったらしく成績首位の人に生徒会長をやってもらうという慣習になってたらしい。


 相変わらず情報収集能力がすごい。まあそんなわけで生徒会長云々は解決し、麗華さんにもその事を伝えて事なきを得たのだけど。


 話を戻そう。また脱線しちゃったや。


 せっかく海に来てるんだからね、楽しまなくちゃ。

麗華さんも含めたら8人組だし結構な大人数だよね。


 ………あ。僕、深く考えてなかったけどその、海と言ったら水着を着るよね。友達と、しかも女の子含むメンバーってことはさ。当然女の子も水着を着るわけで、今目の前にいる人も当然この場にあった服装をしているのだ。


 ど、どうしよう。目のやり場に困る……い、一応簡単に説明するね。


 優はビキニっぽいものにカーディガンを羽織ってるスタイル。露出が多くその、女の子らしい体型というか……あ、あんまり直視はできない。


 琴音ちゃんはカジュアル目なスタイル。ビキニにカーディガン、ショートパンツを合わせてる。露出は少なめでスレンダーな体型によく似合っている。


 真瑞ちゃんはワンピース。小学生らしい可愛めのチョイスで子供らしい。


 麗華さんはなぜか競泳用水着。もう1度言おう。めちゃくちゃ泳ぐ気満々の、競泳用水着。…………えっ、どういうこと。



「あっ、着替え終わったの〜?」



 そう声をかけてきたのは陽麻君。剛二君いじりに飽きて戻ってきた様子。女子メンバーを簡単に見て麗華さんのところで驚いた顔をして目を止めた。



「あれっ? なんで麗ちゃんもいるの〜?」

「陽君もいたのか」



 んん?


 2人の間の空気感が軽い。仲良かったのかな。でもこの陽麻君と麗華さんの性格真反対過ぎない? 一体どういう関係なんだろう。



「2人とも知り合いなの?」

「うん! 幼馴染だよ〜」

「そうだな。陽君とは幼馴染だ」


「「「へっ?」」」



 僕と優、琴音ちゃんの声がハモった。今幼馴染って言った? え、この2人が??


 うそでしょ!?


 まさかこんなとこで繋がりがあったなんて知らなかった。ちょっと待って、真秀驚いてないけどもしかして知ってた感じかこれ。



「ああ、この人が麗ちゃんって人か」

「そうだよ〜」

「前に言ってたもんな」

「うん! でもよく覚えてたねぇ〜」



 あ、やっぱり知ってた感じか!


 なんだよ、なんで真秀こんな色々知ってんだよ。というか知ってたんなら僕がこの前麗華さんの話した時に教えてくれても良かったんじゃない、ねえ!!


 もう、なんか今日まだ海にも入ってないのに驚くことばっかだよ。全然海とは関係ないことばっかしてる。そういえば剛二君は埋められたまま放ったらかしにされてるな……面倒だけど後で助けてあげるか。

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