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陽麻君の秘密

 前回のあらすじ。海水浴に行く途中の電車で陽麻君に元カノが5人ほどいたという事実が発覚。だがそれには何か理由があるらしい。以上!



 というわけで簡単な整理をつけたところです。いやー、まさか陽麻君にそんなことがあるなんてね。一体

誰が想像したというのかな。


 なんたって休日は猫ともふり、昼間は猫とお昼寝をし、夜は猫動画を見るという猫づくしの1日を過ごしている陽麻君が。しかも見た目はピュアそのものみたいな感じなのに。


 まあ、ね? 人は見かけによらないものだからね、

うん。はぁ、中々の青春を送っていたようだね。僕なんて灰色の青春だよ。恋愛もなければ学校にすら行ってなかったから人並み以下だよ。


なんだなんだ、青春がなんだっていうんだよ! はーん!?へっ、勝手に楽しい学校生活でも送ってろよ。ばーかばーか!



「ねぇ? なんでそんな目でボクのこと見るの、透くん」

「別に見てないよ」

「え、生ゴミを見る目してたよ?」

「それだと陽麻君が生ゴミってことになるよね」

「……っ!?  も、もしかしてボクのこと生ゴミだと思ってたの!?」

「別に」

「うぅぅぅ……なんか透くんが冷たいよぉ……」



 あ、涙目になっちゃった。別に陽麻君生ゴミとか思ってないのはホント。さっきまでちょっと荒ぶってたからその反動で疲れが出ちゃっただけなんだよ。テンションの配分間違えるとすごい疲れるよね。


そんな話は置いておくとして、僕には知りたいことがあるんだ。聞いていいのか分からないけど、もし言いたくなさそうならやめればいい。



「陽麻君さ」

「ん〜?」

「さっきの話なんだけど……」

「うん」

「ほ、本当なの?」

「……う〜ん。びみょ〜?」



 微妙な反応。そりゃ過去の恋愛遍歴とか言いたくないだろうけど。



「このままだと透くんに誤解されてそうだから話すけどねぇ…………」

「へっ?あ、うん」



 あ、話してくれるんだ。しぶしぶと言った感じではあるけど。



「実は僕猫が好きでね」

「え、うん」



 知ってる。だってケータイにもカバンにも猫のストラップついてるし初対面で猫もふってたし、それは周知の事実だから実はっていうほどではないんじゃ。



「それでね、猫に名前をつけて呼んでたんだ。飼い猫はもちろんだけど野良猫とかも」

「うん」



 ああ、なるほど。まぁみんな動物好きな人はやるよね。偏見だけど。



「でね、ボク同じ猫好きの友達に毎日その日の猫エピソードを話してたの」

「うんうん」

「そしたらね、それを聞いてたクラスメイトが誤解しちゃって」

「……あー、なるほど」

「気づいたらボクがすごい恋愛マスターみたいになってたんだ」

「そっかぁ」



 なるほどなるほど。確かに陽麻君のネーミングセンスはこう、なんていうか猫に付ける名前じゃないから間違える人がいてもおかしくなさそうだ。


 だって毎日優子さんがねー、とかカナエさんがね、とかあやかちゃんがねって言ってればそうなるね。しかも猫が、っていう主語省いて言ってるからそう聞こえても無理はない。



「恥ずかしいから皆には内緒にしてたんだけど」

「うん?」

「中学の友達に面白おかしく言われちゃって。それを聞いてたのがあらぽん」

「そうなんだ……」

「だからボクはそんな彼女がいたなんてことはないから安心してね?」

「わ、分かった」

「ボクそんな悪い子じゃないからねっ」

「うん」

「あと、このことはここだけの秘密ね?」

「うん!」

「ありがとぉ〜」



 なーんだ、そういう事だったのか。僕が早とちりしちゃっただけだね、気をつけなきゃ。あれ、でもそもそも僕が誤解した理由って剛二君が変に誤解するような事言ったからだよね?


 あーはいこれはもう剛二君が悪いです。僕は悪くないです。100%剛二君が悪いですー。責任放棄はこのくらいにしとこうかな。


 そういえば剛二君は何してるんだろうか、他のみんなもいるはずだけど……ああいた。えーと、真秀は眠そうにしてるところを真瑞ちゃんに遊ばれてて、優と琴音ちゃんはちょっと離れたところで談笑してる。剛二君はひとり寂しく窓の外を眺めながらため息ついてる。


 ちっ、絵にならねぇな。ネタ狙いかよ、ただゴリラが佇んでいるだけじゃねぇか。なんか最近僕の中で剛二君の扱いがやたら酷くなってきたんだけど大丈夫だよね、ねっ?



[バシッ!!!]


 今なんかすごい音した。どうしたんだろう?



「あのなぁ、お前いい加減にしろよ?」

「痛いですー!!この暴力兄貴っ」

「あぁ?」

「ご、ごめんなさいです……」

「……ぐう…ぐう……」



 ええ、ちょまっ、真秀の威圧感すっごすぎなんだけどどんだけ眠かったの真秀……。いつも思うけど眠い時の真秀って1番怖いと思う。だっていつもスライム並にだるそーな声してるのが急に人間になるんだもん。地獄の底から響いてくるような低い声してるしさぁ……ああもう真瑞ちゃん、めっちゃ怖がっちゃってるじゃん。



「い、いまの真秀か!?」

「そうみた〜い」


「なんかすごかったですね」

「そうだね、どうしたのかな」



 今のに皆が反応したみたい。普段真秀は温厚で怒ったりしないからこういうの見るとびっくりするよね。

僕も最初は驚いた記憶がある。後で聞いたら眠くて全然覚えてないとか言われてふざけんなと思った。僕、真秀に嫌われたかと思って真剣に悩んだのに。



「全く、兄貴は眠い時いつもこれです」

「まぁこれは怖いよね、僕もそう思う」

「ましゅまろ、眠いとこうなるの〜?」

「お! そうなのか!?」

「知らなかったです」

「私も知らなかったな」

「本当に限界に達した時だけだからね、こうなるの」

「家ではしょっちゅうですよ!!」


「「「「「あはは……」」」」」



 真瑞ちゃんは妹だし見る機会が多いんだろう。でも中々のいたずらっ子の真瑞ちゃんに怒ったりせず仲良くしてるのを見るといいお兄ちゃんだと思う。



「相当眠かったのかな? 真秀」

「かもねぇ〜、バイト忙しかったのかも〜?」

「偉いな! 真秀!!」

「それじゃあ着くまで寝かせてあげよっ!」

「そうですね、琴音ちゃん」

「兄貴にそういう優しさいらないですよっ」

「まあまあ、そう言わずにね?」

「はいですぅ、お兄ちゃん」



 寝かせてあげるにしても、もうすぐに目的地に着くからそんなに長い時間は確保出来ないけれど。僕達が向かってるのは有名な海水浴地で比較的近い場所にある。その割には人が少ないけど……きっと車とかで行ってるんだろうね。



[まもなく終点に到着致します]



「おお、着くぞ!」

「わ〜い! 海だぁ〜〜!!」

「……ぐう………ぐう……」

「兄貴っ! 起きるです!!」

「やっと着きましたね!」

「うん! 楽しみだね」



こうして僕達の夏が幕を開けた。夏の風物詩、海。僕達はこの海水浴を精一杯楽しむぞー!!!

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