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テスト返却、そして夏休み入り

 ついこの間、熱を出してしまった僕だったけどもう完全復活!!


 みんなに感謝だね。なんか陽麻君が僕にする扱いが完全に猫にしているみたいな感じだったのが驚いたとはいえね。


 『ねこじゃらしだよぉ〜!元気だしてっ!!』って言ってきたときはさすがに僕よりも陽麻君の方が頭がやばそうだなと思った。心配してくれたのは嬉しかったよ。


 それはともかく前回僕のキャラがものすごく崩壊していた気がするけど、それはこの際置いておくとして。


 今日はというと、とうとう期末テストも終わりみんなが解放感に浸っているところ。まあ、これからテスト返却なんだけどね。

 ちょっと自信ないから不安だ。数学も自信ないけど、今回は文章読むのもきつかったから英語や国語も点数がやばいかもしれない。

 あ、でも周りの子もみんなやばーいって言ってるし意外と大丈夫かな。あのグループの人とかそんな会話してる。



「今回のテストまじやばたーん!」

「それなー!!」

「もうマジ卍だわー」



 いや、絶対やばいとか思ってないでしょ。やばたんとかマジ卍って何!?


 はっ、これはいわゆるJK語ってやつ…!?


 え、ほんとに卍って何。お寺の地図記号ですかって感じなんだけど。僕が時代に乗れてないの?


 一応僕高校生だけど全く分からん。さっきから謎の言語が飛び交ってる。ここ日本だよね!?

 異国語に聞こえるよ、僕には。今更ながら周りが女の子だけって辛いと感じるよ。しかも大半の人と話せてないし、このまま夏休みに入ったら僕の存在を忘れてる人いるよね、絶対。






[キーンコーンカーンコーン]



 あ、授業始まる。授業っていうよりただのテスト返しだけどね。30分授業でテストだけ返されるんだ。



「あ、みんな座ろー!」

「ゴーレムが来るよっ、早く早く!!」



 まずゴーレムって誰だよ、そんな人学校の先生にいたの?


 そんなあだ名がつくほどごついなら僕が先にゴーレム……いや、ゴンザレスってつけてると思う。ゴンザレスはすでにいるけど。ちなみに剛二君のことね、

最初につけたあだ名だよ。





[ガラガラガラッ]


「はーい、いいですかっ!!」



 えっいや、何が。


 クラス入ってきて第一声それなの!? ……ほんとにごついな。巨漢の男が体全体から『俺ゴーレム』って放ってる。何それ怖っ、ていうかきもっ。




「……テストを返します。いいですかっ!!」


「えーと、いいですかっ!! 点数が低いです!」


「えー、いいですかっ!!」


「今回はいいですけども!  ちゃんと復習をするように。いいですかっ!!」



 だから何が!?


 さっきからいいですかって何回言ってるの。なんかもう周りがクスクス笑ってるんだけど、ねぇ。

 何人か『いいですかっ!!』の数数えてるってこれ。小声で『また言ってる…ふふっ』みたいなのが聞こえてくるもん。



「何笑ってるんですか、いいですかっ!!  笑える点数じゃありませんよ!」



 笑ってるのはあんたのせいだよ。


 それにしても毎回セリフに必ず『いいですかっ!!』が入るんだね。ああ、そっか!

 いいですか言わないと死んじゃう病気にでもかかってるのか。地味に嫌だな……その病気。



「いいですかっ!! それじゃ平均点から……」



 ああ、やっと本題に入った。30分しかないのに10分ぐらい『いいですかっ!!』しか言ってなかったよ。ちなみに、いいですかの数は67回だった。


 閑話休題。テストの話に戻るね。


 えーと、今返されてるのが数学なんだけど。なんと、平均点が49.7だった。低いね。

 最高点が99点だって。すごいね。2番目が81点。この落差やばいよね。わー、マジ卍ー。


 ごめん、ちょっと使ってみたかっただけ。そんな目で見ないで、悲しいから。


 それで今、続々とみんなのが返されてるんだけど僕、苗字が夢咲だから返されるのほぼ最後なんだ。毎回こういう時結果が出るの遅くて気になる。



「「「きゃー!!」」」


「えー、鬼島ちゃんすごーい!!」

「ふっ、これくらい。できて当然だ」

「でも99点はすごいよーっ!」

「ああ。そう言ってもらえると嬉しい」



 さっきいった最高点取った子みたいだね。鬼島って言ってたから、きっと……うん、知らない。へぇー、頭いいんだなぁ。


 見た目はちょっと青みがかかった黒っぽい髪をしてて目は涼し気な感じで、声がハスキーで口調がかっこいい。表情もあんまり変化しないから、クールビューティ的な女の子かな?

 こっちから見た限りクラスの主要人物的人から人気があるみたい。イケメン女子とクールビューティが合わさった感じだと思ってくれるとわかりやすいかな。


 あっ、そろそろ僕のが帰ってくる。せめて、せめて2番目であって欲しい。80ないと一気に仕送りが遠ざかるっ…………!!



「夢咲!!」



 よし、見るぞ。僕はドキドキしながら紙をめくった。そこには、81と書いてあった。


 やったっーーー!!!


 良かった、とりあえず良かった。この際採点ミスがあっても気にしない。いい子じゃないから点数が割増されてても言わない。


 それにいいですかの言い過ぎで時間が無いからたぶん大丈夫。もう終わるし。



[キーンコーンカーンコーン]





 そうして僕が安堵と喜びに浸っている時、突然ドスの聞いた声で名前を呼ばれた。



「……夢咲」



 僕は突然の事でキョドった。だってさっきのクールビューティイケメン女子、訳してクルイケティが話しかけてきたからだ。

 しかも相当お怒りである。僕は何とか返事を返した。



「ど、どうしたの? えと、クルイケティ??」


「誰だそれは。ぼくは鬼島澪華(きじまれいか)だ」



 間違った、クルイケティとか訳分からないこと言っちゃった。しかも怒ってるぽいときに。

 妙に呼びやすいからつい。やっちゃった。


 あと、クルイケティはぼくっ娘だった。一人称がぼくの女子ほんとうにいたんだ。えっと、クルイケティじゃなかった。鬼島澪華さんだ。


 そういえば要件は何だろう。僕、何かしたっけ。話してないのになんか出来るってある意味すごいけど。



「クルイケティとか訳分からないこと言い出すな」


「ご、ごめんね。それでどうしたの?」


「夢咲、今回のテストはどうだったんだ」


「どうって、そこそこ?」


「そこそこ、だと??」


「う、うん」



 話す一言一言が圧力凄い。思わずたじたじになりながら僕は答えた。相変わらずお怒りである。



「……81点。ぼくの次か」


「そうだね?」


「ふっ、お前もそんなものか」



 え、なんか笑われたんだけど。どういうこと? 初めて笑ってくれた顔が嘲笑って悲しくなるんだけど。


 というか酷くない!? 僕の絹豆腐並のメンタルがぺしゃんこだよ!?



「まあいい。たまたまこの教科がダメだっただけかもしれないからな」


「え、うん」


「またな」


「あ、うん。バイバイ?」


「……バイバイだ」



 あ、最後ちょっと照れながらバイバイしてくれたなんだろう。怒ってたんじゃなくてただ点数聞きに来ただけ? 僕の勘違いかな。



 そのあと、鬼島澪華さんが僕のところに来たのはテスト返却最初の日、1時間目のあとだったんだけどね。2時間目が終わったあとも3時間目が終わったあとも僕のところに来て点数を聞き嘲笑して帰ってった。


 どうやら僕は彼女に今日帰ってきた科目、全教科負けてしまったらしい。一応言っておくと帰ってきたのは数学、国語、英語の3科目。

 全て2番目だった。あ、数学は数学Ⅰね。1番好きな国語さえ負けた。……ちょっと悔しい。


 そして、次の日も僕のとこに来てまた嘲笑して帰ってった。そのときの科目は地理、化学、地学。


 そして今日。数学A、情報、保健の3つ。このとき情報と保健は勝った。まぁ鬼島澪華さんは鼻で笑って帰ってったけども。


 それで昨日今日とテスト返却が続いてやっと全教科帰ってきて、終業式も終わりホームルームで成績が返され順位が分かるけれど、僕が彼女に負けていることは確実。

 これは聞かなくてもわかる。僕はクラス2番の成績、学年でも2番だった。僕としては1位を取りたかったところだけど今回は仕方ない。


 一応3位以内だから仕送りも継続だし、次頑張ればいいや。ってことで帰ろうとしたら声をかけられた。

 そう、鬼島澪華さんに。それが今起こっている出来事。



「……夢咲」

「えと、どうしたの?」

「今回のテスト、手を抜いたのか」

「んー、抜いてないけど……」

「抜いてなくてあれか」

「う、うん」

「……そんなんで、生徒会長をやれると思ってるのか!!」

「…………っ!?」



 最近どうにか慣れてきて自然に話せるようになってきたと思っていたら急に爆弾投下してきた。

 生徒会長って何!? そもそもやる気なんて……1ミリもないよ!?



「えっ……そもそも僕生徒会長なんて」

「ぼくは生徒会長になるんだ!」

「え、あ、なれば?」

「そんな態度でいいのか……?」

「僕は会長とかやりたくないもん……」

「どうしてだ」

「え、仕切るとか向いてないから?」

「なるほど」



 全然話についていけない。この子生徒会長やりたいんだ。よくそんなものやりたがるな、僕は絶対嫌だ。

 鬼島澪華さん、なるほど。って言ってるけど何がなるほどなんだろう。急に静かになって逆に怖い。



「君は、生徒会長をやる気がないと言うわけか」

「うん」

「ならなぜ、1位を目指す」

「え、仕送りのため……?」

「仕送りだと?」

「うん」



 さっきからなんとなく会話が噛み合ってないような、考えてることが根本から違うというかそんな感じの噛み合わなさを感じる。



「仕送り云々は知らんが……」

「うん」

「この学校では成績が1番良い奴が次期生徒会長になると聞いた」

「え。なにそれ」

「だからぼくはてっきりその為にテストで点を取ろうとしているのかと思っていた」

「……違うよ?」

「そうなのか……」

「うん」

「だが学年で成績トップの奴が生徒会長というのは間違いない。やりたくないのにやるのか?」

「えぇ、なにそれぇ……」



 初めて聞いたよそんなの、成績トップが生徒会長になるとか馬鹿なんじゃないの。 


 生徒の自主性を尊重して!? 大事だよ! やりたくない人にやらせちゃダメだよ。それこそ権力の横暴だよ。ふざけんな、先生嫌いになるぞ。



「あ、辞退しよう!」

「………」

「もしほんとにそうなら辞退するから鬼島澪華さんやってよ」

「……ぼくは構わないが」

「よし、利害の一致だね」

「できるのか」

「何が?」

「辞退ってできるのか」

「……生徒の自主性だよ」

「言葉をいいように使うな」

「ごめんなさい」

「あと、フルネームで呼ぶな」

「……鬼島さん?」

「澪華」

「れ、澪華さん……?」

「それでいい」

「う、うん」



 まあ生徒会長の件は何とかなるでしょ。もしかしたら鬼島さん、いや澪華さんの勘違いかもしれない。


 ……あ。


 今思ったら新しい友達できたんじゃ。友達、と言えるかはまだ分からないけど、少しは話せるようになったかも。



「すまなかった」

「何が?」

「ライバルと敵視していた」

「あー、気にしてないよ」



 最初怒ってるように見えたのってそれか。ちょっと納得。あ、そうだ。



「澪華って名前綺麗だよね」

「…………っ!! ぼくもそう思う」

「気に入ってるの?」

「ああ!」



 めっちゃ嬉しそうだ。意外と顔に出るのかな、澪華さん。


 これで一学期はもう終わりだけど、夏休み入る前に少し話せて良かったかも。もし夏休み明け話せたら話したいな。


 そんなこんなで僕の高校生活1年目一学期はいい感じで幕を閉じたのだった。友達も出来たしねっ!!


 明日から夏休みだぁぁーーー!!!

ここまで読んで頂きありがとうございました。次回から夏休み編に入ります。よろしければブクマ、感想など送って貰えると大変嬉しいです。

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