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期末テスト到来

 今日は期末テストの前日。僕らはこの日に自主的勉強会を開いた。


 というか勉強会という名目で遊ぶんだけどね。……もちろん勉強もやりますよ?


 メンバーは剛二君、陽麻君、真秀、僕の4人。やる場所は僕のマンション。の、はずだった。


 何故か優と琴音ちゃん、真秀の妹まで来てた。


 あ、言ってなかったっけ? 真秀には妹がいるんだ。だから面倒見がいいんだよね。


 ちなみに妹ちゃんの名前は斉木真瑞(さいきまみず)。確か今、小学校5年生だったかな。髪はいつもポニーテールにしてる。



「お、おはようございます……」

「おはよー!」

「お久しぶりですっ、お兄ちゃん!」


「ごめんな。真瑞もついてきた」

「真秀、妹がいたのか!」

「おじゃましま〜す」



 ドアを開けたらどんどん入ってきた。ここまで僕1度も喋ってない。


 ……合計で7人か。僕の家そんなに広くないけど入るかな。



「そういえばさ」

「お! どうした透」

「なんで優と琴音ちゃんもいるの?」

「あれ〜、聞いてなかったの〜?」

「ん? 何を?」

「あー、俺が呼んだんだ」

「……真秀が?」

「たまたま会ってな」

「へー」



 真秀って2人と接点あったっけ。ああ、一応優とは同じ中学校だった。


 琴音ちゃんとはバイト中に出くわしたぐらいだった気がする。というか、優と琴音ちゃん知らない人多くない?


 知らない人ばっかで大丈夫なのかな。真秀のことは知ってるとして、真瑞ちゃんと剛二君、陽麻君は知らないよね?


 んー、まぁ大丈夫か。多い方が楽しいし、なんとかなるでしょ。



「えっと、勉強します?」

「そうだね、やろっか!」

「真瑞、勉強したくないですー」

「じゃあ、なんでついてきた」

「久しぶりにお兄ちゃんと会いたかったですー」

「透、お兄ちゃんって呼ばれてるんだな!」

「あらぽん、ロリコン発揮しないでね〜」

「オレはロリコンじゃない!!」

「わ! すごい顔ですっ!」

「……真瑞。それはいうな」

「あ、ごめんなさいです」

「あらぽん。ドンマイ」

「あ、ゴリラと腐ったトマトのハーフ……!!」

「え!? 優ちゃん急にどうしたの?」

「い、いえ! なにもっ!!」



 すごい騒がしい。なんかもうツッコミどころ満載過ぎてどこから言えばいいのか分からないよ。


 相変わらず陽麻君は剛二君をいじってるし、真瑞ちゃんは剛二君のことを面白がってる。優に至ってはまだ前の引きずってたの!?


 ……あれ。


 この会話全部剛二君に関してなんだけど。ここまでみんな剛二君のことしか言ってなくない?


 それだけパワーがあるのか、顔に。琴音ちゃんはちゃんと勉強しようとしてる。あと剛二君の顔に触れてないね。優しい、さすが優等生だ。




「オレ、もう帰る!!」


「つ、ついてくんなよ!!!」


[ガチャッ][バタンッ]



 あ、部屋から出てっちゃった。みんなからいじられてすねちゃったんだね。やりすぎたかな?


 まぁいいか。


 たぶんかまって欲しいだけだろうからね、そんなに怒ってないだろう。そのうち『なんでついてこないんだよっ』って言って帰ってくるでしょ。



「なんで誰も止めてくんないんだよっ!」




 ……ほらね。自分で言っちゃうから止める気が起きないんだよ、剛二君。



「そんなにオレのことどうでもいいのか……」



 落ち込んでるし。


 辛くなるなら試さなきゃいいのに。


 僕なんか真秀と喧嘩した時『もう帰るっ』って言ったことがあったけどそれ以来止めようと思った。だって真秀、めっちゃ冷静に『そうか。じゃ行き倒れて来い』とか言ってきたからね。


 僕が行き倒れるのが前提っていう。ちなみにそのあと本当に行き倒れて真秀が当然のように引きずっていった。その時僕が泣きそうになってたのはいい思い出だ。



「ごめんね。あらぽん……」

「わ、分かってくれたならいいんだよ!」

「でもあらぽん止めてほしそうにしてたから止めたくなかったんだもん」

「べ、別に止めて欲しいとか思ってない!!」

「剛二。お前のツンデレは……キモいぞ?」

「……もう少しオレに慈悲をくれよ…………」



 陽麻君って優しそうに見えて毒吐くよね。大丈夫? っていいながら傷口抉るみたいな酷さがある。

相変わらず真秀は冷たいなぁ。


 ふと思ったんだけどさ、さっきから剛二君いじりしかしてないよね。他に何もしてない。


 皆明日テストなの忘れてない!? しょうがない、心優しい僕が言ってあげようじゃないか。



「ねぇ、みんな明日テストだよ?」

「そうだっ! 透の言う通りだ!!」

「えぇ〜、あらぽんのせいで遅れたのにぃ」

「陽麻の言う通りだな」

「真瑞も荒神さんが悪いと思うです」



 あーあ、真瑞ちゃんにまで言われてる。


 そういえば優たちは大丈夫かな。僕たちのいつもの感じになっちゃったけど……。



「うぅ……課題がぁ…………」

「えっ? 優ちゃんまだ終わってないの?」

「あと数学と英語と化学が残ってます……」

「それ全部明日の科目だよ!?」

「解けなくて……うぅ…………」



 別の意味で大丈夫かな……?  特に優。


 そういえば前に勉強が苦手って言ってたっけ。僕とは反対で運動が得意なんだよね。せっかく勉強会するんだし優に教えれそうなら一緒にやろうかな。



「「じゃあ一緒にやろうか?」」


「「へっ?」」



 しまった。琴音ちゃんと被っちゃった。僕が出る幕じゃなかったかも。



「え、2人ともいいんですか……?」


「「うん」」


「ありがとうございますっ!」



 こうして2人で教えながら一緒にやることになった。琴音ちゃんは英語が1番得意だから英語を主に教える。僕は数学が得意だから数学を主に。化学は2人で。


 僕は時々陽麻君のとこに行ったり真瑞ちゃんのところで遊んだりしながら勉強会は進んでいった。


 そして、新たな事実が発覚。


 それは、真秀と陽麻君と剛二君の中で1番成績がいいのは剛二君だということ!!

 なんと中間テストで剛二君が1位だったらしい。真秀は3位で、陽麻君は12位という意外な結果だった。


 真秀は前回はあまり調子が良くなかったとかいう負け惜しみを言ってた。次は負けないし、調子のんな。とか言って剛二君と勝負する流れになってた。陽麻君は英語が得意だけど他があまり得意じゃないらしい。


 いつも剛二君がいじられてるからちょっと意外だった。2人とも一応剛二君のことを『努力家』って言って褒めてたし、なんかそういうのいいよね。

普段いじってるのに実はちゃんといいところ見てるみたいなのがさ。


 話してて気づいたんだけど真秀と剛二君って口調が少し似てない?


 真秀は無気力そうに話してて、剛二君は常にびっくりマークがついてるってことしか見分ける術がない。


 あとは……剛二君の方が句読点が多いかもしれない。うーん…………2人とも僕のこと透って呼ぶし陽麻君のことは陽麻だしね。


 声もあんまり特徴ないんだよね、剛二君。顔はすごい特徴的なんだけどね?


 なんか最近剛二君が顔だけの人になってきた。……ほかの特徴がないんだよね。仕方ないか、剛二君だもん。



「全く2人ともすぐオレのことからかう!」

「ごめんってあらぽん〜」

「悪いな、剛二」

「ほんとに思ってるのかお前ら!!」


「琴音ちゃん、これどう解くんですか?」

「んーとね、こうしてっと……」

「あ、できました!」

「やったねっ!」

「はいっ!」



 ……はぁ、なんか疎外感があるような。


 やっぱりさ、僕だけクラス違うからなのか3人と僕でたまに温度差があるんだよね。3人で完成してるような気がして僕が入っていってもいいのかな、的なね。僕がそう感じてるだけかもしれないけど。


 優と琴音ちゃんも女の子同士で僕いない方が楽しいかなーとか。


 急にどうしたんだろう、僕。いつもあんまりネガティブにならないのに。今日はすごいネガティブなことを考えてる。


 それに、頭が少しぼーっとする。うーん、勉強して疲れたのかな。……そろそろ6時か。

 朝から勉強してたからたぶんそうだよね。

みんなにもそろそろ時間大丈夫か聞いた方がいいか。



「みんな時間大丈夫?」

「お、もうこんな時間か!」

「暗くなっちゃうから解散する〜?」

「そうするか。真瑞、帰るぞ」

「はぁーい」

「なんとかおわりましたぁ…」

「良かったねー、私もいい勉強になったよ」

「そろそろ帰ろっか」

「そうですね!」



 みんな帰りの準備をし始めた。優は課題終わったみたいで良かった。他にもみんな楽しんでたようだしワイワイしてたけど無事終わった。



「じゃあな、透!!」

「またね〜、透くん」

「またな透」

「おじゃましたですっ!」

「ありがとうね、夢咲くん」

「失礼しました!」



[ガチャッ][バタン]


「優ちゃんたちは家どっち〜?」

「わ、私はこっちです」

「私は逆かな」

「あ、優ちゃんボクと同じ方向だ〜」

「オレもだ!」

「俺は鈴原と同じだな」



  ふーっ、さっきまでたくさんいたから急に静かになったな。


 なんだか疲れたし早くお風呂に入って寝よっと。まだ早いけどお腹もすいてないしいいや。心なしか体が重いよ……。


 まぁ高校入ってから1番多くの人と喋ったんだから仕方ないか。テストは唯一僕が頑張れるとこだし頑張んなきゃね。

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