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ワケアリの男友達

「おー!待たせたな」

「ほんとだよ。僕を5分も待たせるとかどういう神経してるの、真秀」

「透はいつも俺を5分以上待たせてるだろ」

「……僕はいいんだよ」

「はあ、全くお前は……」



 真秀に呆れられた。


だってさ僕は歩くスピードがみんなと違うんだよ?分速50メートル位だよ?……多分。


 それより遅いとか、ないから。

ち、違うよ? 別に盛ったりしてないからね!?


 まぁ、それはいいんだけど。

置いとくね、この話は。もう僕がものすごい運動音痴なのは知ってるだろうしね。



 ところで今日は真秀とその友達と一緒に遊びに行くんだ!僕は結構楽しみにしていた。


 なぜなら、初めてこの学校で真秀以外の同性の友達ができるから!!


 ちなみに今はもう6月の中旬くらい。


 これまで僕は女の子としか喋ってないんだ。クラスに僕しか男が居ないから。それも大して喋ってない。

強いて言うなら優と琴音ちゃんぐらいだ。


 あ、さっきの『女の子としか喋ってない』っていうのには真秀はカウントしてないよ。


 真秀と喋ってるじゃんって思った人、いるかな。幼馴染だからカウントしてないんだよ。新しくできた友達じゃないからね!


 あ、ちなみに今は真秀とだけ待ち合わせをしていたんだ。そして今からその待ち合わせに向かうところ。その為に最初に真秀と待ち合わせをしていたんだ。


 だってほら、面識がない人と話すのってキツいでしょ?


 今から遊ぶっていってもまだ僕は真秀の友達のこと知らないし。そんな時に待ち合わせでたまたま真秀だけ来ないみたいなのは困る。


 だからそれを回避するために本当の待ち合わせ場所から少し離れたところで待ち合わせてから行く事にした。


 ……今日、真秀が遅れてきたからもし僕だけで本当の待ち合わせに行ってたらだいぶ気まずい沈黙を味わってたかもしれない。



 まぁそんなわけで今から真秀とその待ち合わせ場所に向かってる所なんだけど。


 いや、というか……もう着いてはいるんだけど。

なんかすごい個性が強い人が2人いるんだよね……あそこ、僕達の待ち合わせ場所なんだけどなー。


 まさかあの人たちが新しくできる僕の友達ってわけじゃないよね。僕は信じないよ、うん。


 たぶん違うと思う。というか違っててほしい。……だってさ、1人はなんか大きめの雑誌みたいなの見ながらニヤニヤしてるんだもん。


 すっごいニヤニヤしてる。通りがかりの人に白い目で見られるぐらいなんだよ?

僕から見ても変態みたいに見えるんだけど。


 しかもなんか……お世辞にも顔がかっこいいとは言えない感じの……いわゆる、オタク、みたいな。体もなんか、ごつい。


 なんていうか僕の名前はゴンザレスです!みたいな感じがする。たぶん本名がゴンザレス・ゴリラゴリラとかだと思う。なんとなくだけど。


 しかも服に大きく「萌」って書いてあるんだけど。嘘でしょ、どういう神経してるの。

本当に。きもいな。本当にオタクなのかな?


 あっ! べ、べつにオタクが悪いとは思ってないよ! 誤解しないでね!!



 あと、もう1人。

もう1人はなんか……寝てる。それも野良猫と一緒に。しかもなんか会話がおかしい。



「もふもふだ〜、ふふっ」

「にゃー」

「え〜、もふもふするのダメなの〜?」

「にゃー……」

「ん? ちょっとならいいの!?」

「にゃー」

「わーい!やったー!」



 会話なのかわからないけど。猫語話せるのあの人。

しかも自撮りみたいなのしてるし、猫と。あっ、携帯のストラップまで猫のストラップだ。


 えっ、どんだけ猫が好きなの。

体型は細身だし服とかは普通なのに。でも髪の色は白色っぽいなぁ。染めたのかなぁ……?


 さっきのゴンザレス(仮)は髪が黒色だったからちょうど正反対な見た目をしてる。



 うーん……個性が強いなぁ。キャラのクセがすごい。絶対違うよなぁ。あの人たちじゃないよねぇ。



「おーい、おいってば!」

「……」

「なにぼうっとしてるんだ、透!」

「……何?」

「何じゃないだろ……俺の話聞いてたか?」

「聞いてない」

「少しも悪びれないな、お前」

「ちょっと考え事してた」

「あっそ。一応言っておくがあいつらが今日遊ぶ奴らだからな」

「嘘でしょ!?」

「嘘なわけないだろ」

「ゴンザレスと猫男子が!?」

「なに変なあだ名つけてるんだ……? 」

「本名はゴンザレス・ゴリラゴリラだよ」

「そこまで考えてあるのか!?」

「うん。だって顔がそんな感じだからね」

「しかもゴリラゴリラって人じゃねぇぞ?」

「うん。ゴリラだね」



 まさか本当にあの人たちが今日遊ぶ人、もといこれから友達になろうと思っていた人か……。


 それにしても真秀がすごい勢いよくツッコミ入れてる。珍しい。


 そういえば、真秀がなんか話してたみたいだったけどもしかしてゴンザレスと猫男子の名前とか言ってたのかな……?


 僕このままだと本当にゴンザレスとかで覚えそうなんだけど。もし本人にゴンザレスって呼びかけたら怒られそうだよね。

は?ってなるよね。


 よし、真秀に今のうちに聞いておこう。



「ねぇ、真秀」

「ん?なんだ」

「ゴンザレスたちのほんとの名前何ていうの?」

「お前、本当に聞いてなかったんだな」

「だってインパクトが強すぎて」

「まぁいいか、いつもの事だしな」

「でしょ?」

「開き直るな」

「はぁ……とりあえず名前いうからな。覚えろよ?」

「うん」

「透がゴンザレスって呼んでた方が荒神剛二(あらがみこうじ)

「うんうん。名前もごついんだね」

「猫男子って言ってた方が猫田陽麻(ねこたはるま)だ」

「名前にも猫が入ってる!?」



 なんという偶然だ。


 名前に猫が入ってるから猫が好きなのかな。名は体を表すって言うもんね。ゴンザレスも荒い神に剛二でしょ?


 やば。笑うんだけど。


 というか真秀にどっちがゴンザレスとか言ってないのに当然のように荒神君の方ゴンザレスって当ててたのは真秀も思ってたからなのかな。それとも猫田君の方に猫って名前が入ってるから猫男子だと判断したのかな?


 どっちなんだろ。もしゴンザレスの方で当てたんだったら面白いよね。真秀の思考回路が。



「あ!やっと来たな真秀!!」

「遅かったね〜、なにしてたの〜?」

「まだ集合時間前だろ、陽麻たちが早いんだよ」

「集合時間の10分前には来るべきだと習わなかったのか!!」

「確かにボク達の方が早く来ちゃったかもねぇ〜」

「ま、とりあえず透のこと紹介するからな」

「おお! 真秀の幼馴染ってやつだな!」

「ましゅ〜の幼馴染の子か〜」

「ほら透、自己紹介」

「えっと、夢咲透だよ。よろしくね」

「よろしくな、透! オレは荒神剛二だ!! 剛二でいいぞ」

「ボクは猫田陽麻だよ〜。透くんよろしくね〜」

「うん! 剛二君、陽麻君!」

「さてと、それじゃ自己紹介はこの辺でいいか」


「「「そうだね/な/ねぇ〜」」」


「んじゃ、そろそろ行くか。行きたいとこあるか?」

「オレはどこでもいいぞ!」

「ん〜、ボクはネコカフェとか行きたいなぁ〜」

「僕は甘いものとか食べたいからカフェとか行きたいかも」

「それじゃーカフェとか行くか。あとはそのへんふらふらしながらでいいか?」

「おう!」

「いいよ〜、いこいこ〜」

「うん!行こー!」



 これだよ、これ!


 僕が求めていた高校ライフ!!


 友達と遊びにいったりなかよく話をしたり。なんか久々にちゃんとした友達ができた気がする!


 最初変な人たちだと思ったのはこの際置いとこう。ヤバそうな奴らだとか思ってた。ごめんね。ゴンザレス……あ、剛二君。

外見で判断しちゃいけないね。うん。


 それにしても陽麻君、遊ぶ場所もネコカフェなんだね。どこまでも猫道を追求してるね。



「そういえば、透と陽麻はどっちも甘いもの好きだから気が合うかもな」

「ん? 陽麻君、甘いものも好きなの?」

「好きだよ〜! ケーキとかチョコレートとか〜、甘いもの!!」

「へえー、僕も好きなんだ! カフェとか行ったりする?」

「するする〜! 透くんも〜?」

「うん!」

「じゃあ今度いこ〜」

「うん! 行こー!」

「おー、話弾んでるな。よかったよかった」

「あ、真秀も一緒に行く?」

「せっかくだし行こうよ〜」

「お、おい! オレだけ話に入れてないんだが!? オレも誘ってくれないのか!?」

「あらぽんはいいよ〜? 来なくて」

「え? 剛二君も来るの?」

「ちょ!? なんでオレだけ仲間はずれみたいになってるんだ!」

「まぁ、剛二は甘いもの好きなわけじゃないから無理してこなくてもいいけどな」

「真秀まで!? オレは傷ついたぞ!」

「そっか〜、強く生きてね〜」

「ごめんね、剛二君」

「悪い悪い」



 なんか剛二君っていじられキャラだね。ふわふわしてそうな陽麻君にもいじられてるし。


 というか何気にひどい事言ってる気がするんだけど、陽麻君。


 しかも剛二君の呼び方あらぽんなんだ……。顔に似合わずゆるいあだ名だなぁ、さすが陽麻君。でもなんかいいな。こういうの。


 ちゃんとした友達って感じが!


 割とフレンドリーだったし、何より甘いもの好き仲間が見つかった。このまま楽しく1日遊べたらいいなぁ。できれば学校でも話せるようになりたいしね。



「あ!メイドカフェだ!」

「え!?」

「あらぽん反応がキモいよ〜?」

「無視でいいだろ、行くぞ?」



 あらぽんもとい剛二君は少しあれかもしれないね。

このあとが心配になってきたよ、いろんな意味で。

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