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まさかの噂

 うーん……僕は今悩んでいる。


 何故かっていうと、クラスメイトの琴音ちゃんの元気がないから。

 テストも終わってだいたいの人はテンション上がって遊んだりしてるのに。



「これからボーリングにカラオケだ!いっぱいあそぶぞー!!」

「「「おーー!」」」



 女の子たちがこんなこと言いながら帰っていったぐらい元気なのに。


 本当にみんなアクティブだよね。


 僕はみんなのテンションについて行ける気がしないよ。


 でも……そんな中、琴音ちゃんだけ落ち込んでるんだよね。遊びにも行かないみたいだし。


 あ、ちなみに優はテストがやばかったとかで教師に連行されていきました。うん。



「はぁ…」



 なんかため息ついてるし。


 もうみんな帰ったのにぼーっとしててまだ帰ってない。まぁ、僕も帰ってないんだけどさ。


 それで今悩んでいるのは琴音ちゃんのことなんだけど……声をかけてあげた方がいいのはわかってるんだけど、なんて言えばいいのか分からないんだよね。


 みんなもあるよね。友達が落ち込んでるけどなんて言ったらいいかわからない、みたいなこと。

そんな感じ。友達、なのかわかんないけど、

いつも挨拶してくれたり話しかけたりしてくれる子だし、元気ないと心配。


 でも僕、中学のとき学校行ってなかったし、相談もされたりしなかったから。


 どうすればいいのかわからないな。どうしよ。困ったな。とりあえず話聞いてみればいいか。

話すだけでもスッキリするっていうもんね。

よし。頑張るぞ!



「琴音ちゃん、なんかあったの?」

「へっ!? べ、べつに?」



 絶対なんかあったでしょ。キョドってるし。目、泳ぎまくりだし。というかもう溺れてる。



「ゆ、夢咲くん急にどうしたの?」

「んー、なんか元気なさそうだったからなんかあったのかなって心配になって」

「えっ、あ、そ、そんなことないよ!?」

「いや……そう見えないんだけど…」

「大丈夫だから! ね?」

「うーん……」

「本当に大したことじゃないから大丈夫」

「……僕でよかったら話ぐらい聞くよ?」



 大丈夫そうに見えないし。

いつも琴音ちゃんには助けてもらってるからこういうときくらい頼ってほしい。

(助けてもらってるっていうのは僕がいつも委員長として荷物を運ぶときに重くてもてなかったりするときとかね)


 余計なお世話だと思われるかもしれないけど。



「それじゃあ、ちょっと話させてもらおうかな」

「実はね……私、今クラスの子たちに変な噂されているらしくて」

「変な噂?」

「うん……なんか男好きとか、付き合った彼氏をすぐに捨てるとかそういう類の」

「琴音ちゃんが?」

「うん……」

「男好きも何もこのクラス男子僕しかいないのに!?」

「うん」

「そもそも彼氏捨てるってそんな小悪魔的な子だったの!?」

「え、と……それは噂だからね? 違うよ!?」

「あ、そっか」

「まぁ……そんな訳でちょっと嫌われちゃってるみたいで……」

「えっ!?」



 ちょっとイメージに合わなすぎて驚いちゃった。だって琴音ちゃん、完全にそんな感じしないし。


 そもそもなんでそんな噂流れたんだろう。クラスの子たちみんな仲いいのに。


 中学の時と違って悪口みたいなこと言わなそうなんだけどな。


 実は女の子って陰で落とし合いしてるのかな。なにそれ、怖っ!?僕、男でよかったー。


 女の子だったら絶対嫌われるタイプだ。

だって運動できないし、なんなら重いもの持てないし。


 めんどくさいこと他人任せ。というか真秀任せだ。めっちゃ優秀なんだよ、真秀。


 まぁ、それは置いといて。



「僕は琴音ちゃんのことそんなふうに思わないけどなー。普通にいい子だし、話してて楽しいからね」

「それに僕、琴音ちゃんのこと好きだよ?」

「へっ!?」

「たぶん、みんなも琴音ちゃんのこと知ってる子はそんな噂信じないと思うよ」

「あ、うん! そっか……」

「うん、琴音ちゃんの味方はいるよ」

「……ありがと」

「何が?」

「話聞いてくれて」

「うん! 」

「じゃあ、また明日ね」

「また明日ねー、ばいばーい!」



 少しは元気になったみたいだ。よかったよかった。


 それにしても本当にあるんだね。真秀がよく、女同士は裏表激しいって言ってたけど。


 あれ、なんで真秀そんなこと知ってんだろ。まあ、いっか。



「おい透、帰るぞー」



 タイミングよく真秀が来た。


 実は今日、真秀とケーキ食べに行く約束をしてたんだ。もちろん真秀の奢りだよ!(嘘)


 ただ遅くなるから待ってろって言われてたから待ってたんだけど、琴音ちゃんと話してたから結果的に僕が待たせる感じになっちゃったけど。


 まあ、真秀だし待たせてもいいよね。



「そういえば、透って有名なんだな」

「え、なんの話?」

「いや、俺のクラスの女子が話してたんだけどな」

「なんて?」

「頭が良くて、かっこかわいい男子。中学では生徒会長で家では妹がいる優しいお兄ちゃんだってな」

「え!?  なにそれ、どこからそんな話になったの!?」

「さあな」



 僕には妹なんていないし、生徒会長なんてやってるわけが無い。そもそも1人っ子だ。


 それに知っての通り僕は不登校だった。勉強は、それなりにしてるけど。


 あと僕がかっこいいとかだったらとっくに告白されてたりするはずだ。自慢じゃないけど生まれてから1度も告白なんてされたことが無い。


 あっ、たぶん同姓同名の別人だな。そうとしか考えられない。



「特進クラスって言ってたから同姓同名って線もないし透のことだな」

「あれ? 今、心読んだ?」



 僕、喋ってないんだけど。エスパー?



「エスパーじゃあるまいし、読めるわけないだろ」



 いや、会話成立してるんだけど。まさか本当に読めるとは、真秀恐るべし。



「でも全く合ってないよな、その話」

「だね」

「ほんと、どっからまわったんだろうな」

「だよねー、自分でも驚いたもん」



 わかったことは噂は当てにならないってことだね。噂を全部信じんのやめよ。


 琴音ちゃんのこともあったし、僕のことなんて事実無根すぎる。みんなも噂当てにしちゃダメだよ!



「ところで今度ある進路ガイダンス、何聞くか決めたか?」

「え?」



 進路ガイダンス?なにそれ、おいしいの。初めて聞いたんだけど。そんなのあるの。



「ガイダンスって言っても大学生の話を聞いて終わりらしいけどな」

「何人か選んで、聞いたあとで参考にしましょうって感じだな」

「まだ1年生なのに?」

「ああ。そしてそのガイダンスはグループワークをしてレポートを出すらしい」

「えぇ、めんどくさっ!」

「だよな」

「あ、そういえば今度俺のクラスの男子と遊ぶ約束してるんだけど透も来るか?」

「え!男子!?」

「なんで男子にそんな反応してるんだよ」

「行く!遊ぶ!!」

「じゃ今度伝えとくなー」



 当たり前じゃないか。この学校に来てから話してる男子、真秀以外にいないんだから。


 やっと同性の友達ができるーー!!

僕の高校生活がやっと理想に近づく!


 真秀の友達だしたぶん大丈夫だろう。楽しみだな。

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