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少女は二度目の人生を謳歌する  作者: 雨蛙ゆーき
3/3

2 お父さんといっしょ

年は12ヶ月で元の世界と変わってないです

読み方は ひ ふ み よ し ご ろ な や く と ひと ふと

です、四季も大体日本と一緒です

まあアイちゃんはこの世界で生まれた住人なのでどうしても元の世界と異世界の違いを説明するとなるとココを使ったりしないとなので申し訳ないです


 外に出るとふわりと、春風が鼻先を撫でて来る暖かい春の季節だ

 確か1年は火の月・風の月・巳の月・紫の月・檎の月・露の月・菜の月・弥の月・玖の月・兎の月

 兎から先が火兎の月・風兎月と1年は12の月で回っていて、四季は大体3月で変わってくる

 そして今が紫の月ちょうど春が始まった月だ

 まあコレもお父さんの受け売りなんだけど


「お父さーん、お待たせー」

「お、アイやっと来たかじゃあ早速手伝ってくれ」

 お父さんからほれっと鍬を受け取ると私はやるぞーっと土を耕し始める

「昨日は余り進まなかったからな、今日の目標はあそこまでは耕し終えたい所だな」

 お父さんが少し先を指差すと私はうぇえ~、とつい声が零れてしまった

 私の家の麦は春蒔きと言われ、大体この紫の月に種を蒔き始め、弥の月に収穫となる品種の麦を扱っている

 家によって扱う麦が違うため、来月になったら収穫を始める所もあったり、種を露の月に蒔いて兎の月辺りが収穫時期になったりする家もあるようだ

 なんで家によってバラバラかと言うと、麦は生き物で天候によって不作になったりしてしまう場合もあるらしく

 そうした時に村全体でダメージを負うよりも、カバーし合える様に扱う麦の種類を変えることで収穫時期をずらし、万一の不作時でも問題ないようにしているらしい

 ってお父さんが言ってた


「よーう、ルーちゃん精が出るねぇ」

「あ、ブーおじさん、おはようございます」

 私は持ってる鍬を一旦置きペコリとお辞儀をする、ルーと呼ばれたのは私のことだ

 アイルーシャ、お父さんとお母さんはアイと略称するけど、ルーとかルーシャと略称する人もいる

 ブーおじさんは私たちの横の麦畑を育てていて、えっと確か冬蒔きだから檎の月で収穫だっけ、おじさんとこの麦畑は緑色に実っていて、来月の檎の月にはいい感じに小麦色に染まってそうだ

「アイちゃんはブルックに似ず礼儀が良いねー、困ったらいつでもおじちゃんのとこに来な」

「おい、ブーイ黙って聞いてりゃ好き勝手言ってくれるな、やる事無いなら自警団の手伝いでもしてろ」

「げ、聞いてやがったか。ハイハイ、邪魔者はとっとと退散しまっせっと」

 すたこらとブーおじさんは去っていった

 そうこのマツィーマ村は麦が大まかな収入源だが、収穫手前や収穫後の空いた時期等は村の自警団と言って、村近くを見回り収穫物を食い荒らされ無い様に猪などの獣や時にはちょっとした魔獣と言われるモンスターの討伐などをしているらしい

 勿論モンスター相手となると中々村人だけでは手に余るので護衛の騎士さんを交えるが、それでも駄目な場合はまず冒険者依頼を出したり、最悪は王都騎士団に依頼を出すらしい

 流石に王都騎士団まで依頼を出したことは今の所ないらしいけど

 魔獣と獣の違いは食べられるかそうじゃないかって、ざっくりだけどって言ってた

 猪とかは討伐後解体してお鍋等にして食べられるけど、魔獣と分類されるものは討伐するとキラキラ光る石になっちゃうらしい、何でもその石が高値で取引出来るらしくて大体の冒険者さんは報酬もだけど石目的で討伐依頼に来たりするけど


「アイ、そろそろお昼にするか」

 私は待ってましたとそそくさと鍬を置き、お昼はなにかななにかなっとついつい家に向かう足が早まってしまう

 農作業中のお昼は汚れたままで家に入るわけにはいかないので基本外で食べるのだけど、今日みたいな天気のいい日だとさながらピクニックみたいで私はこのお昼休憩がとても大好きだ

「ほらアイ、はしゃぐのは良いがちゃんと手を洗いなさい」

「はーいっ」

 私はいそいそと外に置かれている水釜で手を洗い、玄関先でお昼ご飯を持ってきたお母さんのとこに我さきに飛び込んだ

「ねっねっ、お母さんっ今日のお昼ご飯はなにっ?」

「くすくす、もうはしゃぎすぎよアイ、そんな急いでもご飯は逃げないから。」

 はいっと、お母さんからバスケットを私は受け取ると

「今日は香草チキンのサンドとバターチーズサンドよ」

 ぱああっと、私の顔はとてもじゃないが凄いことになっちゃっているに違いない、だって仕方ないもんお母さんの手料理は世界で一番美味しいしっ

「ちゃんと春野菜のサンドもあるから食べるのよ」

「え…いや草はちょっと私お馬さんじゃないから間に合っちゃってますので…」

 私はささっとお母さんから逃げるように、その場から後ずさりする

「いい?アイそのお野菜の事を草って言うのやめなさい、お野菜はねとても栄養価が高くてしかも食物繊維が豊富なの、でもそれでいて~~~~~」

「あ、お父さーんお母さんからお昼ご飯貰って来たから早く食べよー」

「あ、ああ」

 お母さんごめんなさい、分かるんです草はちゃんと食べなきゃいけないって分かってはいるんです、でも焙煎豆の苦さと草の苦さは似て非なる物なんです

 何って言うんだろ焙煎豆の苦さは苦さの中にもコクがあり酸味がありそれがいい感じに交わって一口飲んだ時の至福感ったらすばらしい物なんです、でもお母さんにはそれを説明しても苦手で飲めないでしょ

 そして草の苦味はもう青臭い、口の中が森になる 以上


 私とお父さんは家の田園から少し離れた所にある草原のいつもの定位置に座り、バスケットの中からサンドを取り出し

「いっただっきまーす」

 がぶり

「~~~~~っっ!!」

 香草チキンサンドに私は大口を開けて被りついた、美味しい、なにこれ美味しい

 お母さん秘伝のスパイスがまぶされピリっと刺激が来るけどそんなにきつくなく、そしてパリっとソテーされたチキンがもうジューシーで肉汁がじゅわっと凄い

 私は夢中になってしまい、結構な大きさがあったはずのサンドをペロリと平らげてしまった

「次は~、バターチーズサンドさんっ」

 がぶりっ

 びにょ~~ん

 「んっっ」

 これまた凄い、チーズがもうトロットロで凄い伸びちゃう、それでバターの香りがやってきて、塩っ気があるはずのチーズの中に甘みが後からやってきてああもう幸せ

「ああ、もうアイほっぺ付いてるぞ」

 「んっ」

 グイっとお父さんがほっぺに付いたソースをやさしく拭ってくれる

「あらあら、二人とも仲が良くてお母さん妬けちゃうなー」

 ニコニコと音もなく現れたお母さんに私はつい身構えてしまう、主に草を食べてなかった的な意味で

「はい二人とも、食後の焙煎茶はいかがでしょうかー」

「あ、欲しい欲しいっっ」

 そういうとお母さんは既に用意していたのか、マグカップを取り出し、湯気の立つポットからトクトクと黒い色をした焙煎茶を注いでくれた

「はい、アイ。熱いから気をつけるのよ」

「はーい」

「はい、お父さん」

「ん、ありがとうイリサ」

 ずずず、んはーっ

 染み渡るー、幸せがこみ上げてくる

「ほんとアイは焙煎茶が好きだな」

「どこが美味しいのか私には理解しかねるわ…」

「えー、お母さんちょっとそれは言いすぎだよ」

 お母さんの淹れてくれる焙煎茶は朝飲むと今日も1日頑張ろうと、お昼に飲むと午後も頑張ろうとそんなそんな活力をくれる、とても凄い魔法の飲み物だ


書き溜めしていない為ちまちまとあげていく感じになってしまいすみません

日常回という名の説明回になってしまいました

しばらくはこんな感じの日常的な話が続いていきます


アイちゃんが可愛すぎて生きていくのが辛い


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