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1-1. 物語は入学式から

はじめまして。千都と申します。

初投稿ということでどこまで突っ走れるかわかりません。

一人称視点の拙い文章ですがストーリーを気軽に追って頂ければ幸いです。


「…どうしましょ」


見渡せば一面白い壁。

長く続く先の見えない廊下。無限にずっと広がっているかのような雰囲気。


僕は今、どこにいるのでしょう?


学校。うん、それはわかってる。

けれど、校内のどこにいるのかさっぱりわからない。

背中を伝う一筋の汗がヒヤリと刺したように痛い。


とりあえず歩こうか。


コツコツコツと、聞こえるのは自分の足音だけ。

無機質な音が一層不安を募らせる。

ふと腕時計に目をやれば、示す時刻は10分前。


「トイレになんて行かなきゃよかった」


一人で来たことを後悔しても、もう遅い。

《アイツ》にそんなこと言えるか。もう子供でもあるまい。


…そんなこと、今言える立場にないことはわかっているけれど。


時計は着々と針を進める。僕なんて待っちゃくれない。

とにかく進もう。ただ、来た道を戻るだけなんだ。


それでも。歩けども歩けども廊下の出口は見えない。

視線の先が、周りは白い壁なのに真っ暗だ。

なんて、考える暇もなく。時刻はついに5分前。


「もう!どこなんだここは!」


何かが吹っ切れた。もうやけだ。

とりあえず叫んだ。そして走る。

壁に反響する音が増々強くなる。それでもいい。とにかく走る。


「何してるの?」


突如聞こえた声だった。

そのあまりの唐突さに、僕は不安に駆られた足を止めることができず“何か”に衝突してしまった。

でも、いったい何だろう?ふいに横から現れるなんて。

横って…つまりはあの白い壁だけれど。ん、どうやって?


「いてて…」


「大丈夫?あ、もしかして迷った?」


人だ!

はい!そうです。そうなんです!

神はこの僕に光をお与えくださったようです。

ついに人に会えました。


「…はい。あの、入学式の会場ってどちらに?」


僕の前に突然現れた少しツンツンした茶髪の彼は、丁寧に目的地を教えてくれた。

それと、この廊下のことも。

無限回廊とか言うらしい。出口は彼の出てきた壁の中だそうで。

入れても普通には出れない不思議な廊下。


…そんなことわかるか!


ヘンテコな廊下だったけど彼のおかげで無事、入学式の会場へとたどり着くことができた。


「なにしてんの!」


会場へ到着したのは1分前。意外とあの廊下から近かった。

ほっとする間などなく。飛んできたのは<<アイツ>>の罵声。


まったく。まずはこうして無事に着いたことを褒めてくれたまえよ。


「いやぁ、迷惑な廊下だったんだよ」


「なに訳わかんないこと言ってんのよ。だからついて行くって言ったのに!」


誰がトイレについてきてもらうか。もう餓鬼ではない。

それに、きっとコイツはあの廊下の恐ろしさを知らない。

実際に歩いて驚くがいいさ。


「まぁいいわ。早くしなさいよ。もう始まるから」


あ、結局トイレ行けてないや。


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