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英雄魔女の旦那  作者: ryuu
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神楽希の救援 後編

 秋葉原、過去にはオタク文化カルチャーの街として知られ多くのそう言った系統のショップが中央通りに軒並みを連ねていた。

 他にも電気店などもおおくそう言った系統にも強い都市であったとされる街。

 しかし、現代の2040年代の秋葉原とは過去の2020年に起きた悲惨な爆破テロでその面影をなくし瓦礫に埋もれた廃墟になった隔離都市。

 今の秋葉原の代わりとなる都市は蒲田に移籍されるような形になり蒲田には多くのオタク文化施設が増設されている。


「さぁて、こんな場所に用途はずいぶんと物騒な感じな匂いしかしないな」


 隔離されたのは何も爆破テロにより施設ががれきに埋もれたからだというわけではない。

 爆破テロはある科学物質と放射線を撒き散らす要因となったのである。それが秋葉原の都市住民に被害を及ぼし、多くの死者を出した。その災害は止まることはなく日本政府も打つ手がなくなり隔離を2030年に敷いたのである。

 現在では有害物質の反応はなくなったがそれでも未だに隔離されてるのはこの秋葉原を根城としたギャング集団が数多くいるからだ。警察や日本政府も手をこまねいてるのだ。


「よぅ、兄さん。白衣なんか着こんで学者さんかなんかですかぁ? そっちのねぇちゃんは偉い別嬪差だなぁ俺らといいことしようぜぇ」

「ここは、あんたが来るところじゃないんですがな、帰りな。ついでにその子はここにおいてな」


 今は使われていないJR秋葉原駅の電気街口の周囲付近を歩いてると二人組のいかにもがらの悪い連中が奥の崩れたゲームセンターから出てきて威圧を放つ。

 拓斗はたいした動揺もしない。ここ3年局により働いたことでギャングなどよりもよほど怖い奴らをこの目で見てきていた。

 3年より前だったらビビってたなぁなどと感慨深く思いにやけてしまう。


「何笑ってやがるンだ!」

「殺すんだな!」


 がらの笑い二人組が懐から銃を取り出す。ギャングと言うだけあり銃刀法違反は当たり前のようだった。


「あんたらに用はないんだ。さっさと消えろ」


 沸点が切れた二人組は銃の引き金を引いた。銃弾が飛び、拓斗を打ち抜いたかと二人組はその目で見て思ったがその拓斗の姿は次第にぶれた。


「「は?」」

「俺はここだ」


 二人組の背後にいた拓斗は素早く溝に拳をうちこみ昏倒させる。


「3年間嫁にみっちり鍛えられてよかったなと思うよなぁまったく。まぁ、おかげで魔術は使わずに済んだか」

「お見事ですっすね、拓斗官長」


 イリアの感嘆の声を聞きながら二人組の男から武器を奪い取り懐にしまい込む。

 もしもの予備として使おうと考えた。


「なにがあるかわからないしな、イリア、お前も一丁もっておけ」

「で、でも私たちは魔術がありますっすよね?」

「それでも、もっておけ」


 さいど携帯で希のGPS反応の居場所を確認すると中央通りの某中古販売ショップ『まん○らけ』のタワーにいることが判明する。

 裏手側の建物だったと記憶があった。


「急ぐか」


 足早に移動して辿り着いた「ま○だらけ」と書かれた中古ショップ。ドアは解錠されており店の一階、買い取りカウンターは荒れ放題荒れていた。

 ブリキのおもちゃなどが散乱して釘屑などがあり足場の危険性が窺えた。


「歩きづらいな」


 エレベーターのボタンを押し動くかどうかの確認を行う。やはり動くはずもなかった。

 仕方なく、外の階段を使い上へ昇っていく。

 3階付近から妙なくぐもった声が聞こえた。

 ちょうど、中古の漫画を置いてある場所である部屋。

 そこの部屋に入り奥へと突き進むと横合いに矢が掠め飛んできた。

 おもわず足を止めて目を細めた。


「クケケッ、だぁーっれかな? チミィ」


 奥の方からボウガンを片手に持った金髪トサカ頭でいかにもヘビメタのミュージシャンのような格好をした男が現れる。

 男の背後には案の定「神楽希」がいた。意識を失い、腕から血を流している。


「お前彼女に何をしたぁ!」

「クケケッ、ただちっと血をもらっただーけだっよ」


 首をくねくね動かしながら妙なタップダンスを踊る男を見て気分を害してくる。

 握った銃の銃口を男に向け殺気のある目つきで男を射抜く。

 その間に伊莉亜が背後へ回って希に近づいて救出を決行しようとするがその眼先に包含の矢がはなたれた。


「クケケッ、動くなよぉ女の科学者さぁん。にしても、科学者がぁ銃なんてぇなぁーんで持ってるのっかなぁ―? ただの科学者じゃない?」

「これはお前の部下だろう男から奪い取った銃だ」

「ああ、そっか。でも、僕の部下を倒すとはそれでもやっるぅークケケッ。まぁ、普通の科学者じゃないっていうのはあたってそうっだけっど」


 まず一発目の銃弾を放つ。それに合わせて男はほうがんの弓を引き、矢と銃弾がぶつかり金属質な音が反響し爆散する。矢の破片が飛び散って拓斗の肩をかすめた。

 拓斗は一瞬痛みに顔をしかめるも微動だにはしない。

 それを見てトサカ男は奇妙なものを見つけたとばかりに喜々とした笑みを浮かべた。


「クケケケケケッ、面白い! なんで、痛みに動じないのっだ!」

「痛みには強いほうだけだ」

「おかしいおかしい。ボスの言ってた通りっか! 痛みに動じないのは回復力があるからっだ」

「っ! なんで知ってる? ボスって誰だ?」

「クケケッ」


 次の瞬間、トサカ頭の男は懐から何かを取り出した。それを放り投げる。地面に転がったのは煙幕弾だった。もくもくと煙が立ち込め視界が見えなくなる。


「待て! 今回のストーカーはお前じゃないのか! おい!」


 男が横をすり抜けて逃げていくのを捕まえようとするも入れ違いに数人の男が入って来た人影が見える。

 数人の男たちによる殴る蹴るのリンチ攻撃。

 拓斗はイリアのことも心配になって彼女の名前を叫んだ。

 彼女の方から悲鳴と銃声がたちまち聞こえてくる。

 次第に視界を安定させられてきて防御の姿勢を取って反撃するも数の多さに圧倒され反撃間に合わず地に叩きのめされてしまう。


「アグッ、がヵ、ぐぅ」


 亀のようにして丸まり急所だけを守る姿勢を取った。

 異様な花のにおいを感じながらもその間に状況を冷静に拓斗は分析する。

 まず、どういうわけか希を置いて行ったこと。それは彼女にもうはようはなくなったということなのか。

 次にこの状況を想定し拓斗だけを用意周到に狙っていたかのような動き。

 現に彼らは希にいっさい手を加えない。


「死んでろぉ!」


 集団男の一人が鉄バットを片手に大振りに振り上げた。

 その瞬間を見越して拓斗は素早く、懐から銃を引き抜き引き金を引いた。鉄バットを片手に振りあげようとした男は腹部から大量の出血をして地に仰向けになって倒れた。その状況が周囲の男どもの怒りに火をともし群がってくる。

 それは拓斗にとって絶好の機会だった。

 待ってたとばかりに銃を捨てる。そして、拓斗はあらかじめうずくまった時に地面に血で文字を書きとめていた。その文字を起動する合図のように文字で書かれた床を叩く。

 男どもに向かい地面から黒い触手のような鋭い棘の物体が殺到した。男どもの悲鳴や血しぶきがあがって一気に倒れた。

 ――そう、これが拓斗が『特別事務担当』などという役職で言われるゆえんだった。

 事務担当は通常の書類業務にデスクワークが主だった内部業務にあるのに対して拓斗やイリアは戦闘面にも順応した内外の書類業務に加えて戦闘補佐担当者という役割をもっている。

 その戦闘補佐はつまり結衣の担当する役職武装担当者の補佐である。拓斗たちがその補佐のするために磨いた技術が『魔術』と言われる『わざ』。

 魔力をもたず者、魔法を使用できない者が基本的な技術として使用できる古代の技法が『魔術』。

 その魔術は現在は拓斗の管轄する組織しか習得できておらずなによりも高度な知識を有するために難しいとさえ言われている。

 その難しい『魔術』を習得したスペシャリストは戦闘面でもこうして活躍できる。

 だが、この場合欠点はあった。つまり、魔術とは『文字を書く行為を必要』。その文字を書き終える時間がかかりその間には隙が生まれてしまう。だからこそ、魔術を得てする拓斗たちはあくまで戦闘補佐になる。

 魔術で倒した敵を見下ろして息を吐く。

 疲弊と傷がひどくさすがに喀血をした。


「意識がもうろうとするがどうにかして希ちゃんを連れ出さないと……それに、イリア!」


 まず、部下の安否を確認した。

 すると、纏っていた白衣がぼろぼろで血にまみれた素顔を見せた。

 

「うぅ……汚い手で胸さわられたぁ……ですっす……」

「だ、大丈夫か!」


 慌てて駆け寄って彼女の身体を確かめたが触れただけで他に強姦されたような形跡はない。

 強姦されてれば立ててはいない上にもっと悲惨な状況であっただろうことは推測できた。

 しかし、触れたということがよほどショックだったのだろう彼女。涙ぐんだ彼女を落ち着かせるように拓斗は抱きしめた。


「わるい、無茶をさせた。あとでシャワーでも浴びよう。今は大事な妹を一緒に救うのをあともう少しだけ協力してくれ」


 しばらくして落ち着いてきた彼女へ拓斗はそのぼろぼろになった衣服のせいで露出した素肌を隠すように自分の白衣をかけてやり、自分がカジュアルな私服姿になった。

 あまりにもこの場の連中になじみきってしまうような格好におもわず笑ってしまう。


「どうかしましたっすか?」

「いや、コイツらと似たよう菜っこうになっちまった自分に笑えただけだ」

「な、なにいってるんですっすか。拓斗官長はコイツらより全然男らしくって――」

「え」

「あ、いえなんでもないっす」


 イリアはどこか自分の失言に焦った顔をして口元を押さえた。

 すぐに拓斗は頭を切り替えて希の元にまで歩いて彼女を肩に背負う。

 そのまま階段の方へ歩いて下に降りて行き外に出ると駅に向かう。

 駅に到着する。

 その間にイリアが『局』に緊急コールを掛けた。

 救援の言伝を行うと『局』の長から返答が返ってきたようでイリアがかしこまったように了承を言うのを傍らで見て拓斗はほっと安堵の吐息をこぼした。


「イリア、すまないがあとは任せ……る……」

「え? 官長! 拓斗官長!」


 一言イリアにそう伝えた後、

 急な安心感が緊張を緩ませてその場で気絶をした拓斗だった。

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