神楽希の救援 前編
結衣と訓練ルームで話を終えて拓斗は仕事に戻っていた。
結衣もまた本日の仕事のために外出し今日もまたどこかの異世界の問題を解決してる。
拓斗もいつものように事務室にこもり書類仕事に明け暮れながらパソコンと睨みあいキーボードをタイピングする。
「経費の予算にミスはないな。よし、あとはこれを」
武装部隊の使う武器などの経費の予算を確認を終え、書類を転送する直前にパソコン上のSNSソフトのアイコンが画面上で立ち上がった。
すぐにソフトを起動して確認をするとメッセージの送り主は「神楽希」と名前があった。
「希ちゃん? なんだ?」
昨日にストーカー被害を訴えていた彼女からの連絡は妙な胸騒ぎを感じた。
すぐにメッセージの確認をして文面を読む。
『助けてくだ 誰かがついてき お姉ちゃんに連絡つか 助け 拓斗さん!』
ところどころ脱字がみられており、焦燥感に立たれた状況だと理解した。すぐに電話を手にとって駆けてみるも出ない。
「くそっ!」
パソコンと携帯を繋げて逆探知用の最新ソフトで「神楽希」のGPSの居場所を特定。
さっそくと拓斗は決断をして背後で作業をしている人物へ振りむく。ボブカットの黒髪にウサ耳に小柄な体とその豊満な胸が特徴のかわいらしい美女。局内でも特にかわいいと呼び声の高いその部下に呼びかけた。
「イリア、すべての雑務業務を一度中止だ」
「えっ!? どこに行くんですか!?」
「地球だ」
「はいぃ? だって、明日行くはずじゃないですか? 今から行くんスか?」
「別の要件で今から行くんだ。それに付き合え」
拓斗は足早に彼女、佐藤・ミューヘルム・伊莉亜と部屋を出て行き、目的地の転送ルームに向かった。
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異空間次元管理監察局は全世界の政府の秘匿組織でもあり裏組織と言われる存在である。
この局の主な役割は全世界の問題解決を行うと言うことやありとあらゆる状況に想定して危険から遠ざかっておく必要もあるために局がある場所は普通の環境や場所ではない。
局がある場所は次元空間とよばれる次元断層によって生まれた穴。つまりは、ありとあらゆる世界の境界線のひずみにあるのだ。
現実世界と鏡の世界のような形。
局がなぜそのような場所に存在していられるのか、局自体が一種の魔法と言う異世界の力や異世界の技術により作られた要塞船であり要塞と言う街でもあるからだ。
局の外に出ると要塞の船と言うのを現すように空は虹色の煌めきが流星のように走っている。街も人がまばらにいる程度であり建造物も数は少ない。民家とごくわずかな商業施設。その要塞船の街の中心にある局でほとんどのことがすんでしまうからこそ街にはそれほど建造物は多くないのだ。
なによりも、この要塞船に住んでる住民はほとんどが局の職員である。
拓斗はいつもの街並みを平然と見送りながら目的地の局の隣接した大きなタワービルに入る。
フロントフロアには多くの人が出入りしカウンターでは仕事で出向して来たらしい人がキャリーバックを傍らに手続きを行っている様子がうかがえた。
手続きを行う内容はつまりはこの局の安全性を考慮した目的などを聞く監査をしているのである。
しかし、拓斗はそのような手続きを踏まずともよい。拓斗の場合は首から下げた局の人間であるという証明IDがあるからだ。
フロントフロアの奥にある円形の祭壇のような場所があり個室エレベーターのような機械装置が複数ある。そこから多くの人が突然現れたり消えたりして行きかう。
そこは転送ゲートと呼ばれる異世界同士を繋げるための道。
手続きによって自分が行きたい場所を決めればすぐにあそこから送られるのだ。
この装置もまた異世界の力と技術が主に使われているためにすばらしい高性能をもっている。
「拓斗特別事務担当官長、どういたしたんですかっ!? なにか急用でも?」
突然現れた拓斗に装置の護衛監察官のとんがり耳の男(ドワーフ属)の一人が拓斗に声をかけにじり寄る。
彼の主な役職は役名のとおり装置の護衛であり装置の中から不審な人物が出入りしないかと言う観察も含まれている。つまりは警備だ。
フロントフロアでは大役を任せられてる重要な役人である。
「地球――人間界の日本に彼女と行きたい。今すぐ装置を稼働してくれ」
「わかりました、それはかまいませんが居場所も詳しく」
「ああ、そうだな。場所は――」
位置を言い伝えるとすぐに装置に乗り込むように指示が来る。拓斗とイリアはすばやく装置に乗り込み、駆動音がして数秒後視界にはさっきとは別の転送ゲートのフロントフロアが広がっていた。装置の護衛担当も男ではなく女の人が行っていた。
すぐに装置から出てフロントフロアで手続きを踏む。
出る際には帰り際がいつになるかは分からないこともあるので手続きを踏む必要性がある。
手持ちには財布と拳銃に携帯電話と焦ったあまりに持ち物が少ないことを悔やむ。
(もしも争いごとになれば拳銃だけでは物足りないが……)
そうおもいつつも結果としてその手持無沙汰で行くしかなくて、さっそく日本の東京にある国会議事堂地下エレベーター、つまりこの日本支部のゲートがあるフロントエリアから地上に上がる。
裏手庭の雑木林に隠れた個所には数台の黒のベンツが止まっておりそれに二人は乗り込んだ。
「何処まで行きますか?」
黒のベンツはゲート利用者のビジネスタクシーというやつだった。
拓斗は携帯を見せ、「神楽希」の居場所まで案内させた。
目指すは東京の今は亡き秋葉原だった。




