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英雄魔女の旦那  作者: ryuu
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最終戦争 中編

大変ながらくお待たせしました。

再開です。最終まであともう少しです、

 地下階層。

 そこには大広間スペースの部屋が存在し、無数の機械装置と受付カウンターが存在する。

 通称、『異次元転送室』などと言われている部屋でありこの場所にある筒型の装置を利用して異空間を利用してあらゆる世界に向かうことができる。

 その装置の管理室と言う表現が実際のところが正しいのかもしれない。

『異次元転送室』には数十人の今回の日本破壊作戦を決行したテロ組織『ディストピア』のメンバーがいた。

 メンバーたちは『異次元転送』のあらゆるシステムをハックして自分たちように改良を加えていた。

 それによって駆動音を奏でながら、異次元転送システムは頭上にある大きな輪の機械の穴に異次元のゲートを生み出す。異空間へとつながる扉。

 その扉は徐々に拡大していき天井を破壊していく。しかし、瓦礫の山は『異次元転送室』を埋め尽くさずに宙で停止している。それは『ディストピア』の構成メンバーが魔法でそれを抑止しているからだった。


「さぁ、もうすぐで世界を異次元へ飲み込み楽園を作り直すの」


 神楽希の姿をした『ディストピア』のボスは大手を振って歓喜の声をあげる。

 しかし、そこに興をそがせるような人の声がかかった。


「そこまでだ!」


 ******


 拓斗たちは『異次元転送室』の状態を見て衝撃を受けた。

 異常に拡大したゲートの存在。

 これ以上に拡大を広げれば街全体が飲み込まれかねない状況。

 一体『ディストピア』はなにをしようとしているのか。


「装置を止めろ!」

「遅かったわねぇ。拓斗さん」

「希ちゃんの身体を使って俺の名を呼ぶな、悪神」

「っ!」


 拓斗の一言に過剰に希の身体の憑依した『悪神』は反応を示す。

 肩を小刻みに不わせながら彼女が顔を上げた時に醜悪な笑みをみせる。


「あー、思いだしたの。そう、そうなのねぇ」

「ああ。全部思い出したさ」

「そう、ならなおのことあなたを殺さないといけないわ」


 結衣が魔法を詠唱を始める。

 その詠唱の隙に『ディストピア』の構成員が魔法を撃ち放つ。

 拓斗が右手に描いた魔術を発動して魔法を相殺した。


「自らの身体に魔術を刻んでも平気な身体になったのねぇ」

「ああ。おかげでな」

「なら、容赦なくいかないとねぇ!」


 今度は希に憑依した『悪神』本人からの攻撃が射ち放たれた。

 巨大な黒煙球。

 結衣が詠唱を終えて帯刀した刀を抜き放って黒煙を断ち切る。

 そのまま、希の頭上から刀を振り下ろすが希に憑依した『悪神』は行動を見切っていた。

 嘲笑しながら刀を手で受け止めて射ち払う。


「きゃぁ!」

「結衣!」


 吹き飛んだを結衣を受け止めた拓斗。

 その二人に集中砲火のごとく魔法攻撃が乱舞しかける。

 殺到する魔法は二人の目前で爆散する。

 希に憑依した『悪神』も何事かと呆け面を見せる。


「私もいることを忘れてもらっては困るかしら」

「局長!」


 局長のイリナスの両手からバチバチと電が弾け飛んでいた。

 雷光がすべての魔法を爆散させたのだ。


「異空間次元管理監察局局長、『雷光妖精』のイリナスですか」

「あら、懐かしい呼び名をご存知ですかしら。あなた、希ちゃんに憑依した何かかしら」

「くくっ、さぁ」


 拓斗は結衣とともに起き上がって希の憑依した『悪神』を見つめて思いだしてきたすべてを元に口を開く。


「過去にこの日本にはある神様が存在していた。この自然にあふれ精気や魔力に優れた人間界の中でも特に優れた日本の土地を守護する神。だが、その神はある時に異邦の神によって土地を乗っ取られかけたが自らのすべての力を代償にして守護結界を構築して日本の土地を守った。その土地神は記憶を無くし日本の街中で放浪者となってしまったが心優しい人間の手で社会人として生活を出来ていた」


 突然と語りだした拓斗にイリナスと結衣を含めて『ディストピア』の構成員は戸惑った。

 だけど、ただ一人希に憑依した何者かはただ笑うようになつかしみの言葉を口にした。


「ええ、あの時は本当に厄介な真似をしてくれたわぁ。おかげで私は魔法災害を引き起こすことでその結界を壊そうとした、だけど余計な介入者がそれを阻んだ」


 希に憑依した『悪神』の瞳は結衣を捕える。


「まぁ、結果として私は治癒を得るために長年の休養を必要とした。だけど、まだ日本の土地をあきらめきれずにいた。だって、この日本の土地はまさに私の世界を作りうるために最適な場所。だからこそ、計画をした。まず、私の回復も兼ねるために信者を再度集めなおした。そして、信者を集めたのちに人間をひとまとめに殺させる魔法のウィルスを開発させた」


 その人物がだれを指すのかはこの場の誰しもがい理解していた。

 哀れにも暴走したマッドサイエンティスト、イール・ハークライト・フォルフィッツ。


「さらには彼にはより強大な魔法をもつ魔女を殺してあわよくばその子孫を私の宿主とするべく考えたけれどしっぱいしたわ。全部あなたのおかげでね!」

「あんたがずっと世界を壊してきた行いは目に余る行為だ。神としての力を人々を自らの傲慢な罪で殺戮する所業は神にあらずだ」

「くくっ! いうわねぇ、元守護神が」


 結衣とイリナスの目が拓斗に集まった。

 拓斗の背中に向ける視線の圧。

 拓斗はそれを感じ取ってなお受け答えはしなかった。


「あの装置、あれはこの世界とおまえが異空間で作っている街を置換するためだろう。いいや、正確に言えば『ボロットス』という組織を雇い壊したあの『異空間次元管理監察局』をこの地に降ろすためか」

「ククッ、アハハハ! 正解! 大正解! よくわかったわねぇ!」

「イールが局にいた意味がない。なにかを仕掛けるためにずっといたんだろう」

「ええ。正解。まぁ、彼自身はただ実験を望んでいたからこそそれをかなえる実験場を与えると言ったら私の信者に簡単になったわ」

「クズ野郎め。希ちゃんにはいつ憑依した?」

「それはわかってるでしょ。あの時よ。ボロットスに彼女を拉致させた時」

「そうか」

「それまでは大変だったわ。ぼろぼろの老婆の身体を扱いながら良い身体を必要としたのよ。まぁ、タイミング良く私の宿主を生んでくれる女の妹が目に付いたわけだけどアハハハ」


 結衣がその時に飛び出した。

 彼女の手には刀が握られていた。


「私の妹をよくもぉおおお!」

「結衣待て! 希ちゃん自身の身体を傷つければ彼女は死ぬ!」


 ぴたりと結衣の振りかぶった刀身は希に憑依した『悪神』つまり、希の眼先で止まった。


「あなたはよい宿主を生んでくれるはずだったのに残念よ」


 『悪神』の手から黒煙が立ち込める。

 拓斗は左手に魔術を素早く書き込み黒煙がはなたれる寸前で結衣を転移させた。

 結衣が数瞬いた場所に黒煙が猛襲しており、どろっと地盤を融解させていた。


「あら、逃げられた」

「長い間の企てはどうだった悪神。これでおわりだ。今お前をこの俺が止める」


 拓斗の身体が発光状態に移行して右手と左手に黄金の剣が握られる。

 2振りの剣を構えて一呼吸おく。


「あら、私を殺せばウィルスは食い止められないわよ。それに装置も」

「装置なら俺の力で食い止める」

「……まさか、あなた………」


 拓斗が動いた。

 数秒後、『悪神』の前に拓斗が現れる。

 悪神はあまりの素早さに反応が遅れた。


「なっ!」


 悪神にむかい振りかざされた剣は希ちゃんの体を傷つけずに何かを立ち切った。

 それは憑依と言う能力。

 希ちゃんの身体から抜け出した悪神。

 その姿は醜悪なほどに醜い紫色のドレスを着た赤黒い瞳をした女性。

 女は希の身体に手を伸ばそうとするが何かが彼女を守ってその手は弾かれる。


「さあ、これで彼女の体には入れない」

「ちっ! ならば!」


 彼女の眼が拓斗の背後を見ていた。

 拓斗の眼は背後にいる結衣をとらえる。


「結衣、逃げろー!」

「遅いわ!」


 彼女が結衣に伸ばした手。

 次の瞬間、カタカタと笑う結衣。

 そして、隣にいた局長を突き飛ばす。


「局長!」

「あははは、すごいすごい! この身体にしておけばよかった!」


 彼女が地盤に手を触れた瞬間大きく、日本全体、いや世界全体が振動する。


「さぁ、この人間界はあらたな終幕を迎えるのよ」


 彼女の嘲笑が世界を震撼させるように街全体も共鳴して瓦解し始める。

 拓斗は俊足で動いたが結衣の身体に憑依した『悪神』は無敵。

 彼女の眼は即座に悪斗を捕えた。


「さようなら、元守護神」


 眼前に闇色の炎が蹂躙して一瞬で拓斗を呑みこんでいった――

次回は後編。

そして、エピローグへ。


次の掲載は未定。

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