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英雄魔女の旦那  作者: ryuu
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イール・ハークライト・フォルフィッツの逆鱗 後編

 独特な言葉づかい。

 そんな「かしら」なんていう言葉はただ、一人しか結衣には心当たりはない。

 結衣の人生を大きく支えてくれて、仕事でもそれは同じくある。

 結衣の上司である人物、イリナス・フィルネア・カルミアンが結衣に手を伸ばして立ち上がらせた。


「イリナス局長……死んだと思ってました」

「生憎とわたしはまだくたばってはいませんかしら。それに、彼もですかしら」


 結衣が局長に聞いて局長は勝ち誇った笑みで向こう側を見つめた。

 そこには駆けだしていくイール・ハークライトに向けて右手を拳銃のような真似ごとの形に指を折り曲げて人差し指を突き付ける最上拓斗の姿があった。

 あれだけ、ぼろぼろになっていた体はいつの間にか治癒していた。

 貫かれたはずの腹部も修復され、穴は見当たらない。

 一体、愛する彼の身になにが起こったのかと目を疑う。


「彼は正真正銘最上拓斗かしら」

「え」


 結衣の視線の先で拓斗がイールに向けて閃光の弾丸を浴びせまくった。

 イールが絶叫を上げる。


「局長! 結衣さん!」


 声がかけられた。

 結衣は声の聞こえた方向へ目線を向けて気付く3人の少女の生存。

 二人は結衣の部下で一人は今イールと打撃の撃ち合いを始めている愛する夫の部下。


「サルア、ミルフィア、伊莉亜ちゃん!」

「どうもっす、結衣隊長」

「ウチら手痛くやられちゃってぇ」

「結衣さん、いま治癒を魔術で施します」


 3人はどういうわけか傷が治癒している。

 二人に関しては治癒しているのはわかった。結衣の部下の二人ならば魔法を扱えるし体内に魔力貯蔵器官を有しているので睡眠をとればおのずと治癒がされていく。

 でもだ、それには限界もある。これだけの、傷も全くない回復はあり得なかった。

 さらに、不思議なのはイリア。

 彼女は睡眠をとれば回復するなんて体質ではない。魔力貯蔵器官を体内に優してはおらずせいぜい睡眠をとって回復するのは体力がせいぜいだろう。


(いや、睡眠なんてあれじゃない。だって、さっきまで彼女たちは意識を失って気絶していたってだけよ)


 言葉を探してもまず、何からどう言えばいいのか迷い口がおもわず半開き状態になってしまう。

 その間にイリアが結衣の手当てを済ませた。


「これで、もう大丈夫ですっす」

「あ、ありがとう」


 口から出たのは結局お礼の言葉だけ。


「ぐがぁああ!」


 イールが押し負けたのか。

 彼の壮絶な叫びが聞こえた。

 結衣はそっと見て思わず息を呑んだ。

 そこには結衣のしらない姿をした拓斗がいたからだ。


 *******


 最上拓斗が生き返ったのには理由があった。

 それは過去の記憶の復活。

 拓斗は自らがどんな『存在』であったかを思い出したのだ。

 それによって、本来封じ込められていた力を解放し、その力を用いることで局長たちを復活させた。

 その影響で身体のあちこちから黄金のオーラが放出し体中から波上の入れ墨が浮き上がり黄金の衣の幻影が身体から浮き上がっている。

 さらに、身体能力の向上でイールの膨大な神の力を圧倒して見せる。


「この僕は神の力をもった存在だ! なんで、なんで効かない!」

「いくら神でも、今の俺がこの場にいればそうなるさ。だって、ここは俺そのものなんだ。てめぇは敵地で戦ってるような状態だ」

「なに? どういう意味だ?」

「……答える義理はない!」


 地を蹴ると一瞬でイールの目の前に拓斗は現れ、顔面を拳で撃ち抜き、さらに腹部に二発、肩を肘で撃ち、止めに首を足蹴りする。

 吹き飛んだイールの先に素早い動きで先回りしてがっちりと捕まえる。


「あぐぅ……」

「まだ、お前が痛めつけた結衣の分はおわってない」


 背後にいる状態で両脇から手を首筋に回して首を圧迫させるように無理やり下に向けさせた状態で屈伸する。

 膝を曲げたことで捕縛されたイールも膝かっくんされたように地面に中腰で座らされる。


「うぎぁ……ぐぅ……」

「お前らのボスの正体はなんだ? 吐け」

「ボスの正体……くくっ……それは英雄魔女の妹さ……」


 さらに拓斗は頸動脈を圧迫させるように体重を乗せていく。

 それにより頸動脈だけでなくあばらや背中の骨をみしみしと言わせ始めた。


「あがあああああ!」

「そう言うことじゃない。俺はわかるんだ。今の希ちゃんは希ちゃんじゃない。希ちゃんに憑依してるのはなんだと聞いてるんだ? お前は何に従っている? ディストピアを従えてるのはどういう存在だ?」

「俺が答えるとでも思うのか?」


 容赦なく拓斗は体重の力を強め、背中の骨を壊す。

 悲鳴が上がる。解放したところにさらに背中を足踏みにして圧力をかけた。


「今のお前はもう下半身不随になった。これで子孫を残せねぇぞ」

「て、てめぇええええ!」

「人の女に手を出した罪は重いと思え。さぁ、言え。何者だ! ディストピアの首謀者はなんだ!」

「ぜってぇ……しゃべらない」

「そうか。その忠義見事だと言おう」


 拓斗は止めに足を思い切り振りおろした。

 クレーターが出来上がったほどの振動が起ったかかと落とし。

 そのとどめの一撃がイールの身体を破壊した。

 しかし、イールも半分神だ。身体が壊れても未だに死ななかった。


「ぼくは……まだぁ……」

「そうだな。だから、これが最後なんだ」


 拓斗は宣告しイールの頭を鷲づかんだ。

 イールから黄金のエネルギーが拓斗へ流れ込んでいく。


「あがぁああああああああああああああ!」


 徐々に生気を吸い取られでもしてるようにイールの体は痩せ細っていく。

 イールの目が白目をむいたころ、それはイールと言う存在の原形をとどめてはいないミイラと化した。

 拓斗はそのミイラを放り捨てると一息つく。

 そのまま、身体からオーラは消え、黄金の衣の幻影も消失した。


「拓斗!」

「結衣?」


 胸元に柔らかな女性の感触が伝わった。

 愛すべき妻の結衣が飛びこんできたのだ。


(いや、もう世間には妻じゃないことがばれたのか。だとすれば、もう俺らは夫婦じゃない)


 悲しげな瞳を浮かべながら結衣を突き放す。


「拓斗?」

「もう、いいだろう。それより身体は大丈夫か?」

「伊莉亜ちゃんが治してくれたから平気よ。それより、どういうことか説明して頂戴! あなたのさっきのあれはなに?」

「それは……」


 話をしようと口を開きかけた時だった。

 空から無数の戦闘機が飛び立っていく。


「あの方向は確か……」


 ちょうど、国会議事堂のある千代田区永田町方面である。


「なんか、嫌な予感がする。話は後にしよう。まずは国会議事堂に転移する。みんな俺のそばに寄ってくれ」

『え』


 全員がひそひそと「Hなことされるっすか?」「ええっ! まぁ、ウチは拓斗さんならいいっていうかぁ」「官長……けがらわしいですっす」「ちょっと、全員まとめてというのは私良くないと思うかしら」「た、拓斗!」と勝手な解釈を口にして言いまくる。

 拓斗は呆れながら額に手を置いて反論をした。


「お前らは俺をどう思ってるのかよーく分かった! とにかくだ! 今のおれは…に出来る力をもってるんだ。いいから早く!」


 全員が困惑した顔を浮かべた。しかし、次の時に彼の言ってることが本当なんだと理解した。足場に輝きだした道の黄金の光。さらに、奇妙な文字。

 全員がそれを見た途端に急いで拓斗の周りに集まる。


「よし! ワープ!」


 拓斗の宣言でその場にいる全員が黄金の光につつみこまれた。

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