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英雄魔女の旦那  作者: ryuu
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イール・ハークライト・フォルフィッツの逆鱗 中編

 イール・ハークライト・フォルフィッツという男は有名な貴族の家に生まれた。

 神と人が住まう世界、『イストルガイア』という世界の出身者であり貴族の家だったということもあり彼は非常に優秀な頭脳をもった。

 そのために、そのたぐいまれな頭脳を使い、小さい頃からはありとあらゆる学術書を読んだ彼には人生がある。

 そんな、彼は周りからもそれは称賛されるような功績も残したりした。世界を救う発明品を生み出したりなどがいい例だった。だが、そんな彼を称賛する者は誰一人としていなかった。

 なぜかといえば、それは彼の生まれにあった。

 彼は人間でありながらも神の力を有していた。それはなぜか。彼の生まれにそれは起因している。

 彼の父親は人間でありながら女神に恋をし結ばれ、女神は子供を産み落とした――半神という子供を。それがイール・ハークライト・フォルフィッツだった。

 ――イールの頭脳や神の力はその女神によるところが大きく彼の父親が貴族だったからこそ貴族の家の出になったというだけ。

 だけれど、世界の法則において人間と神の交わりは禁忌とされていたがために彼の家族構成は非常に複雑であり彼と言う存在は忌み嫌われた。

 さらに、母親は神としての存在をはく奪されどこかの世界へ飛ばされた。さらに、父親は没落貴族となった。

 だからこそ、イールは少しでも家を復興させ支えようと努力したが決してむくわれはしなかった。

 ある時に天啓が降りた。イール・ハークライト・フォルフィッツの世界に侵入して来た侵略者。そいつらは無差別にイールのいる世界を蹂躙し制圧した。力でねじ伏せた。自分らのしたいことをして自分らの理想郷を作るという計画のために。

 イールは侵略者『ディストピア』に憧れを抱いた。

 自らの理想を掲げるために自分が恐れていた物を簡単に破壊した彼らに。

 そして、イールは組織のボスへの加入を懇願して加入を果たした。それから、数年を置いて『ディストピア』の計画のもとイールは異空間次元管理監察局へのスパイとして潜入した。それも世界を壊す兵器を作るために必要なことだった上に敵を知るためにはまず味方としてふるまう必要性があったからだった。

 さらには、彼にはある目的があった。英雄魔女と言う存在に自分の子供を産ませ、その子供を使った世界制圧実験と言う野望である――



 ******


 英雄魔女の結衣は肩で息をしながら目の前にいる黒い肌をした巨人と立ち向かう。

 巨人の正体は、神の力と自称するイール。

 結衣はついぞ、イールから語られた自らの過去に怖気を感じて卑屈な暴言を吐き捨てる。


「それが野望……ぞっとするわ。本当にあなたと結婚しなくて正解だったということねぇ!」

「フフッ、ぼくとしては非常に残念だよ。君のその類稀なる魔力には興味をそそる。僕と君が結ばれて生まれる子供は非常に優秀になるだろう。そうしたら、その子供を使って世界制圧は容易になるわけだ。まぁ、『ディストピア』のやり方も非常に好きだし今回は人間の世界、この地球を侵略することが決定づけられたのは面白いい話だったよ。なにせ、ここは魔力が豊富な土地だからね。まぁ、一度目は失敗したよね、君のせいで」

「私の生まれた故郷を破壊させるものですか! あんたみたいなクズ野郎にね!」

「僕がクズ? あはは。クズはもっとほかにいるよ。そうだねぇ、たとえばボロットスの連中さ。あいつらは女子供に容赦のない連中だった。毎日のように世界渡航しては底を襲って金目の物や女子供を拉致して弄んでは捨てる。僕らはまだましだよ。世界を侵略するだけ。弄んだりはしないんだから」


 まるで、話にならないかのような回答。

 彼の言ってることはめちゃくちゃだった。


「狂ってる! 殺してることがクズの所業だってわからないの! 弄んでないからまだまし? ふざけないでよ! 罪もない人々を惨殺している行為こそが卑劣でクズな所業!」

「アハハ、何を言うんだろうね。罪ならあるさ。平和ボケした無知という罪だよ!」


 イールの巨体による剛腕が振り下ろされる正四面体の障壁によって剛腕を防ぐ。

 防ぐ葉いいが長時間に持ちこたえられそうにはなかった。徐々にひびが入りクモの巣状に伸びていく。

 一度、結衣は距離を取るようにして後退する。しかし、イールは巨体に似合わない素早さで彼女の背後に回る。巨体の蹴りが結衣の体を捕えて蹴り飛ばした。まるで、バウンドボールのごとく結衣は地面をはねて数百メートルも飛ばされた。

 いつまにやら、あの瓦解したリゾート施設前に来ていた。

 そこにいたのは無数のゾンビ集団。

 ゾンビの服装を見て結衣は気付いた。彼らは国土安全保障省の人間と元婚約者たちの群れだった。死体になって例のイールが開発した細菌魔法毒ガスによって身体に異常をきたしてゾンビとなったのだろうことはわかった。

 結衣に向かいそのゾンビが群がり始める。

 その光景を追いついてきたイールが街灯の上に立ち眺めながら嘲笑う。


「あははは、ぼくの研究成果によって食われる英雄魔女は見ものだねぇ。だけどさ、食われて身体がなくなると子供が産めなくなっちゃうから困るんだよねぇ!」


 イールは結衣の前に着地すると息を大きく吸い込んでゾンビ集団に向かって思い切り吐きこんだ。

 空気の砲弾。それが群れ一気に吹き飛ばした。

 結衣はその隙をついて後ろから魔力の形成刃で斬り付けた。


「なっ!」


 刃が彼を真っ二つに斬り裂きはしなかった。

 ――肩口で刃はとどまっていた。彼の体はまるで鋼鉄のごとく硬い。

 皮膚が鋼鉄製なのだと悟りし時に結衣の顔面に拳が振り下ろされた。

 女性の顔を容赦なく叩き潰すイールはわるびれたかのように「おっと」と言葉をもらす。


「美麗な顔に傷をつけたら君と子供を作る時になえてしまうなぁーあはは」

「あがか……ぅあ……ぐぅ……」


 地面に埋もれ伏した結衣からはただうめき声しか聞こえない。

 イールは後頭部を踏みつけてさらに息苦しそうに悶え動く結衣に恍惚し身震いした。


「女性が苦しむ姿はそそるよねぇ―あはは」


 イールの足場が輝きに忽然と包み込まれた。

 咄嗟の判断でイールは結衣から離れた。

 結衣を囲い守るように意志をもった光の鞭が現れる。

 魔女が編み出す魔法の最上位『使い魔』の召喚だった。


「それが君の使い魔か」


 生きた光の鞭の正体は蛇。

 無数の蛇が結衣を守るように現れる。蛇は八ついわかれた顔をもっている。


「オロチとうわけかーこれは面白いなぁ!」


 ヤマタノオロチ。日本の神話などに出てくる伝説の生物である。

 神をも食らうヘビで有名な伝説の生き物。

 イールにとっては厄介な相手だった。


「くくっ、面白いねぇ。でも、時代は科学なんだよ!」


 イールは懐から新たな発明品を取り出す。

 それはカプセル状の物体それをヤマタノオロチに投げつけると一帯のオロチがそれをパクリと口にした。

 途端に、その蛇の頭部が爆発してブラックホールが出現。それに飲み込まれた。

 他の蛇も必死にもがいて飲み込まれないようにしている。


「分離!」


 結衣が指示を飛ばすとオロチが一つの尾に数体の顔をもっていたはずがそれぞれにわかれて一匹の単体となる。7体の蛇となった。


「なるほど、わかれられるわけか。だけどね、ぼくが作った魔力次元転送爆弾で片づけられちゃうんだよねぇ!」


 もう一度同じ機械をイールがそれを投げ飛ばす。

 蛇が今度は尾で弾き飛ばそうとするがイールが指をぱちりと鳴らすと触れる直前に爆発した。


「接触感知式だけじゃなく手動でも可能さ。さぁどうするかなぁー?」

「調子に乗るなぁあ!」


 イールが蛇に注意をそらされてる隙をついて結衣が今度こそ首筋を斬りさいた。

 確かな手ごたえを感じて笑みをこぼす。


「馬鹿だねぇ。神は無限の力を有してるんだ。今斬ったのは自分の首だよ」


 結衣の自らの首筋から血がふきあがった。


「ぁっ」


 その場で倒れると蛇も主を失い挙動不審な行動を取り始めた。

 イールはにたりと笑みをこぼして爆弾を投下しまくって蛇を全滅させた。


「あははは、あわれだねぇ。神にかなうはずないんだよ。僕は不死身で無敵なんだ。相手が神でもない限り僕を倒すのは不可能だよ」

「そ、そんな……の……あり?」

「ありもなにもこれは僕と言う存在だからね。ディストピアという組織がなぜ、ぼくの生まれた世界を最初に破壊したかわかるかい? それは恐怖さ。神は強い。だから壊した。唯一神を殺せる道具を用いて『ディストピア』は『イストルガイア』を破壊したんだ」


 結衣も過去のその事件は知っていた。

『イストルガイア』という世界の消滅事件。過去には最強の世界とされて、その世界の出身者にかなう人種はいないとさえいわれていた。なぜならば、相手は神だ。イールの言うように神は不死身であり相手の技をあらゆる方法で覆せる力を有していた。だが、その神のいる世界がある時に何者かによって侵略され世界の歴史から『イストルガイア』は忽然と姿を消した。

 結衣はイールの話でそれが初めて『ディストピア』の仕業だとわかったのだ。

 さらに謎を抱くのは『ディストピア』はどうやって、その神を殺す道具を手に入れたのか。


「……ディストピアって……」


 謎の深まりを感じながらも眠りに落ちていく結衣を見てイールは慌てるように近づいた。


「おっと、死んじゃ困るよ。僕の子供を産んでくれなきゃね」


 そういって、イールはその身体を縛り始めたのちに彼女の首筋に光を当てる。

 結衣の眠気は徐々に覚醒し出した。寒気も消え始めた暖かさが今は感じれるほどだった。


「な、なにしたの?」

「傷を治したのさ。神の力だ。にしても、スパイってのは案外楽なもんだったなぁ―。僕は地球の出身者だっていっても誰も疑わなった」


 イールは結衣の服に手を伸ばしその服を破り裂く。


「ちょっとなにをするのよ! はなしなさい! 離せぇえ!」

「おとなしくしてるんだ」


 突然に結衣は身動きが取れなくなる。

 それもまた、神の力の行使だと理解した。結衣の下着もついにはイールの手ではぎ取られ上半身は露出して乳房が丸見えとなった。

 色白の純白の肌とピンク色の綺麗棚形をした頂き。

 イールがその胸に手を伸ばす。


「ぎゃぁああ!」


 イールの手を何かが貫通した。

 それは遠方から撃たれた弾丸のようだった。


「どこからの狙撃だぁああ!」


 イールは鬼のような形相で目を回して狙撃者を捜索する。

 見つけたイールは舌を巻いた。


「なぜ、生きてる? 確実に仕留めたはずだ! なぜ、あいつは生きてるんだぁあ!」


 イールはそう叫ぶと猛然と拓斗の死体がある場所まで駆けだしていった。

 結衣は助かったとほっとした。

 その結衣に近づく人影があった。


「え?」

「助けに来ましたかしら、結衣」


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