表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄魔女の旦那  作者: ryuu
17/28

局への襲撃

 異空間次元管理観察局。

 この組織自体は元々は日本政府の一つの組織に過ぎない小規模組織であった。

 極秘に未知の物体、超常現象に関する事件を取り扱う裏組織。

 ある時期から、そう言う事件が拡大し『異空間次元管理観察局』という名に変わり次元断層と呼ばれる場所を拠点にして活動をする秘匿組織に変わった。

 時代は進むにつれて地球の加盟組織から始まり他世界の組織とのつながりをもって局長もころころ変わった。

 今では『異空間次元管理観察局』という存在は他世界の秘匿組織なる扱いにあるがそれも今の局長が地球人でないということであるからであった。

 ――現局長、イリナス・フィルネア・カルミアンは局長室に座って受話器を置きながら大きくため息をついた。

 現在の状況を深刻に考えた他世界からの地球の破壊申請であった。

 イリナスはその申請に対して断固として拒否を申し入れた。

 だが、上はそれを許すこともなく総動員で他世界から船を使い地球に乗り込んでくるだろう。

 大規模な戦争が起ころうとしていた。

 その為に地球の政府組織である日本の自衛隊とアメリカの世界安全保障などに連絡をしたがことの状況は芳しくなく、局員がいる日本をアメリカは見捨てるつもりである決断を示唆している。

 日本は日本で政治的機能が機能しておらず、事件の後処理で手いっぱいだとなっており、しかも一部地域でデモが起り、強奪事件などが各地で引き起こり終わりがつかないと言う。


「なんだってこんなことになってるのよ」


 また、電話がかかって来たがイリナスは無視をする。

 しばらくして留守電に切り替わり音声通信が入る。

 それは婚約に関してのマスコミ問い合わせだった。

 そのあとは日本の問題と派遣先にいる『英雄魔女』のことについてだ。

 なによりもこの婚約問題でまずい状況なのは元ではあるが婚約者たちの怒りの矛先がある一人の男に向いてることである。

 でも、そうなる理由は偽装以外にもあった。

 この局や異世界には一夫多妻や一妻多夫制度が可能となる。それなのに、英雄魔女である彼女は『夫ができたから今後婚姻を行うことはない。一夫一妻を貫く』と明言してる。しかし、それが根底から崩れ嘘であったと知り、それは男がやらせたという考えが元婚約者候補たちにはそうなってしまう。

 彼らは『英雄魔女』を神聖視しているために彼女がまさか率先してそれを行っていたなど考えもつかないのだ。


「この事態で彼らが地球に乗り込んで仕事の邪魔をしないという保証はないしどうしたらいい……」


 件の男、最上拓斗の連絡先をコールするもなぜか、つながらない。

 まるで、何者かにジャックを受けてるように何度コールしても通話中になってしまう。

 数時間くらいつながっていない。

 (手が離せない事態でも通話回線は自動で応答モードに出来るようにしてるのだけど……なぜ?)


 婚約偽装の件を会話してから電話は音信不通。

 さらにその電話を邪魔する通信もあった。

 こちらにかかってくる局内マスコミなどの通信が殺到。

 本日何度目かのため息をつく。

 虚ろな目をしながら騒々しくも聞こえる扉に目を向けた。

 乱雑に扉を開け放ってかわいらしい小顔の『エルフ族』の部下の一人が入って来た。

 吉報では明らかになさそうだった。


「どうしたのかしら?」

「それが、件の局内に広まった婚約偽装疑惑によって英雄魔女の婚約者がデモを始め、自家用の次元断層船で地球に向かったとの連絡が入って」

「ッ! やっぱりそうなったかぁ。今すぐ彼らを止めて頂戴。地球にこれ以上局の連中が向かって騒ぎを起こせばそれこそ局の存在は明るみに出てしまい地球全土ヒステリック状態に貶めることになるわ」

「今やっておりますがそれよりも大変な事態が出たんです!」

「はい?」


 突如として局の全体が大きく揺れ動いた。

 一体なんだと言うのだろうか。

 イリナスはすぐに管制室に連絡をする。

 すると、官制室からの情報は『侵入者』という一言。

 そのあとはブツンと通話が切れ大きく局全体が揺れる。


「侵入者って誰!」

「ボロットスです!」

「なんですって!? 彼らは地球にいるはずじゃないの!?」

「それが例の地球の転送装置を乗っ取りこちらに乗り込んできたようです。彼らの狙いは局長と私たちです!」

「っ! ……ディストピアっ。奴らこの騒ぎで政府のすべてを破壊するつもりなのかしら。局員の優秀な人材を手元から放したのも計画だったわけかしらね。まんまと乗せられたかしら。やってくれるじゃないイール・ハークライト・フォルフィッツ!」

「局長! 急いでこの場から逃げてください!」

「逃げる? どこへ? 緊急用の脱出船を使えば拓斗たちが戻れなくなるのよ!」

「ですが、局がなくなればどちらにしても同じです!」


 部下の言葉は正論である。イリナスは苦渋の決断を決めて局長室から部下と一緒に飛び出して地下へと向かう。

 地下に、緊急用の次元断層脱出用船がある。

 転送装置などが使えない事態に対して作動を許された緊急用の船だ。拓斗たちに使う予定であったが今イリナスは自分が使うことになることにひどく後悔をする。


「ボロットスの奴らの相手はしてるの?」

「はい。我が局に残ってる精鋭の鎮圧部隊で当たっています。ですが、武装部隊に比べて戦力は劣るので壊滅は免れないかと」


 鎮圧部隊は基本的には暴動鎮圧部隊であり対テロに訓練された兵隊ではない。武装部隊のように対テロに組織された軍隊よりは数倍戦力が劣るのだ。


「時間稼ぎ程度ってこと……ったく……嫌になる」


 地下にやっとたどり着いて、広々とした船内室に小型の円筒形の機械船が一隻あった。

 規定人数はわずか20名程度しか乗れない船。

 つまり、この局全員は乗れないので多くの人がこの場に残される。


「局長は急いで乗って地球へ向かいこの状況をお知らせください! 英雄魔女に!」

「あ、あなたはどうするの!」

「この場で足止めを行います。護ぶ運を」


 イリナスよりもっとし若く華奢でしかも女性であるのに勇敢な顔立ちで迫りくる盗賊集団を相手に魔法を撃ち放つ。

 イリナスは奥歯をかみしめて急いで船に乗った。

 船は自動操縦システムになっており行き先と場所と日時をしていさえすればあとは大丈夫。

 船が大きく揺れ動く。

 ボロットスの連中が攻撃を放っているのだ。


「早く動きなさい!」


 駆動音がなって船の前方のハッチが開く。

 そのまま船は超高速で空へ発射する。

 液晶画面映像には地上の局の映像が映り込み壊滅していく光景が映った。


「くっ。ディストピア……ぜったいゆるさない」


 だけど、気がかりなことがあった。

 あまりにも情報の漏えいが早い。

 婚約者たちに出回る偽装婚姻疑惑の速度にしても地球の日本政府に対しての魔道生物の情報。

 何かが引っかかる。

 現場で逐次あのような映像を生で流し込んでいない限り無理だ。

 聞いた限りでは地球の戦闘では現場にマスコミがいたと言うが実際、マスコミも報道できる状況ではなかっただろう。

 なによりも、自衛隊などと言う存在がそれを許すはずがない。

 ならば、民間人で誰かが情報を流用した。


「地球についていろいろとその辺は調べてみましょうかしらね」


 イリナスは船の中でそう決意を固め疲れた体を休める様に眠りについた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ