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英雄魔女の旦那  作者: ryuu
14/28

内部スパイと国会議事堂爆破 前編

 黒煙渦巻く警視庁だった場所。

 警視庁と今は表現するにはあまりにも酷な瓦礫の山がそこにはあった。

 多くのマスコミと報道陣と救急隊、警察などが出向き現場の状況を捜査していた。

 数分前に救出された拓斗はその警視庁の残骸を遠目から救急車の中で見ていた。

 先刻の爆破の恐怖が鮮明に脳裏にフラッシュバックする。

 爆破の瞬間に消えた警察官に扮していた謎の男。

 粉砕していく壁と言う壁。交通管制センターに残っていた結衣たちの悲鳴。

 報道では爆発物の不発弾が遅延さによる爆破を起こしたとされている。

 しかし、実際は違う。

 拓斗たちを狙いをつけて爆破させている。あらかじめ拓斗たちを来るのを予測し導いているかのような計画だった。


「内部にスパイがいる」


 ぼそりと呟きながらメールの着信が入り即座に端末を取り出してメールの確認を行う。

 ここで、空間ウィンドウを表示することはできない。

 この技術には今この人間の世界では流通されていない先の技術なのだからその辺も局の人間として隠密な行動である。


「チッ」


 局長からのメールであり杉並区にての爆破や不審な動きはなしという報告である。

 つまり、彼らは行動に未だ移していないのかそれとも予測が外れだったと言うべきなのか。

 現場の捜索を未だに続ける警察を見ながら拓斗は重い腰をあげて立ち上がると救急隊員が引きとめようとするがその手を振り払い警視庁だった瓦礫の山に近づいていく。

 マスコミと報道陣が気づきこちらににじり寄ってくるがすぐに政府の派遣された護衛たちが周りを囲い拓斗を守ってくれた。


「最上さん、むやみに動かないでください! 現状あなたは今注目の的なんですよ!」

「わかってるが結衣たちはまだ見つからないのか! 俺が直接探す」

「最上さんその傷では無茶です!」


 護衛の一人の男が気にして拓斗を止めようとする。

 拓斗は強引にも立ち入り禁止の黄色テープを超えて入り込む。

護衛たちは警察官に立ち入りを止められ拓斗だけが中に進んで行ってしまう。


「あ、君ここは立ち入り禁止だ!」


 そこへ現場の捜査官が拓斗に近づいていく。


「しらねぇ! 結衣たちはまだ見つからないのかよ! こうしてる間にも他の場所では奴らが動いてるんだぞ! 今の日本の警察がこうも頼りにならないのか! あ?」

「っ! 言いたい気持ちはわかるがこっちも必死で捜索してるんだよ!」


 現場を捜査中の捜査官といがみ合いながら拓斗はただ一人生還したことを歯を食いしばり後悔した。

 どうせなら、あのまま瓦礫につぶされ死にたかったと。

 拓斗が生き残れたのは幸運にすぎない。

 爆発物は魔力を使ったものであり魔力爆破と言う一種の人間の世界とは別世界技術のもの。

 この別世界技術の魔力による効果は拓斗には効かないがために瓦礫による殺傷程度で済み身の防衛は容易に簡単だった。

 あらかじめ用意していた局で開発されていた防弾ベスト。拓斗はそれを下に着込んでいたことや防刃防弾ブレザーが瓦礫や爆風の衝撃から防いだのだ。

 それでも、軽度の傷を負った。


「一人見つけました!」


 後悔してる傍らで聞こえてきた朗報に拓斗は思わず駆け出した。

 捜査官の手を振り切りそばに寄ってみれば、見つけられたのは結衣だった。

 結衣と折り重なりあうようにイリアや武装部隊の彼女たちの姿があった。

 結衣が魔法によって全員を守ったのだろう。


「結衣! しっかりしろ結衣!」


 結衣に向かって声を投げかけるが結衣は全く起きることはなかった。心配になって一緒に行こうとするが誰かが拓斗の腕を掴んだ。腕を掴んだのは捜査の現場責任者らしい厳格で強面の40代を超えた黒服姿の男性。

 その間に結衣を救急隊が運び出して結衣を救急車に乗せていく。

 次々と彼女たちを担架に乗せ救急車の中へ。


「さぁ、君もここを離れるんだ!」

「待てよ、他にもまだいる! 防衛庁長官はどこだよ!」

「それなら、今遺体で発見された」

「っ!」


 目の前の責任者が後ろを一瞬見て誘われるように見れば遺体袋を乗せた担架が出てきた。


「そうか……奴らの目的は……」

「何か言ったか?」

「いや」

「君が防衛庁長官の知り合いだと言う話は上から聞いてる。だからと言って無断で事件現場には足を踏み入れないでくれ。我々警察も今は数が少ない。先の交通テロや連続する不審な殺人事件に手いっぱいだ。交通テロのせいで警察も今は東京都全域に信号代わりに一人一人信号代わり信号の場所にいることになってるためにここに来てるのは少数。捜査に不満があったのはわかるがそのこともわかってくれると助かるよ」


 肩に手を置きながらその捜査責任者が拓斗の前から離れていく。

 拓斗はすべての内容を聞いて何か不可解な違和感を感じた。

 彼ら『ディストピア』の目的は今回交通管制センターを自分らの環境作りにという名目で壊したように見せかけたが実際は拓斗たちを導かせ、同行者としてついてくるであろうことまで計画し防衛庁長官を殺害するための罠であったことがわかった。

 あの警視庁内部にいた警備の警察官はそのテロ行為の遂行を管理する見守り人であっただろうこと。


(だけど、本当にそれだけの意味か?)


 交通管制センター爆破により東京全域で警察は巡回パトロールと信号の役目を担うほどの重責を行い事件に出向けていける数は激減してる。

 つまりは――


「警察の動員数削減、交通の移動性の利便性、俺らの足止めだとしたら……」


 先ほどの局長からのメールを考えた。

 杉並区では未だに事件は起ってはいない。

 もし、事件を起こすならばもう起きていてもおかしくないはずだ。

 警察がこっちに来てるチャンスをつくはずである。


「いや、でもよく考えろ。杉並区には警察はいる。考えると今現場動員できない状態にあるのはここ千代田区だけ」


 すぐに端末を取り出し地図を表示した。事件のあった個所をそれぞれ確認していき交通管制センターはやはり交通環境の乱れと警察の動員削減と局員らの足止めおよび長官殺害の罠として考えられた。

 だけど、もう一度あの爆撃のことを考えた。

 一枚の瓦礫が目についた。

 最初は確かに何の変哲もない壁だったのに後から触ったら魔力を感じた。

(あの爆発は本当に元から施されたものなのであろうか)

 そう考えるとさらなる疑問がまた出てきた。


「オーブは結局イリアが見つけた欠片一つしか出てはいない。辺りにないもんな。爆破後ならオーブ程度は爆破で粉みじんにはならないから出てきてもおかしくないのにない。やはりそうだよ。そもそも環境のための柱にするならば瓦礫の山にしたら元もこうもない……」

「おい、今から防衛庁長官の死亡で国会議事堂で緊急会議があるらしいぞ」



 誰かがそんなことを言った。

 報道関係者だろう。

 拓斗は頭の中のパズルのピースが重なり合うようになっていく。

 ディストピアが環境を作る目的で今邪魔になる者は減っていってる。

 ならば、次狙うならばより大物が集まる場所――


「まさかっ――」


 国会議事堂の方を向いた。

 次の瞬間、国会議事堂が爆発する。

 とてつもない爆発音が響き、警察関係者及び報道関係者が唖然として近場にある国会議事堂を崩れてく姿を見ていた。

 報道とマスコミ関係者はすぐにカメラを回して移動。警察や救急車も一部がそちらへ緊急移動。


「やつらの目的は多くの議員の集まる国会議事堂か。いや、最初から次の標的は国会議事堂だった」

 

 現在の状況から考えて交通管制センターの2度目の爆破で警察庁が瓦解しその原因で国の防衛庁長官が死亡したことで国の防衛に緩みが出る。そして、警察と言う組織は今はうまい機能を維持してはおらず更に防衛体制がなっていない。さらにさらに今回の事件で局の調査チームの人は大打撃で拓斗以外が緊急搬送状態。

 動ける者をドンドンと減らす絶好の機会を『ディストピア』が逃すはずがない。

 政府が集まるのを予測できるはず。

 そして、集まって全員一掃する絶好の機会が巡るチャンス。


「もっと言えば国会議事堂は局とを引き結ぶ要の転送装置が地下にあり日本政府の要と言える場所。そこを破壊して地下の装置を占領するのはセオリーか。今までしてこなかったのが不思議なくらいだよな」


 携帯の着信が鳴り響く。

 茫然自失の表情の中で拓斗は端末の通話ボタンを押して出る。


『――拓斗特別事務担当官長かしら。政府からの連絡でこちらでは状況をよく理解していますわ』


 突然の局長からの電話だった。

 彼女が何を言うのかはわかっていた。


『あなた方は局へ帰れない状態となりましたわ。しばらく調査を続行してください。現在、そちらの世界政府は通信途絶および日本政府の機能を停止したと考えます。そして、日本の転送装置が『ディストピア』に乗っ取られたことも考慮し現在をもってすべての『転送装置を緊急停止』しています』

「でしょうね。今目の前で崩れていった国会議事堂を見ていました。自分の調査不足でした。すみません」

『強気な特別事務担当官長らしくありませんかしらね』

「強気? この状況で強気でいられたら大分神経イっちゃってますよそいつ」


 皮肉な笑みを浮かべながら瓦礫を踏みし絞めて黄色のテープを超えて出て急いで国会議事堂に向かった。

 その間に結衣たちを気にしたが結衣ならば仕事を優先すると考え救急に任せた。

 例の爆破後に出向いた政府の役員がどうにかしてくれるだろう。


『現状、なにかわかったことありますか?』

「『ディストピア』は局長の推測通り日本と言う国を拠点として人間の世界を乗っ取ろうとしてるみたいですね。人間の世界で日本と言う場所は一番魔力豊富で環境を作るには最適ですからね。特にその首都、東京から侵略を始めているのでしょう。交通網をダメにして警察などに大打撃を与え止めに政府を消したのでしょうね。俺らのこともこうして足止めをした。うまいやり方ですよ」

『……どうするつもりですか?』

「……あいつら結衣や仲間たちを怪我させた。しかも、多くの人を殺して何とも思わずにいる!」


 怒りのたぎった胸の内をすべていい、風に乗って足元に転がって来た虹の花弁を手に取った。

 目の前には崩れ去った国会議事堂を前にしている。

 警察の目をかいくぐって中に侵入して少しでも情報を得るために周囲を動き回ってみる。


『ならば、朗報を上げます。我が局に『ディストピア』の構成員がいたことはわかりましたかしら』

「ええ、調査でおおよそわかったところです」

『――構成員ですが、内部の中の特に研究部の者だとわかりました』

「やはりですか」


 拓斗は足を止めた。

 なぜならば――目の前に人が立っているからだ。

 その人たちがこちらを見ながら薄く微笑みを向けていた。

 電話を続けろと言う合図だ。


『やはり?』

「おかしな話なんですがね、事件調査していて爆破する直前に研究部は現場から何か取った証拠を何も明かさずただ分析調査するとかいって現場から離れていき別の事件現場に先に向かっていったんですよね。何をしてるのだか。そういえば、研究部から連絡ありました? まぁ、ないでしょうけど」

『ありませんね』

「もしかしたら、研究部全員がグルかもしれないですよね」

『まさかっ』

「局長、一つおたずねしますがフラワーハウスにある菊の花ってあれ、どういう効果があるか知っていますか?」

『あれは研究部が数年前より開発している特殊な花で詳しくは知り得ていません。ただ、魔力増幅作用をもたらす特殊なものだと聞いていたかしらね』


 拓斗はもう確信したとばかりに目の前の『裏切り者ども』を睨みかえす。

 よく考えるとイールと言う男のボディーガードマンもタイミングを合わせたように消えていた。

 何もかもがすべてタイミング良く事が運び過ぎていたのだ。

 壁の爆破も最初に触った時は何も感じなかったのは最初から何の変哲もない壁だったからだろう。

 『後から爆弾は研究部が仕掛けた』のだ。拓斗たちを罠にはめ足止めさせるために内部の者が同行して。

 『英雄魔女』と言われる結衣でも気付かないのはあたりまえだった。


「局長、調査は一度中止で――殲滅命令をください」

『っ! 何を言っているのかしら? 今回のはあくまで調査であなたに戦闘力は皆無――』

「ここまでされていて未だに調査しろと言うのは酷ですよ。 俺は手っ取り早くいい解決方法は殲滅しかないと思います」

『……拓斗特別事務担当官長。そこに誰かいますか?』


 ふと、電話口でも奇妙な圧迫感を感じ取ったのだろう。

 局長が生唾を飲み込みそう聞いてきた。

 拓斗は笑いながら否定をした。

 局長は数分無言の後殲滅許可を出した。

 拓斗はつづけて結衣たちの現状を聞いて安心を浮かべた。

 やはり、政府は手回しが早い。


「情報はしっかりと聞きだしてから殺しますよ」


 拓斗はそういってから電話を切る。


「電話はおわったのかぁい腰ぎんちゃく君」

「てめぇら全員かかわってるのは意外だったよ」

「ああ、だって研究部はこれで全員になってしまったからね。研究部の裏切り者は全員粛清したから」

「裏切り者はてめぇらだろう」


 目の前のイールを先頭にした研究部たちを前に拓斗は銃を取り出そうとする。


「おっと、動くなよぉ、動いたらこれを放つ」


 掲げて見せたのは不気味ないぼ状の形をした何か。


「外で今マスコミが押し掛けて絶好のお披露目日和だ。コイツを最後にはなってフィナーレ」

「ディストピアについた目的はなんだ!」

「そんなの簡単だよ、僕の実験場をくれるっていうからさ」

「てめぇのような男と結衣が結婚しなくてつくづくよかったよ!」


 拓斗が銃を引き抜き、イールがいぼ状の小型機械を投擲して爆発した。

 それが二人の戦闘の火ぶたの始まりとなった。 



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