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ネト恋  作者: 名も無き作家
3/3

~第3話~:幸せ

いきなりの展開と落ちたショックで腰が抜けてしばらくじっとしていたが、一緒に落ちてしまった天音君のことが頭をよぎって、立ち上がった。

『天音君・・・、天音くーん!!』

一生懸命に天音君の名前を叫んだがこの広い部屋に天音君はいないようで、ひたすらに自身の声が静かな部屋にこだまするばかりである。

私はこの空間に変な感覚を覚えながら、部屋の中に入っていった。

大きな図書館を思わせる棚には、本のほかに人形が飾ってあり、それは今にも動き出しそうだ。

『なんだろう、この部屋・・・なんだか気持ち悪い』

周囲を警戒しながら少しずつ進んでいく。

『カタカタカタカタ・・・』

あたりにある、人形たちがいきなりカタカタと動き出した。

『ひっっ・・・・・・』

その人形たちは、私に向って飛んできて、持っている凶器で攻撃を繰り返してきた。必死によけながら走った。

ハァハァ息をきらしながらも、走りつづけ私は床に垂れた鏡用のカーテンに足をとられこけてしまった。あとずさりするが、後ろにはもう、大きな鏡があるだけで先はない。

誰かの、嘲笑うかのような声が辺りから聞こえてくる。そして、何体もの人形が飛び込んでくる瞬間、今度は後ろから声が聞こえてきた。

『こっち』

そういって、私は鏡の中へとひっぱられた。人形たちは、鏡の中には入れないようでもう追ってはこない。

ホッとした。

そして、この声と口調でわかった。助けてくれた人、それは私の別れた彼氏だった。

『ごめんね。僕のせいでこんな目にあわしてしまって・・・・・・』

何がどうなっているのかわけが分からない。私は、さっきまでの不安と恐怖、そしてこの状況とが混ざり合ってなぜか涙が溢れてきた。

どうして、こんなところにあなたがいるの?・・・・・・口からはこんな一言も出なかった。でも、彼は私の言いたいことを察したらしく、私の顔をじっと見ながら苦しそうに口を開けた。

『君こそ、こんなとこにいちゃだめだ。さあ、あそこにあるドアから行くんだ。』

少し離れた浮いているドアを指さす。

『待って!友達もこの変な世界に落ちたはずなの!!』

『そうか。じゃあ友達を見つけなくちゃね。』

ぐっと彼の腕をつかむ私の頭をそっと撫でてくれた。

『その必要はないよ。』

またあの声だ。どこからともなくする声。

その瞬間、ふわふわ浮いていたのに、いきなり引力が働いたように引っ張られた。

『くそっ。あいつに見つかった。』

私をかばうかのようにぎゅっと抱きしめられながら落ちていくと、地面が見え、私たちは下にあった大きなキノコに落ちて助かった。

なんだか、メルヘンなものばかりで、自分のおかれた危機を忘れそうになる。

そして、目の前にはあの声の主がにこにこ笑みを浮かべながら立っておりこちらによって来る。

『そんなこわい顔しないでよ~』

その人と時也は面識があるようだが、時也のほうは私の前にでてかばうようにとの人を睨みつけている。

そして、ふと天音君の姿が目にはいった。気を失っているのか、がくりとした姿勢で地に座らされている。

『天音君!!』

『あ~、この子、天音君っていうんだ。なんか一緒にこっちの世界に入ってきたからとりあえず捕獲しといたんだ☆』

天音君の髪を引っ張り、顔をあげさせる。

『愛二。その子も、こいつも関係ないだろ。返してやってくれ。』

時也が必死にその愛二を説得しようとするが、全く聞こうとしない。

なんとかして、こいつから逃げなくてはいけないのが伝わってくる。

愛二が少し悲しそうにそして、怒りがこもった口を開けた。

『覚えてるだろ?美菜のこと・・・。あいつはさ俺がこっち側の人間だと知っても、笑っていつも俺のそばにいてくれた。本当に幸せだったよ。三人で遊んで、笑いあって、時には喧嘩してさ・・・。なのに、なのになのにさあ??

あっちの世界で殺された・・・?あいつはずっとここにいれば死なずにいたんだ。なのにお前はこの世界から出るなんて言い出すから・・・俺、この世界からでれないし、一人になっちゃうじゃないか!もういやなんだよ、失うのも一人になるのも。だから、

お前があっちの世界に目を向けた現況のその女を殺したらいいんだって、わかったんだよ。』

狂ったように話す愛二は、もう正気じゃないのだろう。でも、こいつの言っていることもわかってしまう自分もいた。一人はつらいということはいたいほどわかったから。

時也は、苦しそうな顔をしていた。

今ならわかる。時也が私に分かれを告げた理由が。

『あなたの苦しみは、私の思っている以上だと思う。一人は怖いよね。だから、私が残る。だから、天音君はかえしてあげて?・・・私が残れば、二人ともきずつかないでしょ?』

私は、時也の前に立ち、言った。

『駄目よ。あなた自身もちゃんと幸せにならなきゃ。』

上から、小さな光の粒が落ちてきて、私の手にのった。そこから優しい声が聞こえる。

『美菜・・・?』

その声は、さっき話していたみなさんらしい。二人はすごく驚いていた。

それもそのはずだ、死人の声がするなんて。

『愛二、ごめんね。悲しい思いさせちゃって。私は死んじゃったけど、この世界での私が少しだけここに記憶されてたみたいで、出てこれた。もうおわりにしよ?あなたは一人じゃない。』

愛二は、さっきまでのさっきがなくなり、その場に泣き崩れた。その時、私はそのそばによりかかる美菜の姿が見えたような気がした。

そして、光はより一層に輝きを増して、すべてを飲み込んだ。

『サヨナラ』

私が目を覚ましたのは、その言葉が頭に響いてすぐだった。

自分の部屋のベットで起きた。そして、目覚ましの音がうるさく鳴り響いていた。

自転車をこいでいつものように登校する。何気ない日常。でも、前と少し違う。

それは、両側に大切な二人がいて、すごく幸せに笑えるようになったことである。


ずーーーーーーーっと投稿できなかったのは、いろいろ事情がありましたが、それでもこの作品を最後まで見届けてくださった方。ありがとうございます。

こんな、まだまだうまく書けない自分ですが、頑張っていきたいと思っています。本当に読んでくださりありがとうございました。

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