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想像武器の四刀流 一話 市役所決戦  作者: 山石 光軍
ファーストコンタクト
9/29

(8)

 食パンをくわえながら走って帰った。

 今、自分がやっている事がわからない。

 だから、他の事を考えることにした。

 常識の話。

 確かに、裕也の言ってる事は間違ってない、と思う。

 策士の言ってる事を間違ってないと感じるなら間違ってない、筈。

 ……朝の事のせいでイマイチ信用し切れて無いな。

 少しは信用させろよ、少しぐらい、ほんの少しでいいから、気分ぐらいでいいから。 信用が、最終的に戦う理由となるのだから。

 真面目な話だったんだから。

 目標。

 本能のセーブ。

 トラウマ。

 全盛期が小5の時とか考えても悲しいだけだけどな。

 確かに、力は取り戻したい。

 姉ちゃんに押し付けている責任も。

 四刀流の後継者なんてアホらしい前時代の遺物のような責任を。

 俺が背負うべき責任。

 俺が逃げている責任。

 親殺しの、責任。

「まったく、呆れるほどアホらしいよ」

 吐き気がする。

 何に?

 決まっているだろ、隠すな。 自分の生き様に対してだろ。 わからないふりをするな。 俺は今、呼吸する事すら姉ちゃんのお陰だ、絶対に忘れるな。

 考えないとなのに。

 自分が、考える事を放棄している。

 ふざけんな、これのどこが善性だ。

 責任を、優しい人に無理やり押し付けて。

 自分の無能に甘えて。

 責任を取らない。

 そうやって生きてきた。

 親殺しのツケも払わず。

 姉ちゃんに全て頼って。

 行動を裕也に決めさせて。

 主張を亜織に貰って。

 俺は何をやっているんだ。

 俺は何かやっているのか。

 俺は何で生きてるんだ。

 俺は、生きているのか。

 わからん。

 わかりたくない。

 考えたくない。

 「何を考えてるんだ、俺は」

 常にニヤニヤしている策士なら「人間は助け合いながら生きているんだよ? 君だって、散々僕等を、そして赤の他人だって助け続けているじゃないか。 君は君でいいんだよ、成長し続ければ」なんて言うんだろう。

 面倒臭い事は全て寝て凄す交渉人なら「無駄な事で悩んでいるわね。 あなたのような腐れ脳味噌じゃなくたって、人間は出来る事も悩める事も限られているのよ。 目の前の事を悩み続けて、その悩みが目の前になるまで進み続ければいいでしょ」なんて言うんだろう。

 そして、人類最強の天壌市治安維持室最高責任者なら一言でこう言うのだろう。


 お前は私が守る


 本来、姉ちゃんを俺が守るべきなんだろう。

 どうして、こんな風になってしまったのだろう。

 いや、やる事はわかっている、順を追って強くなればいい。

 それが出来ないと、全てが駄目になる・

 食パンを食いながら走ろう、無心で。

 考えるのなんて先送りだ。

 何も考えない。

 なんて、思ってる矢先。

 俺は、学校の二キロ先、十字路で女の子とぶつかった。

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