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 まあ常識を探すと言っても特にやる事は思いつかないし、そもそも反省文を書いている途中だから部室に居ることにした。

 帰る理由が無いしな。

 しかし、反省文って本当に面倒くさい。

 反省文って反省させる為じゃなくて面倒くさがらせて問題起こさない為にやってんじゃねぇの?

 まあ、反省文書くような人間って大概反省なんてしない奴なんだろうな。

 先生方もそんな奴は勝手にやってろって事なのかな。

 ……駄目だ、反省文に集中出来ない。

 反省文に集中なんて、一生出来る気もしないが。

 なんども言うが、朝のあれは正当防衛だ。 自分の行動をどうしても反省出来ないのにどうして反省なんて出来る。

 正しい事を悔いる理由なんてどこにもない。

 自分を、大切な人を守る事は何時だって正しい。

 姉ちゃんはそう言っていた。 先生の話を聞く理由なんてどこにもないが、姉ちゃんの言う事なら絶対に信じる。

 姉ちゃんのおかげで、俺は死んでいないのだから。

 姉ちゃんの為に生きているんだ、姉ちゃんが言うのなら全てを正しいと言い切り戦っていくという決意が出来る。

 …………集中できねぇ。

「裕也、反省文手伝ってくれないか?」

「嫌だよ。 面倒くさいし、楽しくも無い」

 親友って冷たいよな。

「亜織、反省文手伝ってくれないか?」

「…………ZZZ」

 また寝ていやがる、オンオフの切り替え早いな。

 尊敬はまったくしないが。

 軽蔑しかできねぇ。

「だいたいさ、反省文なんて校長脅せば終わりじゃないかな?」

「それだ!」

 裕也から天啓を得た。

 こんな当たり前の事が思いつかなかったなんて。

 恥ずかしい。

 埋まって爆発したい。

「反省文を書くことに反省したぜ!」

「別に上手くないよ」

 ニヤニヤしながら突っ込まれた。

 まあ、勢いだ。

 気にしない。

「だいたい大和は高校生初日にあんな事やっといて今更暴走族を倒して反省文書くなんておかしいと思わないのかい?」

 思わない。

 思わなかった。

「大和ももう少し天壌ってものがなんなのか考えてみるべきだよ、流されようとしたら流され続けるよ?」

「どういう事だよ、天壌に流される?」

「自分の運命は自分で切り拓く物だってことだよ」

 意味深に笑った。

 みていてイライラする。

「お前はどうやろうとしてるんだよ」

「もう一人欲しいって事だよ」

「名前ってそんな大切な物か?」

「偶然、三つ揃ったんだ。 もう一個が自然に揃わない以上自分達でやるべきだ」

 難しい、ってより意味がわからない。

 反省文黙って書いてればよかった。

「裕也、ギブだ。 抽象的過ぎて難しすぎる。 要約してくれ」

 なんでこんなにうっせぇんだよこいつ。

 こいつが成績よければもっと上の高校行けたのに。

 勉強しろ勉強。

「大和、僕が、亜織が頭がイカれてる、だから常識が欲しいんだよ」

「最初からそう言え!」

 木刀で一発。

 こいつ面倒だ、とても。

「とにかく、お前は常識を持った人間が欲しいんだろ? どうやって探せばいいんだ?」

 もう話を聞いていたくない、今すぐ動きたい。

 死ぬほど面倒くさい。

 考えたくない、考えたら死にたくなる。

 自分に。

 裕也はニヤニヤとしている。

 とっても。

 死ぬほど。

「今から帰って、走って、食パンくわえて」

 食パンが手渡された。

 やるしかねぇのかよ。

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