(17)
「さあ、待たせてごめんな。 行こうぜ夏霧」
二分。
二分で俺は四人のバイクを全て斬った。
疲れたわけじゃないけど今すぐ教室に行きたい。
これ以上登校中に世紀末とエンカウントするのは御免だ。
刀を持たずに戦うのがここまで面倒くさいとは思わなかった。
これ以上来たら素晴らしき日本の法律である銃刀法違反を破りたくなる。
天壌市の条例には自衛のための武器の携帯は認められてるけどな。
いや、でもこれは間違いなく自衛だよな?
使ってよかったんじゃないのか?
「…………大和はいつもこんな感じなの?」
見てみると、夏霧は完全に引いてた。
そりゃそうか。
「いつもは木刀を使ってるよ。 昨日粉砕されたから今は持ってな」
「そう言うことじゃなくて!!!!」
なんかお怒りですよ、人の話は最期まで聞こう。
なにやったっけ。
「君は昨日死にかけたんだよ、私がいなかったら死んでたんだよ!? なんでそんなに戦えるの!?」
感情的になってるよ。
どうしよう。
登校前なのに。
「落ち着けよ、正当防衛をしただけだぞ?」
「だから! 死ぬかもしれないんだから逃げればいいじゃん!」
ああ、なるほど。
言いたいことはよくわかった。
だけど。
「逃げるわけないだろ」
真面目に、こう言うしかない。
「なんで!」
「確かに、俺は死ぬかもしれない。 俺はまだまだ死にたくない。 でも、俺が戦わなかったらツケは誰に回る? 姉ちゃんだよ。 死ぬかもしれない、姉ちゃんが。 こういうただの世紀末馬鹿でも人を殺せる。 バイクで姉ちゃんを引いたら姉ちゃんが死ぬかもしれない。 でも
姉ちゃんは逃げない、俺がいるから。
だから俺は戦うんだ、死んでほしくない」
一息置いて、俺はこういった。
「大切な人、姉ちゃんや自由部のためになら俺は何度でもハンマーとでも誰とでも戦い続けてやる」
………滅茶苦茶恥ずかしい、登校中に何を言っているんだ俺は。
夏霧も必死に顔を隠してる。
笑いたきゃ笑ってくれていいのに。
ああもう恥ずかしい。
他の登校中の女子がこっち見て笑ってる。
世紀末にビビってたくせに。
くっそ。
これは、単に俺の決心なのに。
何を使っても、何を思い出しても戦うって決心なのに。
「ほら、もう学校行くぞ」
夏霧の顔を見るのも恥ずかしい俺は、手を引っ張って速足で学校に行った。




