(14)
時間は俺の失言で消え去り、生姜焼きも唐揚げも満漢全席を作る時間も消え去り、仕方なくピザトーストを焼く事にした。
パンにソースを塗って切ったピーマンをチーズの下に置いて焼く。
これを二回繰り返した。
さて、飯を作る作業は終わりだ。
どうしよう。
1.風呂場に突撃☆
2.TV見ながら待ってる。
いや、考えるどころか候補になってない。
勿論2だ、2に決まっている。
ここでのんびりTV見て今日の夜どうやって寝るかを考えるだけだ。
そして、のんびりしていたら思い出した。
ハンマーとか想像武器とか姉ちゃんの涙とか色々ありすぎて忘れてた。
なんでこんな事になったのか。
今回の事件の発端を。
「裕也……」
あいつ、どこまでが計画だった?
もし、姉ちゃんが泣くことまで計算内だったのなら。
俺はあいつの敵になる。
とか考えてたら電話がかかってきた。
丁度、裕也から。
出たくないけど、一応出た。
「殺す」
「え、無事なの? よかったよ」
「なんで死んでると思ってんだよ!」
「いや、あの速度であの大きさのスレッジハンマーで殴られたら普通死んでるよ? 天壌の不条理さって、死んでも死なないレベルなんだねぇ」
………おい。
「お前、何で知ってんだよ?」
「嫌だな、監視カメラにハッキングしただけだよ」
ははは、胡散臭く笑っていやがる。
ついでに、天壌には異常なほど監視カメラがある。
「お前、どこまで知っていやがる? 今回、夏霧と会ったのはお前の作戦か? 俺がハンマーと戦ったのはお前のせいか?」
そして、なにより。
姉ちゃんを泣かす遠因はお前か。
裕也はあくまで胡散臭さを崩さない。
「夏霧? ああ、同じクラスの夏霧姫美ちゃんか。 彼女と出会う確率が一番高いと思ってたけど、やっぱり予想通りか」
「おい、裕也。 いい加減に」
「大和、ここは天壌だよ?」
明らかに、俺が苛立った瞬間回答を投げ込んできた。
駆け引きだけは上手い奴だ。
「夏と会うのは予想通りだし、もしかすると大和が大好きなライトノベル展開になるかもとは思ってた。 でも」
一呼吸置いた。
「大和が負ける事だけは想定外だった」
「………」
何も答えられない。
そうか、俺は姉ちゃんだけじゃなくこいつの信頼まで裏切ったのか。
こいつが俺に電話した理由なんて、らしくもなく
心配しただけなのか。
聞いたじゃないか、生きているか?って。
こんな奴に心配させるなんて。
それを俺はなんだと言った。
姉ちゃんを泣かせた理由を、責任転嫁させようと。
無力を思い知った。
そして、性格まで俺は駄目だった。
死にてぇ。
殺されたい。
本当に、アホらし。
「……ーい、おーい、聞こえてるかい、大和」
「ん、ああごめんごめん」
「とりあえず、今は落ち着いて今すぐお風呂にでも入った方がいいんじゃないかな?」
風呂?
今はなんか駄目じゃなかったっけ?
駄目なのは俺か。
考えがまとまらん。
「君も今日は色々あったんだろ? 辛い時、大変な時は風呂でゆっくりするべきだってエラーイ博士が言ってたよ」
「なんか胡散臭いな、その博士」
「いいから、今すぐお風呂に入るんだ、今すぐ!」
「ああわかった、裕也を信じるよ、じゃあな」
電話を切った。
何か、大事な事を忘れている気がするが、風呂にでも入るか。




