長瀬農園2
「さぁ、早速仕事してもらうよ。」
長瀬さんが俺達をビニールハウスの奥へ案内した。
周りに植わっているのは、先ほどの激ウマトマトだ。
なんか、秀吉どんどんトマトに口を開けて近づいているような気がするけど、気のせいだ。
気のせいだと信じたい・・・。
ダメだ、気のせいじない!!
「秀吉ストーップ!!」
俺が秀吉の頭に拳を叩き込もうとする。
ダメだ、間に合わない!!バイト代が減る~~~。
ドカッ!!(殴)
「痛いっ!!」
秀吉が頭の右側を手でおさえる。
間一髪のところで信長が殴ってくれたようだ。
危ない危ない。
「まず、このトマトを収穫してくれ。くれぐれもトマトを食べないでくれよ。」
「努力します。」
長瀬さんの言葉に弱々しく答える秀吉。
そして渡されたハサミでトマトを収穫する。
パツン(トマトの枝を切る音)
ガサッ(トマトをかごに入れる音)
ガササッ(次のトマトに手を伸ばす音)
パツン
ガサッ
ガササッ
パツン
ガサッ
ガササッ
パツン
ガサッ
ガササッ
…かなり地味だ。
「長瀬さん、かなり地味ですね。」
「だから最初に言ったでしょ。
大変だよって。精神的に。」
なるほど・・・確かにつらい。精神的に・・・。
この後も、約2時間この作業を繰り返した。
ドサッ
一気に疲れがきて、長瀬さんの家の縁側に三人で倒れこんだ。
「お疲れ様。」
後ろから優しい声が聞こえた。振り返ってみると長瀬さんの奥さんが、鍋を持って立っていた。
「作ったんだよ。食べな。」
長瀬さんの奥さんが、鍋からお玉で、中に入っているトマトの煮物をよそって渡してくれた。
「「「いただきます。」」」
赤く光トマトを箸で口に運ぶ。
「旨い。」
旨すぎる。これ以上の言葉が出てこない。
ただ、ものすごい旨い。