長瀬農園
コンコン
「すいませーん。」
俺が、5つ並んだビニールハウスの一番右端にあるビニールハウスの柱をノックした。
「はい、なんでしょう。」
赤く実るトマトの間の道を、見るからに優しそうな70代位のおじいさんが奥からあるいてきた。
手に持つかごには、赤いトマトが5、6個入っている。
「旨そう・・・。」
秀吉の方からそんな声が聞こえた。
確かに旨そうだ。
「食べてみるかい?」
おじいさんが俺達3人に、トマトを渡す。
やべっ、すげぇ旨そう。
「「「いただきまーす。」」」
3人同時にトマトにかぶりつく。
「美味しい。」
「美味。」
「旨い。(涙)」
隣で秀吉がトマトの旨さに感動しているようだ。
目から大量の涙が溢れている。
「そうかそうか、そんなに美味しいかい。」
おじいさんも嬉しそうだ。まぁ、自分の作った物を涙流しながら食べてくれたら嬉しいに決まっている。
俺もそうなる。
「ところで、何かようかい?」
あ、トマトの旨さで忘れてた。
「アルバイト募集と、貼り紙を見つけたので。」
「おぉ、新しいアルバイトかい。助かるよ。でも始めに言っておくけど、かなり辛いよ。それでもいいかい?」
「そこら辺は承知のうえですので、大丈夫です。」
そう言ってビニールハウスに入る俺と信長。
秀吉は未だに感動しているようだ。夢心地のような表情をしている。起こした方が良さそうだ。
「おい、秀吉帰ってこい。」
俺が、秀吉の頭を数回叩く。
「・・・(ポワーン)」
ダメだ。
「朝信、そいつを猿と呼んでみな。」
「わかりました。」
俺は、信長に言われた通り、
「猿!!」
と、呼んでみた。
すると、
「誰が猿じゃあ~~~~!!」
秀吉が戻ってきた。