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恋人記念日

作者: 和葉

私は普通の都立高校に通う高校二年生の長岡 春香。


私と彼の出会いはもう四年前のことだ。


私はあまり目立たない性格なのでめったに笑わないし、めったに外に出ない。


私は、私に自信が持てなかったからだ。


もう桜が舞う季節。私の一番好きな季節。この春にある一つの物語りが生まれた。


   

              恋人記念日


一週間前の出来事だった。


「あーあ。雨だよ。どうしよう。」


その日はとてもひどい雨の音が響いていた。


「家出るときは、ふってなかったのに・・・。」


私はしばらく雨宿りすることにした。そこに


「おーい!長岡!!」


それは‘ただ‘のクラスメートの、渡辺 つるぎだった。


「ああ。渡辺君。」


「お前どうしたんだ?」


「ううん。傘忘れちゃって・・・。」


「そっか。俺のに入れてやるよ。」


「えっ。でも・・・。」


「いいから、いいから!!早く早く!!」


そういうと彼は私の手をつかんで傘に入れるとそのまま歩き出した。


「あ、渡辺君!この傘、穴開いてるよっ。」


「やべっ!!」


そう慌てたあなたの顔を見て笑った。


「お前って笑うとかわいいな。」


「えっ?!」


そういってくれたあなたの顔、ことば、今も心に残る大切な思い出。


このときからだった。彼の見方が変わったのは。私の初恋だった。


    〜今〜


穴の開いた傘を買うために、私たちは近くのデパートに入った。


「ごめんな。俺のために・・・。」


「いいんだ。そのかわり、私の買い物にも付き合って。」


「ああぜんぜん構わないぜ。」


私の買い物にもお構いなしで付き合ってくれる彼。


きっとみんなにもこう笑顔を振りまく人だと思った。


買い物なんて嘘。あなたと少しでもそばに居たかった。いろんな事しゃべって、いろんな事知


って、いろんな事知ってほしかったから。そんな中、私は一セットのレターセットを買った。


彼も一緒に買った。その後彼が


「明日、学校休みだしまだ4時だから、これからどっか遊びに行かない?」


不意打ちだった。


私の親は二人とも弁護士。最近は真夜中に帰って来ることが多い。


お兄ちゃんは、夜間のアルバイトだから、家にはいない。ちょっとだけならいいと思った。


「うん。いいよ」


雨はやみ、すっかり青空がもどっていた。


わたしたちがまず行った所、それは近くのゲームセンターだった。


彼の推薦で行ってみた。


「長岡はさ、こんなところ来た事ないだろ。」


「うん。でも面白そう。」


「そうか!よかった。実は俺も、ここ来たのはじめてなんだ。前から興味あってさ。」


「私も、特にプリクラとか・・・。」


私は笑いながら想像を膨らませた。


「じゃあ撮ってみるか。」


「うん。」


五台ばかしのプリクラの機械。全部に人が入っていた。カーテンが閉まっているが、そこか


らかすかに見えた。ちょっと大人の人が、KISSをしながら、撮っているのだった。


彼もそれを見たらしい。


「ありえないな。」


「でもちょっとうらやましいかも・・・。はっ!!」


私はつい本音をもらしてしまった。すると彼が、


「おっ、俺トイレいってくるっ。」


何か慌てた彼。どうしたのかと思ったけれど、そのときはあまり気に留めなかった。


私はその場で待っていた。あの時もらしてしまった言葉が、とても気にかかっていた。


彼に不快感を与えてしまったかのかもしれない。


私はそのとき、いい方法を思い出した。いそいでかばんの中のペンケースとさっき


買ったレターセットを取り出した。そこにはただ四文字の言葉

















              『すきだよ。』
















初めて書いた LOVEレター だった。


ようやく彼が帰ってきた。


「ごめんな。あっ、この機械あいたみたいだぜっ!さあ、撮ろう、撮ろう。」


あきらかにさっきと様子が違った。しかしこれも私は気に留めなかった。


一枚目。


さまざまなポーズをとった。しかしどれも彼は赤い顔をしていた。


また機械が人でいっぱいになった。彼が言った。


「俺のこと、つるぎって呼んで良いぞ。」


男の人を呼び捨てで呼ぶのなんて初めてだった。


「私も、春香でいいよ。」


男の人に呼び捨てで呼ばれるのも初めてだった。


すると機械があいた。その中に入ると彼はなかなか、お金を入れない。すると彼が、

















「これ、よんでみて(///)」















彼の顔が真っ赤になっていた。そこにはさっき買ったばかりのレターセットがあった。


ゆっくり中をあけた。そこには

















               『すきです。』















私があなたにあげたい手紙と同じだった。


「俺と付き合ってくれないか?」


私も彼に手紙を渡したすると彼は、


「コレって両思い?」


「みたいだね。」


「嘘じゃないよな?!」


「うん!」


私は今までにない笑顔で彼に笑って見せた。同時に涙がこぼれた。


彼がようやくお金を入れた。いっぱいとったが残り2ショット。


彼が少し近くに寄ってきた。するといきなり私をお姫様抱っこしたのである。


「カッシャッ」


シャッター音が響いた。そのまま撮られてしまった。


後一枚。


「それじゃあ最後の一枚は・・・姫のお望みどうりKISSプリでっ」


「ちゅっ」


「カシャッ」


びっくりした。しかし嬉しかった。


今も彼とは付き合っている。同じ高校に通っている。しかし私は遥かに変わった。


自分に自信を持つことができた。彼のおかげだった。





その時印刷されたのはたった2ショットプリクラだった。その二枚には同じ文字が書かれていた。















              『2xxx年x月x日恋人記念日』

こんにちは。和葉です。

この小説気に入っていただけましたか?できれば感想をください。とても励みになります。

ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。

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