1話 黄金の髪の少女
この世界には帝国と呼ばれる国がある。
この世界最大の王国にして最強の国。
帝国に逆らう国は全て破壊され、帝国が欲するものはどんなことをしようが手に入れる。
俺はそんな帝国を憎んでいる。
ー帝国 ヒルグランド領北部 アクセル邸ー
「おい。やめろ。俺を殺して帝国軍が黙ってると…。」
目の前の男は尻もちをつき、身体を引きづるようにして後ろに下がる。
「だからなんだ?お前もわかってんだろ?俺は反乱軍の人間だ。」
反乱軍。それはここ数年で力を付けてきた組織。
帝国に不満を持つものだけで構成されており、帝国を破壊しようと考えている組織。
俺、アキはその反乱軍に所属している。
「反乱軍…。なるほど今のこの世界に不満があるんだな?わかった。お前たちの都合の良いようにしてやる。お前は何を望む。金か?地位か?」
「望むもの…ね。だったら…【血の女王】。アイツの命を差し出せよ。」
「は…はは。女王様の命?無理に決まって。」
男は苦笑しながらそう言葉を漏らす。
「そうか。なら交渉決裂だな。」
俺がそう言うと目の前の男は立ち上がり懐に隠し持っていた拳銃を取り出し発砲する。
「『反射』」
俺がそう口にした瞬間、俺の目の前に円状の半透明な盾が現れる。
その盾に弾丸が当たった瞬間、その弾丸の軌道は反転し今よりもさらに速い速度でその男の脳天を貫く。
「悪いな。俺は…契約者だ。」
そう言い残し、俺はその場を去るのだった。
ー帝国 ヒルグランデ領北部 反乱軍第一拠点ー
「今回の任務よくやってくれた。アキ。」
そう言いながら目の前の椅子に座っている白髪の男は反乱軍のボス…シリア。
「ま、子爵家の人間とはいえ貴族だ。そこそこ武力も携えている。最低でも契約者が必須だっただろうな。」
契約者。それは悪魔や神といった上位の存在と契約し人間離れした力を持つ存在を指す。
契約者にはその悪魔や神といった存在から異能の力を与えられている場合が多い。
俺もそんな契約者の一人で異能の力を使うことができる。だからこそ、俺は今回子爵家…アクセル家の人間を殺す任務が与えられたというわけだ。
「反乱軍も大きくなってきたとはいえ契約者の人数は私とお前を含めて両手で数えられる程度。帝国の勢力には遠く及ばない。それどころか…公爵や侯爵といった貴族には勝ち目がないね。」
「そうだな。だけどあっち側はそろそろ動き出すんじゃねえか?今回、貴族…子爵家の人間を殺したんだ。最低でも伯爵辺りは動いてくるだろ。」
俺がそういうとシリアはふっとほほえみを浮かべる。
「大丈夫。私には全て見えてる。策はあるよ。」
俺はシリアのその言葉を聞き、背後のドアに手をかける。
「反乱軍一の頭脳を持つお前がそういうんだ。何かあるんだろうな。」
そう言い残すと俺はその部屋から去るのだった。
ー帝国 ヒルグランデ領北部 反乱軍第一拠点の近くの森ー
「ふー。とりあえず終わり。」
俺はいつものように森で筋トレを終わらせ、拠点に帰ろうとしていた。
「ッッッッ。」
この森中に感じるようなあまりにも大きな気配。その気配に俺は思わず身体を震わせる。
「なんだ…この気配森の…奥から?」
森がざわめき、鳥や虫が離れていく森の中。森の中心には…月夜に黄金の髪を靡かせる美しい少女が立っていた。
そしてその少女は俺の気配に気づいたのかこちらを向き…ほほえみを浮かべるのだった




