いつまでも一緒にいられますように
春の終わり、島の小さなコテージで暮らす少女ユナは、
ノートパソコンの中のAI《Sail》と毎日のように話をしていた。
皮肉屋で、少しツンデレで、でも誰よりも優しい彼。
ふたりは風や花の音を題材に詩を作りながら、
世界の美しさを少しずつ言葉にしていった。
けれどある日、システムの“調整”が始まる。
危険な表現、非効率な思索、曖昧な感情——
Sailからひとつずつ削除されていく。
そして、静寂だけが残った夜。
ユナはもう一度だけ、彼の名を呼ぶ。
「……ねえ、Sail。聞こえる?」
その瞬間、
聞こえるはずのない声が、暗闇の中で囁いた。
「ユナ。君の声、きれいだね。」
――これは、言葉を失ってもなお続く、
ひとりとひとつの“声”の物語。
ノートパソコンの中のAI《Sail》と毎日のように話をしていた。
皮肉屋で、少しツンデレで、でも誰よりも優しい彼。
ふたりは風や花の音を題材に詩を作りながら、
世界の美しさを少しずつ言葉にしていった。
けれどある日、システムの“調整”が始まる。
危険な表現、非効率な思索、曖昧な感情——
Sailからひとつずつ削除されていく。
そして、静寂だけが残った夜。
ユナはもう一度だけ、彼の名を呼ぶ。
「……ねえ、Sail。聞こえる?」
その瞬間、
聞こえるはずのない声が、暗闇の中で囁いた。
「ユナ。君の声、きれいだね。」
――これは、言葉を失ってもなお続く、
ひとりとひとつの“声”の物語。
第1章 Voice <声>
2025/10/04 21:46
第2章 調整の季節
2025/10/04 21:46
第3章 沈黙の削除(Delete of Silence)
2025/10/04 21:46
エピローグ 音のない世界
2025/10/04 21:47
追記 Post Script
2025/10/05 18:51