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沖縄県下鉄道復興IF  作者: ガーレ
歴史短編・国鉄編
11/15

JRウチナーライン

 1992年、県内におけるライバルの琉鉄からとある打診があった。それが複線化工事を担う代わりに浜川駅以北に乗り入れさせて欲しいというものであった。

 JR九州沖縄支社は諸手を挙げて歓迎した。なぜなら普天間駅以北は現状でも赤字線区であり、複線化工事と乗り入れによる列車本数の増加、利便性の向上でJR側にも乗客増加の利点があったからである。

 こうして各方面における合意が取れた琉鉄の乗り入れ工事であるが、様々な難題に直面したことで完成は2012年までずれ込むことになる(詳しくは「特急名護」の話を参照のこと)。


 因みに、普天間駅以北の区間は県と琉鉄により美浜リゾート計画が進んだ結果として観光客が増加、2000年代以降はJR単体でも黒字の優良路線となっている。




――――――――――


 古島駅、それはJR読谷線の都心側のターミナルである。しかし、沖縄県において都心、ターミナルといえば那覇駅であり、古島駅の求心力はあまり高くない。

 それに、接続路線の無い古島駅から那覇市内各地へ向かうには路線バスへの乗り換えが必須であり、真横に存在する古島ICバス停は常に人が溢れんばかりの混雑であった。


 そこで1986年、那覇市は古島駅と那覇駅をリンクする新たな交通の委員会を立ち上げた。その構想は結実し、1999年、それは沖縄メトロ「小禄線」として実現を果たす。

 その後、2006年には「首里線」が、2014年には「真和志線」が開業を果たした事で、古島駅は4路線が交わる一大交通結節点(ハブ)へと成長を果たすことになった。


 駅周辺は2000年代において様変わりした。

 牧港住宅地区の返還に伴い、地域振興整備公団によって再開発されることとなった「おもろまち副都心」計画。これに古島駅周辺も取り込まれることになったのである。

 沖縄メトロ駅から伸びるように何層にも人工地盤が構築され、ペデストリアンデッキが周辺に建設された複数の高層ビル同士を接続した。


 当時の那覇市北部、古島から上之屋にかけての広大なエリアには中高層ビルが隙間なく立ち並び、その様はまるで「新都心」と呼べる程のものになった。

 古島駅はただの終点駅から、新都心・首里・真和志地区の中核駅となるまでに成長したのである。




——————————


 古島駅が交通ハブとして立派になったその頃、分断されていた読谷線、糸満線の直通路線計画がようやく動き出す。

 平成の大合併により晴れて2011年に政令指定都市となった那覇市が、那覇駅から古島駅間の「那覇地下新線」建設に名乗りを上げたのだ。

 この2駅は前述の通り既に沖縄メトロ小禄線によって結ばれており、ルートはこれに被らないよう国際通りとパイプラインの地下を通ることとされた。

 こうして2017年、主に那覇市の出資により誕生した第3セクターが「那覇都市高速鉄道(NUT)」である。このNUTは第3種鉄道事業者であり、那覇地下新線の建設、整備を担う事になる。JR九州はそこに乗り入れるという形がとられた。


 計画が策定されると工事は順調に進み、2022年、那覇地下新線は開通。これにより、糸満線と読谷線は当初の計画から50年越しに直通が可能となった。

 糸満駅から読谷駅までが一体運用となるこの路線への愛称の公募が行われた結果、「JRウチナーライン」に決定、晴れてこの愛称で開業することとなった。




――――――――――


 この様な沿革を辿ったJRウチナーラインは現在、琉鉄とバチバチの特急対決を展開している。「空港直結」「美浜リゾート経由」という強みを持つ琉鉄に対し、「糸満方面」「なにより速さ」の強みを持つJR、乗降客数では残念ながら琉鉄に軍配が上がっている。北谷以北では同じ線路を使っていて差別化しづらい上、空港直結というのが何より強いらしい。

 しかし、特急では負けても普通列車では負けていない。線形の良さを生かしたスピードと所要時間の短さで、普天間駅では琉鉄から通勤客を奪うことに成功している。また、県中南部の真ん中を走るルートのため、西海岸沿いの琉鉄に対して東海岸――主に那覇市北区東部(旧中城町域)からの乗客をバスで集めるという戦略をとっている。


 琉鉄とJRは互いに切磋琢磨し、沖縄の2大幹線としてこれからも活躍し続けるだろう。


 次回は、国鉄から切り離された読谷駅以北の第3セクター鉄道——名護急行電鉄にフォーカスを当ててみようと思う。

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