公国の戦勝会
いつも読んで下さっていらっしゃる方々、こんにちは。
再UPさせて頂きます。
大変申し訳ありませんでした。
それでは、お楽しみください。
そうして凱旋式が終わると俺達は城の部屋に案内された。
案内された部屋に入ると着替えが用意されていた。
それぞれの部屋から着替え終わった皆が出て来た。
だが、俺はだけはいつもの格好だ。
アーゼ様にお願いをしたところ、快く俺の願いを聞き届けてくれたからだ。
皆が揃うとメイドさんに先導され城の大広間に案内された。
貴族の大多数はいないはずなのに凄い数の人々だった。
どうやら立食式の戦勝会を行う様だ。
お金が無かったんじゃないのか?
次々と豪華そうな料理が並べられて行く。
そんな中アーゼ様が挨拶を始める。
「英雄達よ!しばし御歓談をお楽しみ下さい。料理も用意してありますので、どうぞお召し上がりになって英気を養って下さいませ!」
代表してバドラック様が返答する。
「アーゼ様、ありがたく頂きますぞ!」
「「「有難く!」」」
「「「乾杯!!!」」」
皆がそう言って立食の戦勝会が始まる。
「とても公国にお金が無かったとは思えないね。」
皆がジャスティンに同意して肯く。
アンナが照れながら言う。
「ドレスなんて初めて着たよ~。どうかな~?アーサー君。」
【綺麗ですよ、アンナさん。】
「あら、アーサー様。私には言葉は無くって?」
【着こなされていて、すごく綺麗ですよ、ラフィアさん。】
ジャスティンとダンは早速、偉い人達に囲まれている様だ。
ジャスティンは主に女性だが。
羨ましくなんかないぞ!
・・・本当だからね?
「あの、アタイがドレスなんて着ていいんすかね?」
【魅力的ですよ。ディアナさん。】
「魅力的だなんて、初めて言われたっすよ!」
ディアナは照れている様だ。
頬が赤い。
そうこうしていると皆がそれぞれ人に囲まれる。
俺は苦手なのでテラスへ逃げ出していた。
【ふう、こういう固っ苦しいのは慣れないんだよね。】
「あら、その様な事では困りますわ。旦那様。」
そのまま声の主に言う。
【アーゼ様、リーゼ様、主役がこんな所にいては駄目ですよ?それに旦那様ではありませんよ?】
そう言って振り返るとドレスを着たアーゼ様とリーゼ様がいた。
いつものゴシックロリータな格好でない二人は初めて見たな。
綺麗だなーと思って見ているとその主から声が掛かる。
「あら?見惚れて下さいますの?アーサー様。」
そう言ってアーゼ様が側に寄って来る。
リーゼ様は一歩引いている形だ。
「今夜はゆっくりとして下さいましね?私を治した薬の事と万能薬の件も聞き及んでおりますわ。誠にありがとうございます。」
【アーゼ様はこの国に絶対に必要な方ですし、俺は出来る事をしたまでですよ。】
「まあ!戦功を誇らないのはアーサー様の美徳ですわね。」
「姉様、そこが他の殿方と違う素敵な所なのですよ?」
【そう言って頂けるだけで良いのですよ。アーゼ様、リーゼ様。】
「欲が無いのは困りますわ。何を与えて懐柔するのか分かりませんから。」
「そうね、それが問題なのよね。」
【うーん、こう見えて欲はあるのですよ?】
「何かは教えて下さらないのですわよね?」
【アーゼ様達に弱みを見せると怖いですからね。】
「まあ、そんな事は思わずにおっしゃっては下さいませんか?」
【機会があればお頼みするかもしれません。】
「その機会が早く訪れる様に創造神様にお祈りしておきますわ。」
【ふふっ、いつから創造神様信仰になったのですか?】
「アーサー様を初めて見た時からですわ。」
【初めてと言うと悪魔の神殿の時ですね。】
「ええ、私、初めて孤独と言う物を知ったのですわ。」
「姉様には私がいます!絶対に孤独に等はさせませんわ!」
アーゼ様は微笑んでリーゼ様を見てからこちらを見て来る。
リーゼ様と手を繋ぐ。
仲の良い二人の事だから今後も大丈夫だろう。
それに今日は怖くないね。
可愛い笑顔だ。
いつもこうだと良いんだけれどね。
「アーサー様、何か失礼な事を考えておいでですわね?」
心の中を見透かされた俺は慌てる。
頬を膨らませているアーゼ様に慌てて返す。
【そ、そんな事はありませんよ?】
「どうやら本当の様ですわね。許して差し上げませんわ!」
【いえ、ただですね。アーゼ様はそのように振舞って下さるのが凄く魅力的ですよ。】
アーゼ様の顔が赤くなる。
「ア、アーサー様、お上手ですわね。」
【いえ、本当に魅力的ですよ。もちろんリーゼ様もね。】
「そんな事を言われると私・・・。」
アーゼ様が俺に体を預けて来る。
どちらともなく顔を近づけて行く。
「お?アーサー、こんな所にいたのか!逃げたってジャスティンが慌ててたぞ?」
流石、ダン。
空気を読まない男!
慌てて離れると誤魔化すように言う。
【ダ、ダンさん、少し御二人と話していたんですよ。】
「そうだったのか。アーゼ様、リーゼ様。失礼しました!」
酔っぱらったダンに空気を読めと言っても無駄だろう。
「「いいえ、気にしておりませんわ。」」
アーゼ様とリーゼ様は笑顔だが怖い方の笑顔だった。
ダンには悪気はないんですからね?
御二人共、そんなに怖い気配をしないで下さいね。
「アーサー、二人を独り占めしてないで中に入れよな!」
そう言ってヘッドロックして来る。
【痛いですよダンさん、お酒臭いですね。結構飲んでるでしょう?】
「まだ序の口だぜ?さあ、中に行こうぜ!皆が待っているぞ?」
【それではアーゼ様、リーゼ様。失礼しますね。】
そう二人に言うとそのままの姿勢で連れて行かれる。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「くう!良い雰囲気でしたのに!あの男!」
姉様は悔しそうにしている。
「リーゼ、貴方も何故、止めなかったのですか?」
「済みません姉様、気が付きませんでした。ですが、まだ時間はありますわよ?」
「そうね、早速ですが、今夜忍び込みますわよ?良いわねリーゼ。」
「姉様、アーサー様と約束なされておりますよね?たがえない方がよろしいと思われますわ。」
「むう、リーゼまでそんな事を言うのね。」
「あの方にはやりすぎると逆効果でございますよ?」
「でも見て、話していただけどこんなになっているの。リーゼ、鎮めて頂戴。」
そう言うと姉様はスカートをたくし上げる。
「分かりました。姉様。」
私がしばらく慰めていると満足したのだろう。
姉様にお褒めの言葉を頂ける。
「はぁ~、良い子ねリーゼ。また可愛がってあげるわ。」
「楽しみにしておりますわ。姉様!」
「では戻るわよ。」
真面目な顔になった姉様がそう言って来る。
「分かりました、姉様。」
そう、私は姉様の陰で良い。
姉様はアーサー様に、御執心のようだ。
少し悔しいが姉様が幸せならばそれで良い。
そこに私もいればそれで良い。
二人で一緒に会場に戻る。
また御褒美を頂く為に。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ダンと室内に戻るとディアナが一人でいたので気になって側に行く。
【ディアナさん、どうされました?】
「アーサーの兄貴か・・・いえ、この胸が醜いって言われてですね相手にされないんですよ。いつもの事なので皆さんは楽しんで下さいよ。」
頭をボリボリとかいて誤魔化しているがその顔は沈んでいた。
また胸かよ。
この素晴らしさを分からないなんてね!
ここは兄貴分としてフォローしなければ!
【その素晴らしさを分からないとは・・・ふむ、それではディアナさん、俺に付いてきて下さい。】
そう言ってディアナの手を取って人混みへ向かう。
「おお、アーサー殿ではございませぬか?」
早速、気付いた人達が側に寄って来る。
「アーサー様そちらの・・・女性は?」
っち、胸を見て判断するな!
この素晴らしさを伝える為なら一日中でも語り合えるぞ?
だが、ディアナの為に今回は我慢だ。
【オーガの牙のメンバーで、今夜の私のパートナーなのですよ。】
そう言って腰を抱き寄せる。
「そ、それは失礼致しました。パートナー様の武勇伝も聞きたいものですな。」
「左様ですな!どのような武勲を上げられたのですか?」
「ア、アタイは・・・。」
【私達と一緒に悪魔共を殲滅したのですよ。】
「それは素晴らしい武勲ですな。」
【ええ、彼女もオーガの牙の一員ですからね。当然でございますよ。】
するとディアナが囁いて来る。
『アーサーの兄貴、悪魔を倒してたって言うのは本当っすけどインプ2~3匹ぐらいしか倒してないっすよ?』
『一緒の戦場にいたのは本当ですし、悪魔族を追い払った時にも一緒に戦っていたのです。嘘は言っておりませんよ?』
そう囁き返す。
「お嬢さん、お名前を伺っても?」
「は、はい。ディアナと言うですよ。」
【素直な子なので失礼があるかもしれませんが、大目に見てあげて下さい。】
「そのような事はありませんぞ?」
「左様ですな、オーガの牙の一員と言う事なら大歓迎ですとも。」
現金だよね。
まあ、この際どうでも良いか。
ディアナの為なのだから。
これで少しでも自信を持ってくれれば良いね。
「他にはどのような武勲を?」
【先日の戦争が初陣なのでその辺りで御容赦下さい。これから名を上げて行きますのでどうぞ、お楽しみに。】
「ディアナ様と言ったか?今後ともよしなに。」
そう言ってその男性は跪いて左手の甲にキスをする。
「おや?ティグレー閣下、抜け駆けとはいけませんぞ?」
「はっはっは、こういうものは早い者勝ちと相場が決まっておりますよ。」
ディアナの顔は真っ赤だった。
この行為には何か意味があるのだろうか?
そう言えばアーゼ様とリーゼ様にやった記憶が・・・。
分からないので後で誰かに聞いてみよう。
「ディアナ様、私めも商会を預かっている知り合いがおりまして、武具の事ならばお任せを。」
【あー、済みません。彼女の武具は黒玉の鍛冶師殿に作って頂く予定なのですよ。】
「「「黒玉の鍛冶師ですと!?」」」
「ええ、英雄にふさわしい装備を用意する予定です。」
「左様でしたか、かの黒玉の鍛冶師様が相手では我らの武具は相手になりますまい?」
「左様ですな、オーランド男爵。それではアーサー様、ディアナ様、それ以外で何かございましたら是非に。」
【その時は有難くお話をさせて頂きますね。・・・おや?彼女は少し疲れたようなので席を外させて頂きますね。】
「左様ですか。麗しきパートナー様に無理強いする訳にも行きませんな。」
【心遣いありがたく。それでは失礼いたしますね。】
そう言うとディアナの腰を抱き寄せ飲み物が置いてある方に移動する。
すると笑顔になったディアナが言って来る。
「・・・アーサーの兄貴は心臓が丈夫だよね?アタイはドキドキしっぱなしだよ?」
【ん?これも場慣れですよ?ディアナさんも自信をもって話せば良いんですよ。】
「こういうのは場慣れしたくないっすね。」
【あはは、そうですね。実は俺も苦手なんですよ。】
「あんなに凄く自然に対応していたじゃないっすか!」
「ディアナ~。アーサー君は貴族嫌いなんさ~。」
「左様ですわよ。ふんぞり返っているだけの貴族はアーサー様は特にお嫌いですわよ?」
ディアナと話しているとアンナとラフィアがこちらに来て話始めた。
「さすがにドレスは窮屈なんさ~。でも料理はそこそこでしょ~?」
「ええ、滅多に食えない御馳走っすよね。」
そう言ってディアナはバクバクと料理を平らげて行く。
一体どこに入っているのだろうか?
するとラフィアが嬉しい事を言ってくれる。
「そこは宮廷の食事会ですからね。でもアーサー様の食事を食べるとそこまでとは思えなくなりますわ。」
「そうっすよね!あのネベっていう料理は最高に美味かったっすよ!」
【ディアナさん鍋ね?】
「そうでした!鍋っすね!」
そう言って話していると冷めた料理が下げられて行くのが見えた。
【アレは、何をしているんですかね?まだ食べられますよね。もしかしてですが捨てたりしませんよね?】
「ああ、貴族が関わる食事会では冷めると下げられて、料理人や給仕達の御飯になるのですわ。」
ラフィアがそう教えてくれる。
へー、そういう物なんだ。
暖かい方が美味しいのにね。
しばらくし四人で歓談を楽しんでいるとリーゼ様が挨拶をし戦勝会が終わるのだった。
此処まで読んで下さって、ありがとうございます!
あの後ミカにボッコボコにされました。
再UPではございますが、まずはいつものから!
評価、イイネ、ブックマーク等々。
大変に励みになっております!
ありがとうございます!
それでは 次話 特訓なのかな?(仮 でお会いいたしましょう!
お疲れさまでした!
この度はご迷惑をおかけいたしまして誠に申し訳ありません。
今後このような事の無いように努めてまいりますのでよろしくお願いいたします。




