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後継者として

いつも読んで下さっている方々、こんばんは!

執筆終わりましたのでUPいたします!

それではお楽しみください!


幸いにして、敵の襲撃の無いままその日が過ぎて行った。


ジャスティン達にはバルロン対策の為に体を休める様に言ってある。

公王は縛り上げて天幕に監禁して見張りを付けてある。

イリスィオには魔封じの鎖で縛りつけ公王と同様に見張りを付けている。

バドラック様の配下から選んだ騎士達、十人が交代制で監視についているので大丈夫だろう。


リーゼ様に報告をした所、「すべては姉様が起きてからです。」そう言われたので詳しくは報告していない。

泊りがけでアーゼ様を看ているのだが疲れていたのだろう。

どうやらそのまま眠ってしまったようだ。

風邪をひかないように毛布を掛けておいた。


この天幕には、入り口に二人の護衛、そして俺が中にいて二人を護衛している。

一日経ったが今の所は悪魔族の襲撃は無い様だ。

兵力を召喚でもしているのだろうか?

そして、次の日の明け方にアーゼ様が目を覚ました。


「・・・こ、ここは!?」


アーゼ様が飛び起きた。

直ぐに気づいたリーゼ様も飛び起きる。


「姉様!姉様!良くぞ御無事で!」


泣きながら抱き着いている。

良かったですね、リーゼ様。


「ああ、愛しのリーゼ。何があったのかしら?そんなに泣いてしまってはせっかくの貴方の顔が・・・。」


「姉様が刺されたと聞いてバドラック達が連れて来てくれたのよ!」


「ああ、そうだったのね。あの時は・・・お義父に無理やりに犯されそうになって・・・。」


「どうしたの?姉様?」


「汚らわしい物で私を犯そうと・・・。」


そう言うと体を押さえ震えだす。

リーゼ様が強くアーゼ様の手を握る。


「姉様、お義父様は危険だと何度も申し上げていたのに・・・。」


「ふふっ、そうね、リーゼ。貴方の忠言を聞かなかった私の責任ね。」


リーゼ様が手を握った事で落ち着いたのだろう。

姉妹の世界の中で申し訳ないけれどそろそろ話に入らせてもらおうかな。


【それで、アーゼ様。公王はどうなさいますか?操られていたかもしれませんが、今回の騒動は兵達にも見られておりますよ?】


天幕の入り口辺りからそう言うと赤い顔をしてアーゼ様が言って来る。


「ア、アーサー様!アーゼは寂しいですわ。そんなに遠くにおらずにこちらにいらっしゃって下さいませ。」


近づいて行くと飛び起きて抱き着いて来た。

アーゼ様はほとんど肌着なのでポニョポニョが気持ち良い。

いやいかん、まずは話だ。


【アーゼ様、お体が大丈夫なようでしたらまずはお話を。】


「婚約の話でございますか?急いでいるのなら結婚の話でもよろしくてよ?」


えーっと、どうしてそうなるんだろうか?


【両方とも違います。私見ではございますが、今回のお話をさせて下さい。】


「もう、相変わらずいけずですわね、アーサー様。でも、貴方様の言う通りに致しますわ。」


真面目になったようなのでバドラック様を呼んで話を付けてもらおう。


【それでは、バドラック閣下を御呼び致しましょう。】


天幕の前に立っている兵士にバドラック閣下を呼んで来るようにお願いする。

しばらくするとバドラック閣下がやって来た。

ベッドに座っているアーゼ様の前で跪く。


「アーゼ様、まずは無事で何よりでございます。御回復、心よりお喜び申し上げます。」


「バドラック将軍、そなた達の忠義ありがたく。まずは礼を言うべきね。ありがとう。」


「おお、もったいなきお言葉。ではまず事の顛末をお話致しましょう。」


「お願いするわね。」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「まあ?宰相が!?」


「左様でございます。アーサー殿がヤツを捕縛したので、これで内部の事は安心して悪魔族を討滅出来るでしょう。」


「さすがはアーサー様ですわ。私の見込んだ御方。アーゼは愛をもって遇しましょう。」


さすがにそれは困るね。

おれにはルイスという心に決めた女性がいるのだ。

とりあえず話しておかなければならない事を話そう。


「アーゼ様に申し上げます。まずは現公王をどうするかでございます。」


「左様ですわね。では公国の継承を正式なものに戻しましょう。」


「アーゼ様、と言う事は?」


「ええ、バドラック。私が継承権一位なので女王となりましょう。」


一位?

現公王が一位ではないのか?

不思議に思って聞いてみた。


【アーゼ様、現公王なのですから義父様が一位なのでは無いのですか?】


「アーサー様、義父なので継承権はお母様にありましたのよ。お母様がいなくなったので代わりに義父になって頂いていたのです。私の代わりに。そう、弟が成人するまで。」


【成程・・・ん?と、言う事は?】


「ええ、弟が成人するまでの継承権を私に戻しますわ。私が一位なので後を継ぐ事に致しましょう。」


へー、そう言う事なんだ。

それでアーゼ様が先に言葉を発しても、誰一人として何も言わなかったのか。


「おお、なればこのバドラック。アーゼ様を支持致しますぞ!」


「ありがとう、バドラック。私が王となる事で不都合のある貴族は皆、爵位を剥奪します。」


早速強権を振るうのかな?

貴族社会の事は良く知らないけれど怖いね。

突然に解雇されるサラリーマンの様な物かな?

ただしこちらでは、その後の生活の保障が無い様だがね・・・。


「公王は私の旦那様がなるべきよね?アーサー様?」


【その話は御遠慮致したく、それに、弟君がいるではありませんか。】


俺にはルイスがいるんだよ。

将来はルイス達と田舎でのんびり過ごすんだい!

そう、俺にはそんな野望があるのだ。


「いきなりの事で考えが纏まらないのですわね?良いですわ!この戦が終わるまで待ちましょう。」


自分の世界に浸っているようで聞いていないね・・・。


「アーゼ様、それで元公王はいかがなさいますか?」


今度はバドラック様が聞いてくれた。


「義理とは言え義父だった人。恐怖の無いようにしてあげて頂戴。そう怖いのは駄目よ?」


「ははっ。それでは苦しませない様に毒をお勧め致しましょう。」


殺す事は決定なんだ。

怖いね異世界。


「姉様、私は・・・。」


「心配しないでリーゼ。貴女もアーサー様の妻になるのよ?」


「「「え!?」」」


いや、リーゼ様も驚いてますよ?

アーゼ様?


「私達二人で、アーサー様を喜ばせて差し上げるの。良いわねリーゼ?」


「ね、姉様がそう言うのでしたら・・・。」


リーゼ様、何で頬を染めているの!?

ちょっと待とうか二人共!?


「「可愛がって下さいましね。アーサー様。」」


どうしてこうなった?


【アーゼ様、リーゼ様。まずはやる事がありましょう。それを済ませねばそんな事は考えられませんよ?】


「どうしてかしら?アーサー様?」


「そうよ、まさか姉様が気に入らないとでも言うつもり!?」


【聡明な御二方ならお分かりのはず。まずは悪魔族の討伐、そして公国内の反対派の鎮圧。その後に民の生活の保障等。イリスィオからの情報の引き出し。それ以外にもやる事は沢山あるでしょう?】


「その通りですわね、バドラック。そのほう、オーガの牙と共に戦を勝利に導きなさい。」


「ははぁっ!必ずや!」


「そして今集まっている貴族を明日大天幕に集めなさい。正式に発表致しますわ!兵士を天幕の後ろに配置する事も忘れてはなりませんよ?」


「かしこまりました!」


「では手はずを整えなさい。」


「っは!」


そう言ってバドラック様は俺の肩を叩いて出て行く。


【じゃあ、俺はやる事があるので失礼しますね。】


さて俺も逃げるとしようかな。


「アーサー様?忘れておりましてよ?」


ん?

何かあっただろうか?

そう思って振り返ると二人が近寄って来た。


「「貴方に『アリステリア様』のお導きのあらんことを。」」


そう言って二人に両頬にキスをされた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


ジャスティン達の天幕へ歩いて行く。


足取りは重かった。

どうしてこうなった・・・。

将来は小さなお店を買って皆とのんびりと鍛冶屋を営むはずだったのだが。

おかしい。

あの二人の感覚がおかしいのか?


それとも俺の感覚か?


考えて歩いているうちにジャスティン達の天幕にたどり着いた。

話声が聞こえたので平静を繕い天幕に入る。

ジャスティン達がいた。

皆、揃っている様だ。


「アーサー、お帰り。」


「よう、アーサー!」


「お帰りなんさ~、アーサー君。」


「お帰りなさいませ、アーサー様」


皆がそう言って出迎えてくれる。


【皆、ただいま。】


なんとか笑顔でそう言うと早速装備の確認をして行く。


ジャスティンとダンの鎧は歪んで更に酸でコーティングが溶けてしまっているので修理してコーティングをしなおさないと駄目だね。

盾も歪んでいるので、こちらも修理をしてコーティングもしないとね。

ロングソードもツヴァイハンダーも歪んでしまっている。

こちらも修理と調整が必要だ。


攻めて来るのがインプと赤い悪魔だけだったら調整が終わるまでは通常の物を使ってもらおう。

そう思って二人にハイクオリティーの武器を渡しておく。

もちろん特効武器程の物ではないと言う事と鎧が無いと言う事の注意をする事も忘れない。

鎧は予備を作っておこうかな?

でも持ち運びはどうしようか。

俺のバックパック頼りだといない時は同じだしね。

まあ、これも考える必要があるかな。


さて、問題はアンナのコンポジットボウだ。

『短命』というデバフでもついているのかと疑われる程に弓の消耗が激しい。

予備を作っておかなければ今のコンポジットボウ一本では決定力のある限界突破の撃ち方は厳しいだろう。

そのおかげでベドラムに致命傷を与えていたので役に立ったのなら弓も本望だろうが。


ラフィアだけは無傷に近かったので大丈夫だろう。

ただ秘薬を消費しているので補給は必要だ。


皆の武具を預かる。


【修理に行って来ますね。】


そう言って天幕を出て鍛冶場へと向かう。

軍の最大戦力がこのままだとバルロンが出て来た時に勝てないので修理と調整を急ぐ。

四時間程ですべての工程が終了した。


その間、敵は攻めてこなかった。


ジャスティン達の天幕へ戻ると知らせが届いていた。

そう、先程の話が決まった様である。

新女王が戴冠するのだ。

明日の昼間すぎから略式だが戴冠式を行うとの事だった。


皆に明日に向けて支度をする様にと直した装備を渡して行く。


装備を付けて確認をしてもらっている間に、どうしてもと言うラフィアと共に秘薬を補充に行くと空が曇り始めて来た。

降る前にと急いで秘薬を補充する。


【えっとマンドレイクと・・・。】


「スパイダーシルクですわね。」


【ラフィアさん、あとはブラックパールですか?】


「ええ、念の為少し多く頂いておきますわ。」


秘薬を選んでいるとポツポツと降って来た。

うーん、これは本降りになる前に帰りたいね。

そう思っていると本降りになってしまった。

運が悪い。

秘薬倉庫でラフィアと座って雨宿りをする。


聞いておきたかったのでラフィアに聞いてみる。


【ラフィアさんは何処かの神殿の神官なのですか?】


「ええ、創造神信仰に改宗致しましたのよ。」


【え?改宗?どうして?】


「アーサー様と同じ神様を信仰したくて改宗致しましたわ!」


ふふっ、ブレないなこの人は・・・。

そう思っているとラフィアが俺の肩に頭を預けて来る。


「私の勇者様と同じ神に祈りたかったのですわ。」


【前はどちらの神様を信仰していたんですか?】


「愛の女神様ですわ。」


そうするとキスをして来た。


「アーサー様の成長をこの目で見たくなりましたの。」


【そうなんだ。じゃあ強いって所を見せないとね。】


「ええ、私の小さな勇者様。」


そう言うとラフィアはローブを脱いでいく。

鎧を脱ぎ捨てて肌着になると俺に跨って来る。


「最近はアンナばかり・・・私も可愛がって下さいませ。アーサー様。」


【くす、最初に会った時を思い出しますね、ラフィアさん。】


「アーサー様、意地悪ですわよ?でも、そうですわね・・・。」


そうあの時は初めてだったんだ。

懐かしいね。


キスをしてお互いの体を温める様にイチャイチャするのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


三時間程だろうか。


雨が小降りになってきたので支度を整えジャスティン達の天幕に戻る。

中に入ると声が掛かる。


「アーサー、遅かったね。」


【結構降っていたので雨宿りしていたんですよ。】


「これで準備は大丈夫ですわ!」


「なんか元気だな、ラフィアよ?」


ダンがそう言うとアンナがクンクンと匂いを嗅いでいる。

ラフィアを見てから俺を見てニヤっと微笑む。


「次はあーっしも一緒に行くかな~。」


【アンナ、弓は修理してもらったでしょう?】


「ラフィアにばっかりはさせないのさ~。」


ラフィアの顔が赤くなる。

ジャスティンは分からない様だった。

ダンがポンと手を叩く。


「ラフィアも隅に置けないね~。ふっへっへっへ。」


いやらしく笑っている。


「ダン、それ以上言うもっと小遣いを減らしますわよ?」


「冗談だって、な?だからそれは勘弁してくれよ!」


余計な事を言わなければいいのになと思っていると天幕の入り口から声が掛かる。


「オーガの牙の皆様方に伝令です。」


ジャスティンが答える。


「いかがなさいましたか?」


「悪魔族が攻めてまいりました。」


銅鑼が鳴り始めた。


「この雨で発見が遅れてしまいました。申し訳ありません。」


「構いません、皆行けますね!」


「「「応!」」」


「支度をしたら出ますのでそれまでは無理をしない様にお願いしますね。」


「閣下にはそう伝えておきます!」


黄色の服を着た伝令さんは次の場所へ行った様だ。


「さてと、雨も降っていますし、帰ってきたらアーサーの料理で暖まりましょう!」


そう言ってジャスティンが皆を鼓舞する。


【補給が潤沢なので今夜はシチューを作りますよ。】


俺がそう言うとアンナが思い出したかのように言って来る。


「最初に会った時のヤツかな~?」


【牛肉があるのでビーフシチューにしましょうか?】


「牛肉って美味いのか?」


ダンが牛肉の力を知らないようなので驚いてもらおう。


【食べて驚いて下さいね。】


そう言っておく。


「それは楽しみですわ!」


「じゃあ支度をして行こうか。」


「「「応!」」」


そうジャスティンに答えて支度をして戦場へ向かうのだった。

此処まで読んで下さり、ありがとうございます!

まずはいつものから!

評価、イイネ、ブックマーク等々。

いつもありがとうございます!

大変に励みになっております!

それでは 次話 単純な罠(仮 でお会いいたしましょう!

お休みなさいませ!

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