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アーゼという女の子

いつも読んで下さっている方々、おはようございます!

執筆終わりましたのでUPいたします。

それではお楽しみください!

公王様に会いにイリスィオと呼ばれた悪魔を連れて大天幕に来た。


「バドラックだ。公王様はいらっしゃるか?」


バドラック様がそう言うと衛兵が答える。


「今はアーゼ様と面会しているはずです。」


【うーん、タイミングが悪いな・・・嫌な予感がしますね。】


「僕もそう思うよ、アーサー。」


ジャスティンが同意する。


「お前、何もやってねえんだろうな?」


ダンが問いただすとイリスィオと呼ばれた悪魔がニヤリと笑い答える。


【このままでは殺されますからね。置き土産を頂きますよ!ふぃふぃふぃ。】


「っち、バドラック閣下、宰相は捕えましたが、急いで行かないとアーゼ様が危ない可能性があります。」


「緊急である!指揮官の命で公王様に会わせて頂く!」


バドラック様がそう言って兵士をかき分けるとジャスティンと共に走り出す。

ダンにはイリスィオを任せておく。

魔封じの鎖で封じていれば何も出来ないだろう。

アーゼ様、御無事で!


「嫌ああああぁぁぁぁ!」


軟禁されている天幕に向かうと叫び声が聞こえて来る。

遅かったか!?

先程の置き土産と言う言葉でそう思った。

護衛を振り切って天幕へ飛び込む。


ものすごい血の匂いがする。


公王が血の付いたナイフを持っている。

その足元にアーゼ様が血塗れで倒れている。

天幕の絨毯に血が広がって行く。


「アーゼ、愛娘よ。お前が悪いのだ!あのような者を婿に等と言うから!」


「ジャスティンさん!」


そう言うと言葉の意図を悟ってくれたジャスティンが公王を無力化する。


俺は倒れているアーゼ様の方に向かうと傷を見る。

口から血を吐き出している。

腹部から大量に出血している。

内臓が見えていた。


これはまずい。

スキルが教えてくれる。

放っておけば一分もしないうちに死んでしまうだろう。

そんな事はさせない!

その為のチートスキルを授かったのだから!


そう、まだ息がある。

まだ助かるんだ!

俺には助けられるはずだ!

この好ましくも意地の悪い女の子を!


バックパックから高品質の最高級ポーションを取り出し口に含む。

下手に飲ませると傷のせいで吐き出してしまうかもしれない。

ポーションを口に含み口移しでアーゼ様に無理やり飲ませると直ぐに傷が塞がって行く。

流石の最高級。

腹部が光り輝くと傷が塞がって行く。


傷が塞がると解剖学のスキルと治療スキルを使い状態を確認する。

間に合ったようだがこのままでは安心は出来ないとスキルが教えてくれる。

アーゼ様は気を失っている様だ。

辛うじて胸が上下している。

だが顔色が悪い。

真っ青だった。


【これは、相当に血が足りません・・・このまま様子を見ます。】


そう言うと血まみれの服を脱がせて天幕のベッドに寝かせる。

輸血等の医療技術は無いだろうから安静にしておくしか無いだろう。

何か手は無いだろうか?

焦る心をスキルが平静に戻してくれる。


【護衛さん、アーゼ様の体温が低いので沢山の毛布を持って来て下さい!それと天幕の中を暖かく!早く!】


そう言うと慌てたように複数の護衛が天幕を出て行く。


【・・・万が一の為に、どなたかリーゼ様を連れてきて下さい。】


「わしが行こう。」


【バドラック閣下、感謝を!ジャスティンさん、ラフィアさん護衛をお願いします!】


「分かりました!」


「かしこまりましたわ!」


そう言って三人は天幕を飛び出して行く。


護衛の人が沢山の毛布を持ってくる。

少しでも体が温まる様に重ねて掛ける。


【アンナさん申し訳ありませんが裸になってアーゼ様を温めて下さい。】


「りょ~!」


アンナが鎧を脱ぎ始める。

毛布に入るとアンナが言って来る。


「アーサー君、マジヤバで冷たい!」


【アーゼ様、どうか御無事で!『アリステリア様!』ご加護を!】


それで精いっぱいだった。

女の子一人、治す事も出来ない。

いや、救う事すら出来ないのか?

無力感に打ちひしがれながら俺は『アリステリア様』に祈る。


そう『アリステリア様』に祈るだけしか出来なかった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


しばらくして僕達は城に着くとリーゼ様の部屋に向かう。


バドラック閣下が部屋を知っている様なので周りの声を無視してどんどん進んで行く。

部屋にたどり着くと護衛の兵がいた。


「そこの兵!通るぞ!」


「閣下であっても通すわけにまいりません!」


「緊急事態なのだ!リーゼ様を連れて行く!」


「我々も任務でございます閣下!」


「ジャスティン殿、無力化してくれ!」


僕は素早く動くと兵士に当身を食らわせる。

その兵士は沈黙した。


もう一人の兵士が立ちふさがる。


「貴様、なにをす・・・る・・・」


もう一人にも当身を食らわすと沈黙した。


バドラック閣下が早速ドアを叩く。


「リーゼ様!アーゼ様が倒れられました!重症ですので会ってやって下され!」


すぐに扉が開きリーゼ様が姿を見せる。


「バドラック!姉様がどうしたの!?」


「緊急を要します。リーゼ様失礼を。」


僕はそう言ってリーゼ様を抱き上げる。


「さあ、戻るぞ!」


バドラック様が先を走る。

後について行くと兵やメイド達が驚いて道を開ける。

門につき外に出た。

リーゼ様を馬に乗せて自分も乗ると走らせる。


「頼むよアーサー。最悪な事にはしないでくれよ?」


そう言うと全力で馬を走らせる。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


アーゼ様の顔色が治らない。


アンナが抱き着いて温めてくれている。

だが、脈が弱い。

解剖学と治療のスキルがそれを教えてくれる。

顔色が青いので心配する。

こんな時に、俺は無力だ。

調子に乗っていたのか?

ジャスティン達が出て行ってから一時間程が経っている。


公王は縛り上げイリスィオと別々の天幕でダンとバートさんに監視をしてもらっている。


リーゼ様、どうかお急ぎを。

いや、この考えは駄目だ。

この子は生きようとしているのだ!

そう思ってアーゼ様の手を握る。


すると、アーゼ様が目を覚ましたようだ。


「こ・・・こ・・・は?」


【アーゼ様、無理にしゃべらなくても結構ですよ!寒いですよね?温めていますから!大丈夫ですよ!】


「は・・・い・・・さむ・・・い・・・です。」


【もっと火を!暖を取らせてください!】


「アーサー殿。これ以上は天幕が燃えてしまいます!」


護衛の人が言って来る。


顔色は一向に良くならない。

このままでは危ない。

スキルが教えてくれる。

そんな事は分かっているんだ!


あ!

閃く事があった!

前世での造血剤の様な物は作れないだろうか?

こんな時の為のチートだ!

試してみる価値はある。


【入り口の護衛の皆さん以外は外の護衛に戻って下さい。】


「「しかし、姫様が!」」


【まだ、悪魔族が来るかもしれません!警戒をする様に促して下さい!】


「・・・かしこまりました!」


「姫様の事は任せましたぞ!」


護衛達が外に出て行くと俺は錬金術の準備を始める。

錬金釜が無くてもポーションを作れるのを知られる訳にはいかないからね。

兵士さん達が全員出て行くのを確認した俺はスキルを発動させる。


【造血剤は・・・。】


頭の中でレシピを検索する。

焦るな、まだ大丈夫だ。

万能薬?

違うこれは病気の特効薬だ。


残念ながら造血剤は無い様だ。

似たような物も無い。

こんな時の為のチートだろうに!

アーゼ様の無邪気な笑顔を思い出す。

俺を好きだと言ってくれた女の子一人守れないで・・・。

自分の無力さを不甲斐なく思う。


ふと、とあるレシピが目に写る。

ん?

これは!?

ああ、『アリステリア様』感謝を!

レシピから選んで作り始める。

擂鉢を取り出し必要な秘薬を入れる。


ゴリッゴリッ・・・


瓶を握りスキルを発動させる。


【『アリステリア様』御加護を!】


そうして『エリクサー』を作り始める。

秘薬は間に合っているはずだ。

条件は揃っているんだ、出来てくれ!

そうして白銀の光と共に高品質のエリクサーを作り上げた。


秘薬を毎日採ってくれた皆に感謝する!

皆のおかげで人が助けられるよ!

ありがとう!


【アーゼ様、失礼しますね。】


そう言うとエリクサーを口に含みキスをして無理やり飲み込ませる。

するとアーゼ様の顔色がみるみる元に戻って行く。

安定したのかアーゼ様の顔色は普段と変わらない。

苦しそうだった寝息もどうやら安定した寝息になった。

ふう、吐息を付きスキルを使い調べる。

状態は安定したようだ。

良かったよ。

もう大丈夫なようだ。


【・・・アンナさん、もう大丈夫ですよ。】


「りょ~、さすがアーサー君なんさ~。」


アンナが着替えだしたので後ろを向いておく。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


それから三十分ぐらい経っただろうかリーゼ様が到着した。


「姉様!」


そう言って天幕に飛び込んで来る。


【しーっ!】


「アーサー様!姉様は!?」


【眠っていらっしゃいます。容体は回復して安定していますので、もう大丈夫ですよ。】


「良かった・・・良かった。う・・・うっ・・・うう・・・」


リーゼ様は途中でバドラック様やジャスティン達からアーゼ様の容態を聞いていたのだろう。

当然、心配だったのはずだ。

あれだけ仲の良い姉妹なのだから。

俺と代わりアーゼ様の手を握ると安心したように泣きながら微笑んでいた。


俺は天幕から出るとエリクサーの効果に驚いていた。


『全ての状態異常を直し体を健康な状態に戻す。』


これは念の為に作っておいた方が良いだろう。

そう思うと物陰でエリクサーを作る。

わずかな時間だったが高品質で三本作れた。

念の為バックパックに入れておく。

これを使う事の無いように願いたいね。

そしてこれは他人には見せられない。


俺を好きだと言ってくれた女の子。

アーゼ様。

最初に会った時は礼儀正しい女の子と言う印象だった。

そして綺麗な女の子。

それが第一印象。

でも最近は笑顔の恐ろしくなってしまった女の子。

これも恋は盲目をいうやつなんでしょうかね?


そんな事を思いながら改めて皆に感謝をする。


【ルイス、リズ、ベス、マオ、アリス。皆のおかげで人が救えたよ。ありがとう。】


そう、遠くの地にいる皆の事を思いながらアーゼ様の回復を待つのだった。

此処まで読んで頂き、ありがとうございます!

まずはいつものから!

評価、イイネ、ブックマーク等々。

いつもありがとうございます!

大変励みになっております!

眠ると言ったな!

アレは嘘だ!

はっはっは、今度こそちゃんと眠ります。

それでは 次話 後継者として(仮 でお会いいたしましょう!

お休みなさい!

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