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大歓声と宰相の正体

いつも読んで下さっている方々、ありがとうございます!

執筆終わりましたのでUPいたします。

それではお楽しみください。

俺はジャスティン達の戦いを見ていた。


うん、皆は強くなったね。

心からそう思う。

ベドラムが倒れると残りのバルロン達が慌てて撤退して行く。

まあ、ボスがやられたんだからね。


『ベドラム』、ゲームではボスとして登場してその酸の血液で皆を苦しめた相手だ。

酸の血液と言う前衛殺しだった。

俺もゲーム脳では知っていたがあえて教えなかった。


ただ、それをジャスティン達は四人で倒したのだ。

これは快挙だろう。

素直に拍手が出る。


【おめでとう、皆さん!良くぞ倒しました!しばらく休憩を取って下さいね。】


そう言って休むように言う。


「熱かったんだか痛かったんだか、訳が分からなかったぜ?」


「全力で弓を打ってただけなんさ~。気持ち良かったのさ~。でも相棒が~・・・。」


アンナは壊れた弓を見て悲しそうにそう言う。


「マナは何とかなりましたが疲れましたわ。」


ラフィアは瞑想を始めた。

皆が座り込んでいる。

気になったので俺は疑問に思う事を言ってみた。


【アイツ魔法を使わなかったんじゃなくて使えなかったんじゃないですかね?】


「悪魔族で魔法が使えないのかい?さすがにそれで腹心はないんじゃないかい?アーサー。」


「そうだぜ!そういえば何で観戦なんかしてたんだよ?アーサー。」


「そうだね~。でも魔法を使われてたらあーっしとラフィアはやばかったんさ~。」


「そうですわよ、ただでさえマナがギリギリだったんですからね?」


皆がそれぞれ意見を言っている。

強敵との戦いで鬱憤が晴れたのだろう。

皆が良い顔をしている。


「反省会は後にして、討伐した証明を取って公王様に献上してやりましょう!」


ジャスティンがそう言う。


「「「それには賛成!」」」


皆が賛成した。


【その前に回復しておきましょう。ラフィアさんはそのまま瞑想スキルを使っていて下さい。】


ジャスティンとダンに高品質の上級ポーションを渡す。


「ありがとう、アーサー。」


「ありがとうよ!アーサー!」


「スタミナはそのまま回復してくださいね。基本値が上がる可能性がありますから。」


二人共仮面を上げて飲んでいる。


「すごいね。火傷の跡が綺麗に消えたよ。」


「相変わらずアーサーの作ったポーションはすっげえな。」


「アーサー君、ごめんね~。相棒が壊れちゃったんさ~。」


そう言って壊れた弓を見せて来る。


【そうですね、アンナさんには予備を作りましょうかね。】


「その前に攻撃手段がなくなったんさ~。相棒直せないかな~?」


【そうですね、後で見てみますね。】


「ありがとうなんさ~。アーサー君。」


そう言って抱き着いて来る。

瞑想をしているはずなのだがラフィアの視線が痛い。

ジャスティンとダンはヤレヤレと言って討伐証明を探しに行く。

黒い核を見つけた様だ。


「念の為に「探知」。」


うん、赤い光点はないね。

休憩が終わると陣地に向かって歩く。

足取りは軽い。


歓声が上がる!

大歓声だ!


「「「うおおお!」」」


「「「オーガの牙!!!」」」


ザッザッザッザッザッザッ!


「「「万歳!!!」」」


「「「公国の守り神!!!」」」


ザッザッザッザッザッザッ!


夜なのに大歓声だ。

皆この戦いを見ていたのだろう。

もう朝番も夜番も関係なく歓声を上げている。


【ジャスティンさん、答えてあげて下さいね。】


「分かったよ、アーサー!」


そう言ってひしゃげた盾を掲げる。


「「「うおおおお!」」」


「「「オーガの牙!オーガの牙!!オーガの牙!!!」」」


ッザ!ッザ!ッザ!


約7500人が叫びながら地面を踏み鳴らしている。

地鳴りだ。

地響きがする。

しばらく『オーガの牙』の連呼を聞いていた。


「僕達でもやれたんですね。」


「これでしばらくは大丈夫だろ?」


「そうだね~。皆、頑張ったからね~。」


「そうですわね。昂りますわね!」


バドラックさんが歩み寄って来た。


「英雄達よ!良くぞベドラムを倒した!礼を言う!公国はこの事を忘れないだろう!」


「「「オーガの牙!万歳!」」


ッザ!ッザ!ッザ!


「「「オーガの牙!万歳!!」」


ッザ!ッザ!ッザ!


「「「オーガの牙!万歳!!!」」


ッザ!ッザ!ッザ!


兵士達が声を上げる。

靴を踏み鳴らし地響きが起こる。

しばらくは収まらなさそうだ。

兵士達の声を背に受けながらバドラック様の天幕へと急ぐ。

天幕に入るとまだ歓声が聞こえ、地響きが鳴っている。


「皆、今日は興奮して眠れないだろう。感謝する!オーガの牙の皆よ!」


バドラック様がジャスティン達と握手を交わしている。


「流石に今日は攻めてこないだろう。ゆっくり休んでくれ!」


バドラック様がそう言った事で皆はそれぞれの天幕へ向かう。


俺は女性用の天幕に入るとアンナの弓を修理する。


【しばらくはこれで良いと思いますが、全力で引くのは三回が限度ですからね?次壊れたら作らないといけないの注意です。】


「分かったよ~、アーサー君。ねえ、それでこの昂りは鎮めてくれるんでしょう~?」


え?

昂るってそういう事?


「そうですわ、アーサー様。お情けを下さいませ・・・。」


ええ!?

ラフィアもかー!


こうしてまたイチャイチャした。


・・・大変気持ちが良かったです。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


次の日。


起きると二人を起こさない様にして着替えてフードを装備して天幕を出る。

太陽に向かって日課になった祈りを捧げる。


【『アリステリア様』昨日はありがとうございました。本日も良き日であります様に。】


「アーサー、おはよう。」


ジャスティンだった。

祈り終わるまで声を掛けるのを待ってくれていたのだろう。

昨日の戦いで装備等はボロボロだろう。

疲れているのだろうが眠れなかったのだろう。


「おはようございます、ジャスティンさん。」


「昨日は興奮して眠れなかったよ。」


【俺は搾り取られましたよ・・・。】


「「っぷ、アハハハ!」」


と、二人で笑ってジャスティンが言って来る。


「アーサーに誘われて良かったよ。昨日の戦果はギルドにも報告が届くだろう。・・・ありがとう。」


【昨日のベドラム討伐は事実、皆さんの戦果ですよ。誇って下さい。】


「そうか、これでやっと君の背中が見えたかな?まだ遠いと思うんだけれどね。」


【ジャスティンさん、俺なんか追いかけても良い事は無いですよ?】


「いや、アーサーは僕の目標なんだよ。そのまま目標でいてくれよ。」


面と向かって言われると照れるね。

照れ隠しに言ってみる。


【では皆さんの朝御飯を作って来ますよ。】


「よろしくね、アーサー。」


そして朝御飯の支度を始める。

今日は少し手の込んだものを出そうかな。

米を炊き始める。


うーん、匂いのしない料理か。

あ、海苔の佃煮があったからおむすびにするかな?

後は何だろう。

そう言えばカワハギの味醂干しが大量にあったな。

ああ、匂いがしてしまうか。


どうしようかな。


しばらく考えていたが良い考えが思い付かない。

匂いはしてしまうがカワハギと秋刀魚の味醂干しにしよう。

今日ぐらいは良いよね?

そして料理を作って行く。


出来上がった料理をまずはバドラック様の所に持って行く。


【おはようございます。バドラック閣下。】


「相変わらず早いな。アーサー殿。」


「「おはようございます!アーサー殿!」」


【御二人共おはようございます。今日の朝餉はこちらです。】


二種類の味醂干しと海苔の佃煮のおむすびと味噌汁である。


「今日も美味そうだ。これは魚か?良い匂いがするが大丈夫かね?」


「左様ですね閣下。だが本日ぐらいはよろしいでは無いですか。兵達には悪いが御飯と言う楽しみが出来ましたな!」


「閣下はもっとお食べ下さい。うん、良い匂いだ。・・・兵達もそう望んでいるでしょう。」


【シュトライゼさん、バートさんも食べて下さいね。今日の朝餉は魚の味醂干しと海苔の佃煮のおむすび、味噌汁です。魚は骨ごと行けますから七味マヨネーズを付けて食べて下さい。】


「うむ、では頂こう。二人共、一緒に食べようではないか。」


「お付き合いしますよ閣下。」


「良い匂いがしますが・・・今日ぐらいはよろしいでしょう。」


【それでは後程、器を回収に来ますね。】


「済まぬな、アーサー殿。」


「「よろしくお願い致します。」」


その声を背に天幕を出る。


ジャスティンとダンの所に朝御飯を持って行く。


「おお、今日も美味しそうだね。これは魚かい?」


【そうです。干し物で味醂干しと言います。骨ごと行けますよ。七味マヨを付けてみて下さいね。】


「それは良いぜ。魚の小骨が面倒臭いんだよな。」


ダンは相変わらず細かい事が嫌いなようだ。


【それでは後で器を下げに来ますね。】


そう言って天幕を出る。


次はアンナとラフィアだね。


天幕の外から声を掛ける。

前回の様にはしない。


【ラフィアさん、アンナさん今よろしいですか?】


「大丈夫ですわ、アーサー様。」


「大丈夫なんさ~。アーサー君。」


天幕に入る。


【朝御飯を持ってきました。魚の味醂干しと海苔の佃煮のおにぎりと味噌汁です。骨ごと行けますので七味マヨを付けて食べて下さいね。】


「美味しそうですわ!」


「そうだね~。魚は好物なんさ~。」


【それでは食べましょうか。いただきます。】


御飯を食べ終わるとジャスティン達も食べ終わったようでこちらの天幕に皆が揃う。


【器を片付けてきますね。】


「行ってらっしゃい、アーサー。」


【あ、ダンさんは剣を持って付いてきてもらえますか?。】


「おお?良いけど何だ。」


【念の為の護衛です。】


「アーサーに護衛が必要とは思えないんだがな?」


「行って下さいまし!それともアーサー様の手伝いは嫌なのかしらね、ダン!?」


「分かったからそう目くじらを立てるなよ、ラフィア。じゃあさっさと行こうぜアーサー。」


【ええ、行きましょう。ダンさん。】


そう言って天幕を出る。


【実はダンさんにはお願いがあるのですが・・・。】


そう言ってダンに耳打ちをする。

話を聞き終わるとダンはニヤリと微笑んでいた。


バドラック様の所にも器を下げに行く。


【バドラック閣下。】


「何かな?アーサー殿。」


【今回のベドラム討伐の件で敵が焦れていると思われます。それで、早速ですが行動を起こすかもしれません。】


「む、行動とは?」


【俺達にアーゼ様、つまり人質がいるからと牽制して来るでしょうね。】


「オーガの牙にか?」


【左様です、閣下。】


「その時はどうするのだ?屈する訳にはいくまい?」


【そこでですね・・・。】


ヒソヒソと話をする。


「そのような魔法があるのか?」


【はい、私が使えますので任せては頂けませんか?】


「それは構わんが。いつ接触して来るのだ?そして証人はどうする?」


【多分、早ければ今日ですね。一人になる所を狙って来るでしょう。証人には周りにいる兵達になって頂きましょう。】


「ハハハ!その為の皿洗いか!」


【趣味と実益が伴う良い作戦ですよ、閣下。】


「それではオーガの牙に、いや、アーサー殿に任せよう。」


【見事に実行して見せましょう。】


「頼むぞ、アーサー殿。」


【お任せ下さい、閣下。】


そう言って井戸へ向かう。


【俺は皿洗いから解放される日は来るのだろうか?】


そう言いながら皿を洗っていると声が掛けられる。


「ふぃふぃふぃ、貴殿がアーサー殿かな?」


早速食いついて来たかな?

・・・俺の読みが当たるのだったら相当じれているはずだ。

ところで誰だろう?

何故か戦闘態勢を取ってしまう。


「宰相のイリスィオでございますよ。ふぃふぃふぃ。」


ああ、この人が噂の悪魔族らしき人か。


【それで、その宰相様がこんな所に何の御用ですか?】


「ふぃふぃふぃ、今日、これから城に戻りますのでその御報告と忠告をしに来ましたよ。」


【忠告ですか?】


そうすると耳元で囁いて来る。


『調子に乗らないほうが良いですよ?人質はこちらの手にありますのでねぇ。』


今度は直接狙って来るのかな?


『リーゼ様の事か?ブツ・・・』


『どうとって頂いても結構ですよ。ふぃふぃふぃ。』


『分かったよ。ブツブツ・・・』


【分かったのなら良いのですよ。ところでさっきから何をブツブツと・・・?】


俺は唱えていた呪文を解き放つ。


「7th、マス・ディスペル!」


【何を!?】


陣内で魔法が使われたので兵達が集まって来る。


「何だ!?」


「陣内で魔法だと!?」


ゾロゾロと集まって来た所でイリスィオと呼ばれた人が正体を表す。

大きなインプの様な姿だった。


「悪魔族だ!」


「陣内に悪魔族がいるぞ!」


「「宰相が悪魔族になったぞ!」」


「「「宰相が悪魔族だったんだ!」」」


予想以上に大騒ぎだ。


【ダンさん!】


「応!」


物陰からダンが出てきてオロオロしているイリスィオを押さえつける。


【ば、馬鹿な!?何故ばれた・・・!?】


そう言ってイリスィオ逃げようとするがダンにがんじがらめにされて動けない。

イリスィオという手札が出来た。

見ていた護衛や兵士達が騒ぎ立ててくれる。


「宰相が悪魔だったんだ!」


「こんな内部にまで悪魔族が!?」


【そうです!悪魔の脅威を一つ取り除きました!これで内部は安全でしょう!】


「おお!」


「「オーガの牙がやってくれたぞ!」」


「「「さすがオーガの牙だ!」」」


ザワザワしていた周りの雰囲気が広がり変わって行く。

そしてそれは歓声となった。


「「「オーガの牙!」」」


「「「オーガの牙!」」」


俺がイリスィオを魔法封じの鎖で捕縛しているとダンが剣を掲げて答える。

更に大きな歓声になっていた。

騒ぎを聞きつけたバドラック様とジャスティン達が来たので説明をする。


「早速やってくれたか!アーサー殿!」


バドラック様はとても喜んでいた。

イリスィオと呼ばれた宰相だった悪魔族はこうして捕えられた。


俺は、煮沸消毒をした皿をバックパックにしまうと皆と共に公王の元へ行くのであった。

此処まで読んで下さって、ありがとうございます!

それではいつものから!

評価、イイネ、ブックマーク等々。

ありがとうございます!

大変励みになります!

それでは 次話 アーゼという女の子(仮 でお会いしましょう。

寝るつもりだったのですが気が付いたらこの時間でした。

今度こそ、お休みなさい!

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