悪戯と交換の情報
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その頃、俺達は焦っていた。
公王様が城に帰らないのだ。
もちろん連れてきた貴族達もだ。
食料は別に持って来ている様なのだがあまりの格差に兵からも不満が上がる。
バドラック様はその兵を慰める為に陣内の慰労に回っている。
そう、これでは公王様達の安全が敵味方から確保出来ないので作戦が進まないのである。
「なんで帰らないんだよ!大人しく城にいてくれよな?もう四日目になるぞ!?」
これで何匹目か分からないが赤い悪魔族を斬ったダンがそう愚痴る。
「そうですね、何かを待っている様な気さえしてきますよ。例えば我々の全滅とかね!」
ジャスティンもダンに負けないぐらいの赤い悪魔族を斬り伏せている。
さすがのジャスティンもいいかげんにイライラしているのだろう。
珍しく愚痴を言っている。
「アーサー君。後で弦の張り直し良いかな~?」
【大丈夫ですよ。皆さんの武器も修理しておかないといけませんからね。】
「・・・ライトニング!」
その雷の魔法はインプを黒焦げにした。
【ラフィアさんは秘薬の補充は大丈夫ですか?】
「そろそろ補充が必要ですわ、アーサー様!」
【後でバドラック閣下に頼んで補充しましょう。】
しばらく戦っていると歓声が上がる。
どうやら敵が引き上げていくらしい。
とりあえず何とかなったみたいだね。
落ち着いた所で皆に言う。
【今夜もバルロンデーモンが出た時の為に皆さんは休んでいて下さい。】
「アーサーはどうするんだよ?」
ダンが聞いて来るので心配事を一つ片づけてしまおう。
【アーゼ様が気になりますので様子を見てきます。】
そう言うと皆が納得したのだろう。
代表してジャスティンが言って来た。
「お言葉に甘えさせてもらうよ。けれど、気を付けて下さいね、アーサー。」
おっと、メンテの事も言っておかないとね。
【戻ってきたら武具を見ますので準備だけはしておいて下さい。】
「お願いします、アーサー。」
「頼むぜ、アーサー。」
「お願いね~。アーサー君。」
いつまで続くのか分からない消耗戦をここの所、毎日繰り返している。
皆も焦れて来たのだろう。
祭壇を破壊しなければずっとこのままだ。
公王様は早く城に戻れば良いのにね。
そう思って皆と天幕に戻る。
バドラックさんに報告をして皆と別れる。
隠蔽してから隠密をするとアーゼ様の様子を見に行くのだった。
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【おい、ミアスマ様よぉ。一体どうなっていやがる?】
【っく、あの五人・・・特に赤いフードのヤツが計算外なのよ!】
通見の水晶玉から見えた情報を伝える。
【ふん!なんなら俺が出るぜ?】
【出るのは勝手だけれどねベドラム。あの赤いフードのヤツは別格だからね?】
【聞き飽きたぜ?生贄の目処だってついてねえんだろう?】
【一万人の生贄があればベルゼバブ様が復活するのよ!】
【お前がそう言ったから協力してるんじゃねえか!なのに今は何人だって?】
【今の所、約2500人よ・・・。】
【四分の一じゃねえかよ!この調子なら何の月かかるか分からねえぞ?】
【分かってるわよ!ベヘモド様との盟約もあるのだからね!】
【そうだぜ!あっちだって俺らに期待して飛び回ってるんだろう?】
【そこまで言うなら今夜、貴方も行って来なさいよね。虎の子を出すから。】
【虎の子?なんだよそりゃあ?】
【こいつらよ。】
ミアスマの見た方向に五m程の青い悪魔と黄色い悪魔がいた。
【ほう、ミアスマ様の腹心じゃねえかよ?俺が出る幕はねえかもな?】
【そう願いたいわね。『エモニ』、『クリスフィ』。今夜ベドラムと共に人間どもを蹂躙して来なさい。】
【【主よ、御心のままに。】】
流石の赤フード達もこいつらにバルロンが300体いればどうかしらね?
【おい、行くぞ!】
【【かしこまりました。】】
そう言ってベドラム達は夜襲の準備の為に遺跡を出て行く。
しかしあのフード・・・奴は油断できない相手だ。
【ベルゼバブ様に復活さえしてもらえれば・・・。】
練りに練った計画だった。
生贄の兵士を一万人用意して戦場の準備も整っていた。
公王を魅了して食料も碌な物を用意させなかった。
そして順調に兵士が弱って行った。
最小戦力で、もう少しで止めを刺せたはずだった。
アイツらが来るまではっ!
このままでは計画通りに行かない。
アイツらを何とかしなければ。
最悪の手だがイリスィオに公王を暗殺させれば・・・。
いや、それは最後の手段だ。
アイツにはまだ利用価値がある。
追加で兵を集めさせる事が出来るのはイリスィオが操っている公王だけだろう。
それにしてもあの厄介なフードのヤツは勇者じゃないわよね?
勇者がいないという情報を手に入れて行動を起こしているのだけれど・・・。
まあ、ベドラムがいるから今回はそう簡単には行かないでしょうけれどね。
念の為に虎の子も出した。
これであの赤フードの対策も出来ただろう。
自然と微笑む。
【早く愛しのあのお方にお会いしたいわ。】
そう言うとミアスマは暗闇へと消えた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
アーゼ様が軟禁されているという天幕に来た。
うーん、これなら城に連れて行った方が安全だろうに。
音を立てない様にゆっくりと近づきスルリと天幕の中へ入る。
天幕の中にも護衛がいる。
話せる状況では無いな。
ただ、幸いにも戦勝に沸き立っていて騒がしいので囁く程度なら大丈夫だろう。
椅子に座っているアーゼ様に近づくと耳元で囁く。
『アーゼ様、騒がないで下さいね。アーサーです。囁きますので『はい』なら一回、『いいえ』なら二回、分からなければ三回手を握って下さい。』
右手袋を外しアーゼ様の手に俺の手を乗せると頬を染めて指を絡めて来た。
此処までやらなくてもと思っていると手を一回握り返して来た。
『リーゼ様は無事ですか?』
手が一回握られる。
『リーゼ様は城にいますか?』
手が一回握られる。
『宰相は悪魔族の手先ですか?』
手が三回握られる。
『公王様がいらっしゃったのは宰相の言によってですか?』
手が一回握られる。
『戦場の設定をしたのは宰相ですか?』
手が一回握られる。
『このままだとリーゼ様は殺されませんか?』
手が二回握られる。
『城なら安全と言う事ですか?』
手が一回握られる。
ふむ、城なら安全か・・・。
魔封じの姫様方の住む城だから何かあるのだろうか?
これだと、どうやらリーゼ様にも話を聞く必要があるな。
『ありがとうございました。それでは、また来ますね。』
そう言って出て行こうとするが手を放してくれない。
『手を放して下さい。』
手が二回握られる。
何故だ?
『・・・何か心配事があるのですか?』
手が一回握られる。
リーゼ様の事は今、問いかけたのでので違うはずだ。
うーん、見当が付きませんな?
『そろそろ行かなければなりません。手を放して下さい。』
手が二回握られる。
『リーゼ様を助けに行かないといけないのです。お願いですからお放し下さい。』
手が四回握られる。
四回ってなんだっけ?
ん?
・・・いや決めてないぞ?
そうするとリーゼ様が握った手を女性の部分に持って行く。
「んっ!愛しのアーサー様!」
「ッハッ!姫様!いかが致しましたか!?」
兵士も慌てているが俺も同じだ。
すると平然とアーゼ様がその兵士に言う。
「気が利かない兵ですわね。あの方の事を思って久しぶりに慰めたいのよ。出ていって下さらないかしら?」
「公王様から何があっても目を離すなと言われておりますので!」
「あら?そんなに私の慰める姿が見たいのかしら?」
「い、いえ、決してそのような事は!」
「ならば、少し出ていって下さっても構わないですわよね?」
「・・・。」
「いいわ、勝手に始めさせていただくわね?よろしいのかしら?」
「少々便意をもよおしましたのでしばらく外します。」
「良い子ね。お父様に言って褒美を取らせるわ。」
「おお!ありがたくっ!それではしばし失礼致します。」
そう言って現金な護衛と言う見張りは喜んで出て行った。
アーゼ様は俺の指を使って慰め始める。
そうして、しばらく慰めるのに付き合うのだった。
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椅子の上でぐったりしているアーゼ様を放置しておく。
テントの中は凄い女性の匂いがする。
換気!
換気を!
終わったと思ったのか先程の護衛の人が天幕を捲りあげる。
絡みついていた指をほどくと兵士が覗いている。
その隙に天幕の外に出て行った。
さてと、皆と合流しよう。
途中で手を洗っておく。
っふ。
ふやけちまったぜ。
いや、格好つける所じゃないね。
急いで皆の所へ走る。
たどり着くと隠密を解除して天幕へ入る。
アーゼ様から聞いた事だけを話すとジャスティンが言って来る。
「戦場を設定したと言う事は宰相は悪魔族で決まりのような気もしますが、斬る訳にはいきませんよね?」
「ジャスティン、落ち着いて頂戴。貴方までダンの様な短絡思考になられては困りますわ!」
「俺みたいってなんだよ!ラフィア!?」
「ダン~。ちょっと落ち着くと良いんさ~。」
「・・・アンナも落ち着けよな!?」
見るとダンの脇腹にダガーを突き付けていた。
そんな皆に俺は言う。
【皆さん、落ち着きましょう。そろそろですがバルロンが攻めてきてもおかしくないんですよ?】
「悪かったぜ。ちっとイライラがな。で、そろそろダガーをどけてくれねえかなアンナ?」
ダガーをしまうとアンナが言って来る。
「あーっしもイライラしてたんさ~。ごめんね、ダン~。」
皆がこうだと何かで発散させないとダメだな。
【皆さん、仮眠は取りましたね?】
「ああ、一の時間ぐらいかな?眠っているので大丈夫ですよ、アーサー。」
【じゃあ、皆さんの装備を確認しますね。】
俺は装備を確認して行く。
【「鑑定」・・・ジャスティンさんとダンさんの武具は修理をしておきましょう。二人共、鎧は次回で大丈夫でしょう。】
長期遠征の為に修理専門の鍛冶師もつれてきているのでそこに行って修理するつもりだ。
【「鑑定」、アンナさんの弦は今張っちゃいますね。ついでに補強もしておきますよ。】
工具を出し補強をして新しく弦を張り直して行く。
【アンナさん、矢は後何本残っていますか?】
「二十四本かな~。」
【うーん、少し重いですが五十本追加で持っていて下さい。】
「りょ~。」
【足りなくなるようなら言って下さいね。まだ350本ありますので。】
「りょ~。悪いね~アーサー君。」
そう言うとキスをして来る。
今日のキスは激しい。
皆が見ていない処だったら押し倒されていただろう。
そして、相変わらずラフィアの視線が痛い。
「アンナさんとラフィアさんの鎧は大丈夫そうなので修理をしてきますね。」
「頼むよ、アーサー。」
「よろしくな!」
俺は逃げる様に修理に向かうのだった。
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