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鎧の魔王の7体の側近

いつも読んで下さっている方々、お待たせしました!

執筆終了しましたのでUPいたします。

それではお楽しみください。

昼御飯の後、公王様にオーガの牙が呼ばれた。


五人を呼ぶのは何だろう?

皆と合流して公王様のいるという後方の大天幕に向かっていると中央に赤い絨毯が引かれ通路が出来ていた。

その絨毯の左右に貴族様方が並んでいる。


うーん、あまり良い予感はしないね。

皆もそうだったのだろう。

そのまま大型の天幕、通路へ向かう。

先頭にジャスティン、その後に四人が並ぶ。

右から俺、ラフィア、アンナ、ダンの順番だ。

天幕の入り口を潜り公王様の前で先頭にいたジャスティンが跪いたので皆も跪く。


「よくぞ参られましたわ。アーサー様。いえ、オーガの牙の皆様。」


公王様より先にアーゼ様が声を掛けて来た。

おいおい、王より先で良いのか?

そう思っていたが周りの皆の反応が無い。

これが普通なのかな?

そう思っていると、その公王様より話が始まる。


「この度の活躍はバドラックより聞き及んでいる。誠に大儀であった。」


何故か俺の方を睨みつけている。

前にもこんな事があったな。

何かやった覚えは無いのだが?

やったとすれば悪魔族を撃退しただけのはずだが・・・。


俺が気にしているとジャスティンが代表して答える。


「はは、公王様。しかし、我らだけの力ではありません。バドラック司令官や兵士の皆の力があってこその勝利なのです。」


「ほう、そなたは遠慮しておるのかな?」


「いえ、当然の事を言ったまでであります。」


「聞いたぞ。黒い悪魔達を100体以上も葬り去り、更に今朝も襲撃のあった悪魔族から陣地を見事に守り切ったとな。」


「それもひとえにバドラック閣下と兵士の皆様のおかげです。」


「ふむ、これでも遠慮するか?では現物で褒美を取らせよう。」


ん?

現物?

ここで白金貨をくれるのかな?

そう思っていたのだが違う様だ。


文官らしき人が進んできて羊皮紙を読み上げている。


「ここに、オーガの牙に金貨300枚を下賜する。」


そう言うと文官らしき人達が金貨の入っているであろう袋を五袋持って来た。

たしかリーゼ様はお金が無いって言っていたと思ったが?

不思議に思っていた。


「ありがたく頂戴致します。」


ジャスティンがそう言うとアーゼ様があの嫌な笑顔で俺を見ている。

背筋がゾッとするね。

それに嫌な感じだ。

早く終わらないかなと考えているとリーゼ様の姿が見当たらない。

いつも一緒なのに何処に行ったんだろうね?


続いて文官さんが読み上げる。


「オーガの牙に『勅命』である。この地を混乱に陥れている上級悪魔『暴食のベルゼバブ』を討伐せよ!」


ザワザワと周りの貴族から声が上がる。


「さすがはオーガの牙。かの大悪魔であるベルゼバブを討伐とは命知らずな。」


「左様ですな、命知らずな冒険者にはふさわしい命でございますな。」


「これでまた今後の戦局が危うくなりますな。どのように責を取る物か見ものですな。」


んー、失敗するのが前提の様な命だね。

ん?

アーゼ様がオロオロしているぞ?


「義父様!私はそのような事は聞いておりませんのよ!撤回を!」


どうやら公王様の独断らしい。


「愛娘よ。そのぐらいやってもらわねば、お前の婿に等には出来ぬよ?分かるね?」


「義父様!それはあまりにも危険な命です!撤回を!」


かなり慌てている。

アーゼ様を落ち着かせる為なのか、兵達に命令する。


「どうやら愛娘は疲れている様だ。誰か天幕へ連れて行くのだ。」


公王様がそう言うと近衛兵だろうか?

兵士二人に両脇を抱えあげられてアーゼ様が連れていかれる。


「許しませんわよ!義父様!アーサー様にその様な!ムグッ・・・!?」


どうやら口を塞がれたようだ。

あれだけ溺愛していたのにどうしたんだろうね。


「で、オーガの牙の返答はどうかね?」


「・・・。」


「どうなのかね?」


その問いは俺の方を睨みつけているように見える。

あれ?

天幕の裏に沢山の気配があるぞ?

殺気だっている。

ああ!

やばい、これは罠だ!

俺はジャスティンに聞こえるように囁く。


『ジャスティンさん、受けて下さい。このままでは、ここで殺されます。』


『!?』


『天幕の裏に兵士の気配があります。囲まれますよ?』


『くっ、分かりました。済みません、皆・・・。』


ジャスティンが立ち上がり立礼をする。


「謹んでお受け致します。」


と、頭を下げる。

ジャスティンがそう言った事でザワザワした空気に拍車がかかったようだ。

俺が代表して金貨を受け取りバックパックに詰め込む。

五袋で各金貨六十枚ずつだね。


「それでは任せる。下がって良い。」


公王様から声が掛かるが視線は俺を睨みつけている。


「それでは皆様方、支度がありますので失礼致します!」


ジャスティンがそう言って礼をし、皆でその場を後にする。

俺の後姿を公王様が睨みつけている。

うーん、本当に何かやったのかね?

その隣にいた人物が何か言っていたが聞こえなかった。



「ふぃふぃふぃ、公王様。これで邪魔者が減りますな。」


「宰相イリスィオよ、滅多な事は言うでない。あの者に愛娘を渡すなどあってはならんのだ。そう、あってはならんのだ!」


「左様でございますな。公王様。ふぃふぃふぃ。」


そう言った宰相の影は悪魔のそれであった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


歩きながら考えを纏めている。


「皆、済まない。」


ジャスティンが頭を下げて来た。

事情を知っている俺がフォローする。


【・・・ですから、あの場で受けなければ何か罪を着せられて殺されていましたよ?】


俺が言うと他の二人が驚いている。

アンナだけは知っていたようだった。


「何だと!?アーサーそれは本当かよ?」


「あ~、だから殺気だった兵士がいたんだね~。こりゃーはめられたんさ~。」


「そうなんですか!?雰囲気が悪いのは感じておりましたが・・・。」


俺が自信満々に言う。


【良いじゃないですか。受けて正解ですよ?だってやっつけちゃえばいいんでしょう?そのベルゼバブでしたっけ?】


俺がそう言うと皆がヤレヤレという様な顔をしている。


「アーサーの言う通りですね。まずは情報を集めなければなりませんね。」


「そうだな、司令官のバドラックのおっさんを頼ってみようぜ?」


「そうだね~。なんでもいいから情報が欲しいね~。」


「左様ですわね。ですが、ベルゼバブ如きアーサー様の敵ではありませんけれども!」


「早速、情報を集めに行きましょう。」


「「「応!」」」


ジャスティンがそう言った事で皆が元気良く返事をする事が出来た。

五人で司令官であるバドラックさんの天幕へ向かう。

バドラックさんの天幕に着くと兵士さんに挨拶をして中に入る。


「バドラック閣下、いらっしゃいますか?」


「おお、そなた達どうであった?」


先程あった事を話すとバドラックさんは顔色を変えた。

心ここにあらずで語っている。


「まさか、あのベルゼバブ討伐とは!?復活はしていないのだぞ?それに英雄達にこの扱いは・・・。」


【バドラック閣下、何でも良いのです情報を教えて下さい。】


「待てよ!?と言う事はあの遺跡がベルゼバブのいる所なのか!?」


落ちつけないと駄目かもしれないね。


【バドラック閣下、落ち着きましょう。まずは情報を教えて下さい。些細な事でも良いのです。】


そう言うと落ち着きを取り戻したバドラックさんが語りだした。


「ベルゼバブは200年前から伝承が残っている鎧の魔王の側近だ。この魔王の側近の事は伝承に残っているので城の書庫に行けば文献が見られるはずだ。」


そこまで言うと一息ついてから続きを話始める。


「魔王の側近は七体いてそれぞれ『傲慢のルシフェル』、『憤怒のサターニャ』、『嫉妬のレヴィアタン』、『怠惰のベルフゴール』、『強欲のマノン』、『暴食のベルゼバブ』、『色欲のアズモデス』の七体だ。だが文献にそう言う名前があるだけでどんな悪魔かは分かっていない。」


この情報、ゲームでも無かったから知らなかったな。


ジャスティン達の方を見るとやはり知らなかったようだ。

ん?

ちょっと待てよ?

鎧の魔王と言わなかったか?

・・・剣の魔王とか盾の魔王とかもいるのだろうか?


「もしこれらが復活すれば同じように各国に眷属が復活し世界は大混乱となるだろう。」


各国?

大陸中にそんなのがいるのか?


【バドラック閣下、そのベルゼバブが復活する兆候はあったのですか?】


「いや、わしが知っている限り無いはずだ。」


ふむ、無いのに討伐なのか?

おかしくはないだろうか?

ジャスティンもそう思ったようでバドラック様に聞いている。


「復活の兆候は無いのに討伐せよですか?矛盾していますが何か意図があるのでしょうか?」


「分からん、だがあの遺跡にベルゼバブがいるとなると側近の悪魔『ミアスマ』と『ベドラム』がいるだろう。」


そういえばアンナが見たって言う二体の上級魔族らしいという者はどうなんだろうか?


【アンナさん、遺跡で見た二体の悪魔の特徴をバドラック閣下に伝えてみて下さい。】


「りょ~。一体は女性型で蝙蝠の様な羽があったよ~。もう一体は鹿頭で体は人間をでっかくしたような奴だったね~。」


「そんな馬鹿な!特徴が一致するではないか!我々はそれほどの悪魔族を相手にしていたというのか!?」


【バドラック閣下、落ち着きましょう。現在そのベルゼバブと言う上級悪魔の復活はされていない。これは間違っていませんね?】


「そうだ。ただ、わしの知る限りではだがな。」


「最前線のバドラック閣下が知らなければ他の者が知っているとは思えませんね。」


ジャスティンがそう言うと皆が肯く。


「と、すると問題はその二体がコソコソと何かをやっていると言う事だよな?」


「悪魔の復活と言えば言い方が悪いのですが『生贄』ですわね。」


ラフィアがそう言った事で俺は思い当たった。


「あの、まさかとは思うのですが、この戦場って何か曰くがあったりしますか?バドラック閣下?」


「この地で200年前に現れたと言う勇者様がベルゼバブを封印したと・・・ぐあ!まさか!?」


【あー、乗せられましたね。生贄は兵士達ですよ。】


「馬鹿な!では戦場をここに定めた者は・・・!」


【おそらくは悪魔が偽装しているか王を誘導しているんでしょうね。心当たりはありますか?】


「宰相の『イリスィオ』だ。あやつが設定したのだ。おのれ我が兵を生贄だと!?」


「犠牲者は何人なんだ?司令官さんよ?」


「一万の兵で布陣したから二千強と言った所か・・・。」


「ずいぶん気前の良い生贄なのさ~。」


「アンナ!そんなふうに言うものではなくってよ!」


「・・・まさか王は知っておられるのか!?」


【んー、恐らくですが知らないというか、操られて誘導されている可能性がありますね。】


「そんな馬鹿な!いや、そう言えば王はヤツめが宰相になったこの一年程であり得ぬぐらいにリーゼ様を疎み始めたのだ。」


あー、なるほど。

今までのリーゼ様への態度がきつすぎた訳が分かった。

とすると当然、封印の事がかかわって来るだろう。


【それはベルゼバブが復活しても二人に再封印される危険があったからでしょうね。アーゼ様には飴を、リーゼ様には鞭をと言う感じでしょう。】


「おのれ、イリスィオ!我慢ならん!斬って捨ててやるわ!」


【それこそ相手の思う壷ですよ、バドラック閣下。】


飛び出て行こうとするバドラック様をダンと押さえる。


「ではどうすると言うのだ!?」


【何もしません。しいて言うならリーゼ様を守るぐらいですね。】


「問題はどのように守るかですね?」


ジャスティンがそう言う。


「では、リーゼ様を他の国に視察と言う名目で行ってもらうのはどうだろうか?」


バドラック様が提案して来る。


【憶測ですが、途中で暗殺されますね。】


皆が肯く。


「むぅ、どうすれば良いのだ!?アーサー殿。知恵は無い物か!?」


【このままでいけばの策ですが。先手を取ってリーゼ様を攫っちゃいましょう。】


「「「はっ!?」」」


【バドラック様とジャスティンさん達が此処にいれば悪魔達が攻めてきてもそう簡単には負けませんよね?】


「ああ、犠牲は出るだろうが我々は負けはせん!」


バドラック様が任せろとばかりに言って来る。


「だがアーサーよ?攫って来るったってどうするんだよ?」


【城に戻ったタイミングで俺が攫って来ますよ。】


「アーサー、出来るのかい?」


【何とかして見せますよ、ジャスティンさん。】


「アーサー殿、攫った後にアーゼ様の身の安全はどうなのだろうか?」


【アーゼ様は公王様が溺愛しているし宰相の何某なにがしにも小娘一人と思われるのでこのまま監禁されるだけなのではないでしょうか?】


「そうなればリーゼ様の身に危険は無いのだな?」


【そこが狙い目でもありますし心配事でもあります。万が一人質にでもされたらこちらは手が出せません。なので戦はこのまま致しましょう。】


「何か狙いがあるのかい。アーサー?」


【ジャスティンさん達も御存じの様に、アーゼ様は俺の言う事ならなんでも聞いてくれそうなので城に護送される時に同じく攫います。】


「成程、御二人共ここに連れて来てかくまうのですわね?」


【そうです、ラフィアさん。まさか最前線に二人がいるとは思わないのではないでしょうか?】


「そうなるとわしの仕事はここの維持だな?」


【左様ですね、時間稼ぎではありますがバドラック閣下、よろしくお願いします。ただし生贄の事も考えなければいけませんよ?】


俺は頭を下げる。

場合によっては命を懸けて二人を守らなければいけないからだ。


「その任務、任されよう。」


胸を「ドン」と叩いて答えてくれた。

意図を察してくれたのだろう。

真剣そのものの顔だった。

本当に上司が有能だと楽が出来るね。


「じゃあ僕達はその二体の上級悪魔を倒すのが当面の仕事だね。」


【そう言う事になりますね。ジャスティンさん、皆さん、今までとは大分ランクの違うクエストですよ?】


俺がそう言うとジャスティンが皆を見回して言って来る。


「分かってますよ、そろそろ全力で強敵と戦ってみたかったんですよね。」


そうジャスティンが言うと他のメンバーも口々に言って来る。


「そうだぜ!雑魚とまではいわないが今までの敵だと物足りなかったんだぜ。」


「そうさね~、まだアーサー君に預かってもらっている矢を入れると750本以上あるからね~、こういうのは取っておくと縁起が悪いんさ~。」


「6thの魔法を使う時が来たようですわね!今まで以上に活躍して見せますわ!」


皆、頼もしいな。


「では、その後のアーゼ様とリーゼ様の事はわしに任せてくれ!」


【お願いしますね、バドラック閣下。】


計画通りに行けばいいのだけれどね。

・・・そして悪魔族の事を考えてみた。

上級なら問題は無いだろうが魔王の側近のベルゼバブさんとやらはどんな力を持った悪魔なんだろうね。


攫いに行くついでに城の文献っていう物を漁ってみるか。

だが、まずはリーゼ様を攫う所からかな。

やってやるさ。

またルイス達と会うんだ!


こんな所でくたばってたまるか!

此処まで読んで下さってありがとうございます!

まずはいつものから!

評価、イイネ、ブックマーク等々。

ありがとうございます!

大変励みになっております!

上からも下からも大変酷かったので3日ほど入院いたしまして・・・

自宅療養中でございます。

これからもヘファイストスの冒険をよろしくお願いいたします!

それでは 次話 その後のルイス達(仮 でお会いしましょう!

お疲れさまでした!

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